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外伝 ~ヨツバ王国編~
仲間達の決心
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「このままレナが目を覚まさなかったら、僕達どうすればいいんだろうな」
「……大丈夫だ、レナは必ず起きる」
「そうだよな……よし、何時までも落ち込んでても仕方ないな!!」
ダインは何かを決心したようにゴンゾウの背中から降りると、彼は自分の杖を握り締める。ここから先はもうレナだけに苦労をさせないと心に誓い、ダインはゴンゾウに宣言した。
「ゴンゾウ、僕は決めたぞ!!レナが目を覚ますまでの間に僕達はもっと強くなるんだ!!レナの力を借りなくても大手柄を上げられるぐらいにな!!」
「強くなる?何か考えがあるのか?」
「へへっ……僕だって成長してるんだよ。新しい魔法をもう少しで生み出せそうなんだ。この魔法が完成すればもう影魔法が役に立たないなんて馬鹿にする奴等はいなくなるぐらい凄い魔法だからな!!」
「そうなのか……実は俺の方も新しい戦技を身に着けられそうだ。まだ、扱い慣れてはいないが完成したらきっと今以上に強くなれる気がする」
「何だよ、ゴンゾウもそんなとっておきがあったのかよ……僕だけが強くなって見返してやろうと思ったのに」
「ふっ、抜け駆けはさせないぞ」
ゴンゾウもダインも新しい技を身に着けるために訓練を積んでおり、二人はレナが目を覚ます前に強くなるため、技の完成を急ぐ。そんな二人の様子を陰から覗き見る者がいた。
「……今はちょっと入りにくいわね」
二人の様子を見ていたのはシズネであり、彼女はレナの見舞いに赴く途中に二人を見かけて声を掛けようとしたが、二人の会話が耳に入った。ここで話しかけてもどちらの邪魔になるだけだと考えたシズネは立ち去る事を決め、自分の腰に差した雪月花に視線を向ける。
「私も負けていられないわね。貴方の力をもっと引き出して見せるわ」
ゴンゾウとダインの決意を感じ取ったシズネの方も今以上に自分の持つ魔剣の力を扱えるようになるため、レナの見舞いは中断し、自分も鍛錬に励む事にした。
――七大魔剣の一角である雪月花は非常に危険な能力を所有しており、その力を完全に解放させればあの七大聖剣にも匹敵する力を引き出せる可能性は十分にあった。だが、反面に魔剣の力を引き出せば引き出す程に所有者に大きな負担が掛かるため、これまでシズネは魔剣の力をある程度抑えた状態でしか使った事がない。
しかし、フェンリルとの戦闘の際にシズネは自分が力を出し惜しみしたせいでレナに無理をさせたのではないかと考え込み、大切な人を守るためならば自分の身を削る事を躊躇する事を止め、彼女は雪月花の持つ力を全て引き出す覚悟を決めた。
(もう、貴方だけに苦しい思いはさせないわ……貴方が死ぬときは私も一緒よ、レナ)
雪月花を握り締め、何があろうとレナを守る事を決めたシズネは鍛錬に励むためにその場を立ち去る。
――同時刻、レナの看病を行っていたコトミンは桶の水を入れ替えるために井戸に移動して新しい水を汲もうとしていた。彼女は井戸から水を汲み上げる途中、桶の中の水面に映し出された自分の顔を見て黙り込む。
(レナはもう限界……これ以上は無理をさせちゃ駄目)
誰よりもレナと長い付き合いであるコトミンだからこそ、現在のレナが危うい状態である事を理解していた。肉体の方も危険な状態ではあるが、それよりも問題なのはレナの精神面である。
(レナはいつも一人で問題を解決しようとする……私達はそんなに頼りにならない?)
これまでの行動でレナは基本的には自分一人で解決出来る問題は一人で行い、他の人間に協力を求める事はあっても一番大変な役目はいつも自分が担っていた。そのせいで本人も知らず知らずに大きな負担を抱えるようになり、遂に無理が祟って倒れてしまう。
仮にレナが目覚めたとしても、彼がまた無茶をするだろうとコトミンは予測していた。しかし、それだけは何としても止めなければならないと感じたコトミンは何かを決心したように頷く。
(レナは私が守る……一生守る)
もうこれ以上はレナに無理をさせないと誓ったコトミンはまずはレナの身体を楽にさせるため、治療に専念する事にした――
――それから二日後の夕方、遂に東壁街に向けて接近するクレナイの軍隊の元へギンタロウが送り付けた使者の一行が到着する。予想よりも軍隊の進行速度は早く、既にクレナイは東聖将の領地内へ入っていた。
「六聖将筆頭、守備将のクレナイだ。お前達が東聖将ギンタロウの使者と聞いているが、何の用事でやってきた?」
幕舎の中にてギンタロウの側近であるキン、ギン、ドウの3名、更に護衛として付いてきたカゲマル、ハンゾウ、アヤメの3名は目の前に立つクレナイの迫力に圧倒される。6人とも優れた武人であるが故、クレナイから発せられる威圧を敏感に感じ取り、全員が冷や汗を流す。
(これがヨツバ王国最強の将か……なるほど、ゴウライとは違った雰囲気の武人だな)
