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外伝 ~ヨツバ王国編~
目覚め
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「風の聖痕は代々、ハヅキ家が管理してきた。聖痕はハヅキ家の継承者に証であり、ハヅキ家の当主に相応しい者にだけ受け継ぐ事を許される」
「しかし、その子供にその資格はあるのか?ハヅキ家の血筋にも関わらず、錬金術師と支援魔術師という不遇職しか持たぬ子供に継承権があるのか?」
「ハヅキ様が死の間際、その子供に風の聖痕を託した事は知っている。しかし、だからといってハヅキ様がその子供をハヅキ家の継承者と認めたわけではない。風の聖痕が完全に失われる前にその子供に託しただけに過ぎない」
「我々は協議の結果、その子供をハヅキ家の継承者とは認めない。ラナ、その子供を引き渡せ。そうすればお前の愚行は見逃す」
七影衆は事前に打ち合わせでも行っていたかのように順番に言葉を告げ、その彼等の態度が不気味さを煽り、ラナは冷や汗を流しながらも尋ねる。
「……彼をどうする気だ?」
「殺しはしない、いくら人間といってもハヅキ家の血筋である限り、我々は彼を殺さない」
「だが、風の聖痕はハヅキ家の当主に相応しき者に渡してもらう」
「さあ、我々の元へ戻れ。お前は他の者とは違い、愚か者ではないはずだ」
「それとも、お前はその人間がハヅキ家の当主に相応しいと考えているのか?」
ラナは七影衆の言葉にレナに視線を向け、黙り込む。最初にレナと出会ったばかりの彼女ならば七影衆の言葉に賛同しただろう。だが、メドゥーサによって石化された自分と最愛の恋人を救い出してくれた恩、さらにヨツバ王国を救うために危険を犯し、仲間を連れて戦ってくれているレナを彼女は裏切れなかった。
「私も、この子がハヅキ家の当主に相応しいとは思っていない。だが……恩人を見捨てるような真似は出来ん!!」
「それが、お前の決断か?」
「愚かな……情に流されたか」
「ならば、他の者と同じ末路を迎えるがいい」
七影衆はラナの言葉を聞いて戦闘体勢に入り、それを見たラナはレナを庇う様に移動すると、エリナも黒弓を構える。七影衆はそれぞれ武器を取り出して仕掛けようとした時、屋敷内に獣の咆哮が響く。
「ウォオオオンッ!!」
「ヒヒィイインッ!!」
「ウルちゃん!?」
「ユニコ!?」
何処に隠れていたのか裏庭にウルとユニコが現れ、七影衆の左右を挟む。さらに屋敷に立っていたミノとアインも乗り出し、魔獣達に取り囲まれた七影衆は背中合わせになって武器を構える。
「魔獣共が……大人しくしておけば見逃してやったものを」
「我々に勝てると思っているのか?」
「主人のために命を捨てるか……」
七影衆は各々の武器に紫色の液体を塗り付けると、それを見たラナは液体の正体が毒である事を見抜く。緑影が扱う毒の中でも即効性が高く、仮に大型の魔獣でも仕留められる程の猛毒である事に気付き、注意を行う。
「お前達、近づくんじゃない!!殺されるぞ!?」
「皆、駄目だよ逃げて!!」
「離れないと殺されるっす!?」
「キュロロロッ!!」
「ブモォオオオッ!!」
警告を受けても魔獣達は引きさがる様子はなく、レナ達を守るように七影衆に立ちはだかる。それを確認した七影衆は十分に毒を武器に塗り付けると、一番の年長者である老人が指示を出す。
「1匹残さず始末しろ」
『御意』
老人の言葉に七影衆が動き出し、それを目撃したウルたちも動き、ティナ達は彼等を止めようとした瞬間、屋敷の中から声が響く。
「――誰を殺すって?」
決して大きい声ではなかったにも関わらず、不思議と全員の耳にその声は響き、全員が声の方向に視線を向けるとそこには起き上がるレナの姿が存在した。それと同時にレナの手元に黒渦が存在する事に気付き、異空間から退魔刀を引き抜く光景も確認する。
レナが目覚めた事を知ったティナ達は驚愕の声をあげる事が出来ず、何故か金縛りを受けたように動けない。それは魔獣達も七影衆も同じであり、全員が身体が動けなかった。
(……何だ、これは?)
