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外伝 ~ヨツバ王国編~
ツバサの密通
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「しかし、その推測が正しかった場合、キラウに対抗できる存在などいないぞ。いくら兵力を集めようと視線を交わしただけで石化されてしまうのでは対処法がない!!最初からあの戦は詰んでいたというのか……」
「総大将も剣聖も兵士達さえも石像と化した。もう我々に打つ手があるはずが……」
「ある!!」
「ヨウコ!?」
落ち込み気味の冒険者達に向けてリョウコの傍で座っていたヨウコが声を上げ、彼女の反応にリョウコは驚くが、ヨウコは鼻を鳴らして自分の考えを告げる。
「ツバサお姉ちゃんに助けてもらえばいい!!ツバサお姉ちゃんならきっと守ってくれる!!」
「ツバサ……それは六聖将のツバサの事か?」
「す、すいません!!この子は昔から、ツバサ様に憧れていまして……子供の言葉なのでどうか聞き流してください」
「う~……!!」
慌ててリョウコはヨウコを抱えて部屋を退室しようとするが、ヨウコはそれを嫌がるように暴れ、そんな彼女の姿を見て会議に参加していた兵士の数名が話し合う。
「確かにツバサ様なら……」
「だが、ツバサ様は防護将だぞ?しかも今はカレハ王女に従っている」
「けど、あの方はカレハ様よりもティナ様を支持していると聞いているが……」
「ちょっと待って、その話は本当?」
兵士達の会話を聞いてレナは立ち上がり、ツバサがカレハではなくティナを支持しているのが本当なのかを問おうとすると、エリナが代わりに答える。
「ツバサ将軍はティナ様の事を一番に可愛がってますよ。リンダさんとも仲が良かったですし、城内にいる間はティナ様の指導役として行動を共にする事も多かったですから」
「それ、本当なのティナ?」
「うん、本当だよ。ツバサとはよく遊んでもらってたけど、最近は色々とあったから顔を会わせてはいなかったけど……」
「どうしてそんな大切なことを黙っていた!?もっと早く言うべきだろう!!」
「わわっ!?」
「ちょ、落ち着いてくださいって!!」
ティナの言葉を聞いてガンモがいきり立つが、慌ててエリナが間に入って落ち着かせる。ティナがツバサと親密な関係であるのならばもっと早くに連絡を取り合い、味方に引き込むことが出来たのではないかと考える者もいたが、既にエリナも連絡は取ろうとしたらしい。
「あたし達がこのアトラス大森林へ来てからすぐに連絡は取ろうとしたんですよ!!けど、ツバサさんはいる王都は最も警備が高いし、緑影の人達に頼んでも連絡が簡単に取れない状況だったんです!!それにクレナイ将軍が東壁街へ侵攻した報告を受けた時点でもうギンタロウ叔父さんが使者を派遣しています!!」
「それは本当か?」
「嘘じゃないっす!!時期的に考えても使者はもうツバサさんの所へ到着しているはずです!!」
現在のツバサは王都を離れ、亡くなった北聖将の代わりに北聖将軍の士気を取っている。名目上はバルトロス王国の軍隊の侵攻に備えてヨツバ国王の軍隊の統率役を任されているようだが、実際にはバルトロス王国に戦争を行う意思はないので彼女の行為は無駄に終わるだろう。
どうしてカレハが王都からツバサを引き離すという行為をしたのかは不明だが、状況的には王都に存在した頃と比べてツバサと連絡が取りやすくなり、それを見越してギンタロウも使者を送り込む。もしも彼女の元に使者が到着しているとしたら彼女も本当にティナと石像にされた王族たちが東壁街で避難しているという話を知り、味方として動いてくれるとエリナたちは信じていた。
「そのツバサという人が味方になったら戦力差をひっくり返せるかな?」
「多分、というよりも確実にあたし達の方が有利になりますよ!!だってツバサさんは六聖将の中で最も人気も人望もありますからね!!率いている護衛軍も精鋭揃いっす!!」
「うん、ツバサが一緒ならきっと大丈夫だよ~」
「……だといいがな」
ツバサと連絡を取れればこの状況を打破できるかもしれないという希望が生まれ、会議室の重苦しい雰囲気が少しだけ解消される。だが、あくまでも彼女と連絡を取れなければ状況は好転せず、王都から送り込まれる軍隊を警戒しなければならない。
一旦会議は中断して全員が食事を行おうとした時、会議室に緑影のラナが乗り込み、彼女は慌てた様子でリョウコの姿を発見すると書状を差しだす。
「失礼する!!リョウコ殿はおられるか!?」
「貴女は……ラナ様?一体どうかされましたか?」
「書状だ!!先ほど、ツバサ将軍と同行している緑影が持ち込んできた!!」
「何!?」
「ツバサさんからの書状!?」
ラナの言葉に会議室の全員が反応し、急いでリョウコはラナから書状を受け取ると、その場で広げて内容を読み取る。他の者達も彼女の後ろから書状の内容を読み取り、記されている文字を見て驚愕した。
「こ、これは……」
「そんな、まさか……」
「何々!?何て書いてあるの!?」