バルトロス王国最強の剣士と言われているゴウライも常人とは異なる雰囲気を持つが、クレナイの場合は彼女とは違った独特の雰囲気を纏っており、迂闊に話しかける事も出来ないほどにカゲマル達は圧迫感を味わう。
「……大丈夫だ、レナは必ず起きる」
「そうだよな……よし、何時までも落ち込んでても仕方ないな!!」
ダインは何かを決心したようにゴンゾウの背中から降りると、彼は自分の杖を握り締める。ここから先はもうレナだけに苦労をさせないと心に誓い、ダインはゴンゾウに宣言した。
「ゴンゾウ、僕は決めたぞ!!レナが目を覚ますまでの間に僕達はもっと強くなるんだ!!レナの力を借りなくても大手柄を上げられるぐらいにな!!」
「強くなる?何か考えがあるのか?」
「へへっ……僕だって成長してるんだよ。新しい魔法をもう少しで生み出せそうなんだ。この魔法が完成すればもう影魔法が役に立たないなんて馬鹿にする奴等はいなくなるぐらい凄い魔法だからな!!」
「そうなのか……実は俺の方も新しい戦技を身に着けられそうだ。まだ、扱い慣れてはいないが完成したらきっと今以上に強くなれる気がする」
「何だよ、ゴンゾウもそんなとっておきがあったのかよ……僕だけが強くなって見返してやろうと思ったのに」
「ふっ、抜け駆けはさせないぞ」
ゴンゾウもダインも新しい技を身に着けるために訓練を積んでおり、二人はレナが目を覚ます前に強くなるため、技の完成を急ぐ。そんな二人の様子を陰から覗き見る者がいた。
「……今はちょっと入りにくいわね」
二人の様子を見ていたのはシズネであり、彼女はレナの見舞いに赴く途中に二人を見かけて声を掛けようとしたが、二人の会話が耳に入った。ここで話しかけてもどちらの邪魔になるだけだと考えたシズネは立ち去る事を決め、自分の腰に差した雪月花に視線を向ける。
「私も負けていられないわね。貴方の力をもっと引き出して見せるわ」
ゴンゾウとダインの決意を感じ取ったシズネの方も今以上に自分の持つ魔剣の力を扱えるようになるため、レナの見舞いは中断し、自分も鍛錬に励む事にした。
――七大魔剣の一角である雪月花は非常に危険な能力を所有しており、その力を完全に解放させればあの七大聖剣にも匹敵する力を引き出せる可能性は十分にあった。だが、反面に魔剣の力を引き出せば引き出す程に所有者に大きな負担が掛かるため、これまでシズネは魔剣の力をある程度抑えた状態でしか使った事がない。
しかし、フェンリルとの戦闘の際にシズネは自分が力を出し惜しみしたせいでレナに無理をさせたのではないかと考え込み、大切な人を守るためならば自分の身を削る事を躊躇する事を止め、彼女は雪月花の持つ力を全て引き出す覚悟を決めた。
(もう、貴方だけに苦しい思いはさせないわ……貴方が死ぬときは私も一緒よ、レナ)
雪月花を握り締め、何があろうとレナを守る事を決めたシズネは鍛錬に励むためにその場を立ち去る。
――同時刻、レナの看病を行っていたコトミンは桶の水を入れ替えるために井戸に移動して新しい水を汲もうとしていた。彼女は井戸から水を汲み上げる途中、桶の中の水面に映し出された自分の顔を見て黙り込む。
(レナはもう限界……これ以上は無理をさせちゃ駄目)
誰よりもレナと長い付き合いであるコトミンだからこそ、現在のレナが危うい状態である事を理解していた。肉体の方も危険な状態ではあるが、それよりも問題なのはレナの精神面である。
(レナはいつも一人で問題を解決しようとする……私達はそんなに頼りにならない?)
これまでの行動でレナは基本的には自分一人で解決出来る問題は一人で行い、他の人間に協力を求める事はあっても一番大変な役目はいつも自分が担っていた。そのせいで本人も知らず知らずに大きな負担を抱えるようになり、遂に無理が祟って倒れてしまう。
仮にレナが目覚めたとしても、彼がまた無茶をするだろうとコトミンは予測していた。しかし、それだけは何としても止めなければならないと感じたコトミンは何かを決心したように頷く。
(レナは私が守る……一生守る)
もうこれ以上はレナに無理をさせないと誓ったコトミンはまずはレナの身体を楽にさせるため、治療に専念する事にした――
――それから二日後の夕方、遂に東壁街に向けて接近するクレナイの軍隊の元へギンタロウが送り付けた使者の一行が到着する。予想よりも軍隊の進行速度は早く、既にクレナイは東聖将の領地内へ入っていた。
「六聖将筆頭、守備将のクレナイだ。お前達が東聖将ギンタロウの使者と聞いているが、何の用事でやってきた?」
幕舎の中にてギンタロウの側近であるキン、ギン、ドウの3名、更に護衛として付いてきたカゲマル、ハンゾウ、アヤメの3名は目の前に立つクレナイの迫力に圧倒される。6人とも優れた武人であるが故、クレナイから発せられる威圧を敏感に感じ取り、全員が冷や汗を流す。
(これがヨツバ王国最強の将か……なるほど、ゴウライとは違った雰囲気の武人だな)
バルトロス王国最強の剣士と言われているゴウライも常人とは異なる雰囲気を持つが、クレナイの場合は彼女とは違った独特の雰囲気を纏っており、迂闊に話しかける事も出来ないほどにカゲマル達は圧迫感を味わう。
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