七影衆は自分達の身体の異変に戸惑い、まるで小動物が突如として大型の肉食獣と直面し、身体が恐怖に支配されて逃走する事さえ出来ずに硬直してしまう。それほどまでに人間の少年が放つとは思えない「威圧」をレナは発しており、退魔刀を肩に抱えたレナは裏庭へ降り立つ。
レナが近づくと魔獣達は反射的に道を開き、七影衆の元までレナはゆっくりと歩む。近づいてくるレナに対して七影衆はやっと状況を理解すると、無理やりにでも身体を動かそうとする。
「きさ……」
「黙れ」
だが、七影衆の一人が言葉を発した瞬間にレナは冷たく睨みつけると、先ほどよりも凄まじい圧迫感が七影衆に襲いかかり、全委員が立っていられずに膝を崩す。その光景を見ていた者達はまるで彼等がレナに屈服したかのように跪いたようにしか見えなかった。
「あ、兄貴……」
「レナたん……なの?」
「こ、これは……」
「一体何が……?」
「かか、怖い……」
今までのレナとは明らかに雰囲気が異なる事にティナ達も気付き、味方であるにも関わらずにレナに対して身体が震えてしまう。それは魔獣達も同様らしく、アインもミノもユニコも、そして相棒であるウルでさえもレナの変化に混乱する。
「しかし、その子供にその資格はあるのか?ハヅキ家の血筋にも関わらず、錬金術師と支援魔術師という不遇職しか持たぬ子供に継承権があるのか?」
「ハヅキ様が死の間際、その子供に風の聖痕を託した事は知っている。しかし、だからといってハヅキ様がその子供をハヅキ家の継承者と認めたわけではない。風の聖痕が完全に失われる前にその子供に託しただけに過ぎない」
「我々は協議の結果、その子供をハヅキ家の継承者とは認めない。ラナ、その子供を引き渡せ。そうすればお前の愚行は見逃す」
七影衆は事前に打ち合わせでも行っていたかのように順番に言葉を告げ、その彼等の態度が不気味さを煽り、ラナは冷や汗を流しながらも尋ねる。
「……彼をどうする気だ?」
「殺しはしない、いくら人間といってもハヅキ家の血筋である限り、我々は彼を殺さない」
「だが、風の聖痕はハヅキ家の当主に相応しき者に渡してもらう」
「さあ、我々の元へ戻れ。お前は他の者とは違い、愚か者ではないはずだ」
「それとも、お前はその人間がハヅキ家の当主に相応しいと考えているのか?」
ラナは七影衆の言葉にレナに視線を向け、黙り込む。最初にレナと出会ったばかりの彼女ならば七影衆の言葉に賛同しただろう。だが、メドゥーサによって石化された自分と最愛の恋人を救い出してくれた恩、さらにヨツバ王国を救うために危険を犯し、仲間を連れて戦ってくれているレナを彼女は裏切れなかった。
「私も、この子がハヅキ家の当主に相応しいとは思っていない。だが……恩人を見捨てるような真似は出来ん!!」
「それが、お前の決断か?」
「愚かな……情に流されたか」
「ならば、他の者と同じ末路を迎えるがいい」
七影衆はラナの言葉を聞いて戦闘体勢に入り、それを見たラナはレナを庇う様に移動すると、エリナも黒弓を構える。七影衆はそれぞれ武器を取り出して仕掛けようとした時、屋敷内に獣の咆哮が響く。
「ウォオオオンッ!!」
「ヒヒィイインッ!!」
「ウルちゃん!?」
「ユニコ!?」
何処に隠れていたのか裏庭にウルとユニコが現れ、七影衆の左右を挟む。さらに屋敷に立っていたミノとアインも乗り出し、魔獣達に取り囲まれた七影衆は背中合わせになって武器を構える。
「魔獣共が……大人しくしておけば見逃してやったものを」
「我々に勝てると思っているのか?」
「主人のために命を捨てるか……」
七影衆は各々の武器に紫色の液体を塗り付けると、それを見たラナは液体の正体が毒である事を見抜く。緑影が扱う毒の中でも即効性が高く、仮に大型の魔獣でも仕留められる程の猛毒である事に気付き、注意を行う。
「お前達、近づくんじゃない!!殺されるぞ!?」
「皆、駄目だよ逃げて!!」
「離れないと殺されるっす!?」
「キュロロロッ!!」
「ブモォオオオッ!!」
警告を受けても魔獣達は引きさがる様子はなく、レナ達を守るように七影衆に立ちはだかる。それを確認した七影衆は十分に毒を武器に塗り付けると、一番の年長者である老人が指示を出す。
「1匹残さず始末しろ」
『御意』
老人の言葉に七影衆が動き出し、それを目撃したウルたちも動き、ティナ達は彼等を止めようとした瞬間、屋敷の中から声が響く。
「――誰を殺すって?」
決して大きい声ではなかったにも関わらず、不思議と全員の耳にその声は響き、全員が声の方向に視線を向けるとそこには起き上がるレナの姿が存在した。それと同時にレナの手元に黒渦が存在する事に気付き、異空間から退魔刀を引き抜く光景も確認する。
レナが目覚めた事を知ったティナ達は驚愕の声をあげる事が出来ず、何故か金縛りを受けたように動けない。それは魔獣達も七影衆も同じであり、全員が身体が動けなかった。
(……何だ、これは?)
七影衆は自分達の身体の異変に戸惑い、まるで小動物が突如として大型の肉食獣と直面し、身体が恐怖に支配されて逃走する事さえ出来ずに硬直してしまう。それほどまでに人間の少年が放つとは思えない「威圧」をレナは発しており、退魔刀を肩に抱えたレナは裏庭へ降り立つ。
レナが近づくと魔獣達は反射的に道を開き、七影衆の元までレナはゆっくりと歩む。近づいてくるレナに対して七影衆はやっと状況を理解すると、無理やりにでも身体を動かそうとする。
「きさ……」
「黙れ」
だが、七影衆の一人が言葉を発した瞬間にレナは冷たく睨みつけると、先ほどよりも凄まじい圧迫感が七影衆に襲いかかり、全委員が立っていられずに膝を崩す。その光景を見ていた者達はまるで彼等がレナに屈服したかのように跪いたようにしか見えなかった。
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「一体何が……?」
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今までのレナとは明らかに雰囲気が異なる事にティナ達も気付き、味方であるにも関わらずにレナに対して身体が震えてしまう。それは魔獣達も同様らしく、アインもミノもユニコも、そして相棒であるウルでさえもレナの変化に混乱する。
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