「ちょっと、見せて!!」
他の者を押し付けてレナも書状の内容を確認すると、そこには予想外の文章が記されており、先にカレハに先手を打たれていた事を知ったレナは舌打ちを行う。
「総大将も剣聖も兵士達さえも石像と化した。もう我々に打つ手があるはずが……」
「ある!!」
「ヨウコ!?」
落ち込み気味の冒険者達に向けてリョウコの傍で座っていたヨウコが声を上げ、彼女の反応にリョウコは驚くが、ヨウコは鼻を鳴らして自分の考えを告げる。
「ツバサお姉ちゃんに助けてもらえばいい!!ツバサお姉ちゃんならきっと守ってくれる!!」
「ツバサ……それは六聖将のツバサの事か?」
「す、すいません!!この子は昔から、ツバサ様に憧れていまして……子供の言葉なのでどうか聞き流してください」
「う~……!!」
慌ててリョウコはヨウコを抱えて部屋を退室しようとするが、ヨウコはそれを嫌がるように暴れ、そんな彼女の姿を見て会議に参加していた兵士の数名が話し合う。
「確かにツバサ様なら……」
「だが、ツバサ様は防護将だぞ?しかも今はカレハ王女に従っている」
「けど、あの方はカレハ様よりもティナ様を支持していると聞いているが……」
「ちょっと待って、その話は本当?」
兵士達の会話を聞いてレナは立ち上がり、ツバサがカレハではなくティナを支持しているのが本当なのかを問おうとすると、エリナが代わりに答える。
「ツバサ将軍はティナ様の事を一番に可愛がってますよ。リンダさんとも仲が良かったですし、城内にいる間はティナ様の指導役として行動を共にする事も多かったですから」
「それ、本当なのティナ?」
「うん、本当だよ。ツバサとはよく遊んでもらってたけど、最近は色々とあったから顔を会わせてはいなかったけど……」
「どうしてそんな大切なことを黙っていた!?もっと早く言うべきだろう!!」
「わわっ!?」
「ちょ、落ち着いてくださいって!!」
ティナの言葉を聞いてガンモがいきり立つが、慌ててエリナが間に入って落ち着かせる。ティナがツバサと親密な関係であるのならばもっと早くに連絡を取り合い、味方に引き込むことが出来たのではないかと考える者もいたが、既にエリナも連絡は取ろうとしたらしい。
「あたし達がこのアトラス大森林へ来てからすぐに連絡は取ろうとしたんですよ!!けど、ツバサさんはいる王都は最も警備が高いし、緑影の人達に頼んでも連絡が簡単に取れない状況だったんです!!それにクレナイ将軍が東壁街へ侵攻した報告を受けた時点でもうギンタロウ叔父さんが使者を派遣しています!!」
「それは本当か?」
「嘘じゃないっす!!時期的に考えても使者はもうツバサさんの所へ到着しているはずです!!」
現在のツバサは王都を離れ、亡くなった北聖将の代わりに北聖将軍の士気を取っている。名目上はバルトロス王国の軍隊の侵攻に備えてヨツバ国王の軍隊の統率役を任されているようだが、実際にはバルトロス王国に戦争を行う意思はないので彼女の行為は無駄に終わるだろう。
どうしてカレハが王都からツバサを引き離すという行為をしたのかは不明だが、状況的には王都に存在した頃と比べてツバサと連絡が取りやすくなり、それを見越してギンタロウも使者を送り込む。もしも彼女の元に使者が到着しているとしたら彼女も本当にティナと石像にされた王族たちが東壁街で避難しているという話を知り、味方として動いてくれるとエリナたちは信じていた。
「そのツバサという人が味方になったら戦力差をひっくり返せるかな?」
「多分、というよりも確実にあたし達の方が有利になりますよ!!だってツバサさんは六聖将の中で最も人気も人望もありますからね!!率いている護衛軍も精鋭揃いっす!!」
「うん、ツバサが一緒ならきっと大丈夫だよ~」
「……だといいがな」
ツバサと連絡を取れればこの状況を打破できるかもしれないという希望が生まれ、会議室の重苦しい雰囲気が少しだけ解消される。だが、あくまでも彼女と連絡を取れなければ状況は好転せず、王都から送り込まれる軍隊を警戒しなければならない。
一旦会議は中断して全員が食事を行おうとした時、会議室に緑影のラナが乗り込み、彼女は慌てた様子でリョウコの姿を発見すると書状を差しだす。
「失礼する!!リョウコ殿はおられるか!?」
「貴女は……ラナ様?一体どうかされましたか?」
「書状だ!!先ほど、ツバサ将軍と同行している緑影が持ち込んできた!!」
「何!?」
「ツバサさんからの書状!?」
ラナの言葉に会議室の全員が反応し、急いでリョウコはラナから書状を受け取ると、その場で広げて内容を読み取る。他の者達も彼女の後ろから書状の内容を読み取り、記されている文字を見て驚愕した。
「こ、これは……」
「そんな、まさか……」
「何々!?何て書いてあるの!?」
「ちょっと、見せて!!」
他の者を押し付けてレナも書状の内容を確認すると、そこには予想外の文章が記されており、先にカレハに先手を打たれていた事を知ったレナは舌打ちを行う。
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