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外伝 ~ヨツバ王国編~
最悪のタイミング
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「シズネ!!早くそいつの止めを刺せ!!これ以上にレイビに情報を渡すな!!」
「無駄だ……もう俺の目的は果たされた」
「くっ……このっ!!」
白虎の目を通してレイビに情報が伝わっている事が判明し、これ以上の情報漏洩を防ぐ為にシズネは剣を振り翳す。だが、そんなシズネの耳元に複数の狼の鳴き声が聞こえてきた。
――ウォオオオオンッ!!
狼の群れの鳴き声が採掘場にまで届き、その声を耳にした全員が警戒態勢に入る。シズネは振り下ろしかけた白虎の刃を止め、動揺した表情を浮かべる。
「まさか、もう来たというの!?」
「……最後の忠告だ、生き延びたければここから逃げる事だな。冒険者達よ」
「こいつ!!」
「シズネ殿、そいつに構っている暇はないでござる!!すぐにレナ殿達を助けに向かわなければ!!」
シズネは白虎の言葉を聞いて怒りを露わにするが、ハンゾウの言葉を聞いて思い留まり、今は採掘場から離れた場所で避難しているレナ達の元へ急がなければならない。もしもレナの身に何か起きた場合は全員の脱出路を失ってしまい、この場所に孤立してしまう。
苛立ちを抱きながらもシズネは戦闘不能に陥った白虎を放置し、他の皆と共にレナの元へ向かう。移動速度が速いハンゾウとカゲマルも動き、他にも獣人族のロウガやガロ、ケンタウロス族のギンタロウも急ぐ。
「全員急げ!!あの小僧が殺されたら我々はここに取り残されてしまうぞ!!」
「縁起でもない事を言わないで欲しいわね!!」
「おい、喋っている暇はあんのかよ!?」
レナの元へ向かう際中でさえも言い争いを始めるロウガとシズネにガロは呆れた表情を浮かべるが、今は一刻も早くレナ達と合流する必要がある。しかし、既に狼の鳴き声は徐々に近づき、聴覚が鋭い者は鳴き声の正体に気付く。
「この声は間違いない、コボルト……いや、赤獣だ!!それも群れで行動している、10や20ではない数の赤獣が迫っているぞ!!」
「レイビは既にそれほどの数の赤獣を確保していたのでござるか!?」
「へっ!!コボルト如きがいくら集まろうと敵じゃねえだろ!?」
「馬鹿者!!奴等は普通のコボルトではない、それに採掘場には戦える状態ではない兵士がどれだけ存在すると思っている!?」
「急いで避難しなければ……!!」
既に赤獣はオロナ鉱山に到着し、採掘場に接近している事は間違いなかった。あとどれ程の時間の猶予があるのかは不明だが、一刻も早くレナ達を救い出さなければならなかった。
(私の責任だわ、もっと早く奴の行動に気付いていれば……!!)
白虎が守備に徹したのは援軍が辿り着くまでの時間稼ぎとしか思えず、もしもシズネが早々に白虎の企みに気付いていればこのような事態は避けられた可能性もある。だが、今はそんなもしもの事を考えている暇はなく、レナ達の姿を探す。
「レナ殿!!採掘場は制圧したでござる!!何処に隠れているのでござるか!?」
「ダイン、コトミン、エリナ、ティナ!!居るのなら返事をしなさい!!」
「何処だ?何処に隠れた……ぬうっ!?」
レナ達と別れた場所に到着すると大声を上げて呼びかけるが返事はなく、全員が手分けして探そうとした時、派手に土煙が巻い上がる。
「うおおおおっ!?何なんだよこいつら!?」
「……数が多すぎる」
「やばいっす!!守り切れないっす!!」
「こ、この子達、全然私のいう事を聞いてくれないよぅっ!?」
「ぷるぷるっ……」
『ガアアッ……!!』
大きな岩の上に乗ったダイン達が赤獣の群れに取り囲まれ、レナを守るために4人は必死に応戦していたが、あまりの数にダインの影魔法もコトミンのスラミン達を使った放水もエリナの射撃を受けても次々と新手が押し寄せてきた。その光景を確認したシズネは達は5人を救うために駆け出す。
「よくぞ持ちこたえていた!!後は任せろ!!旋風!!」
「辻斬り!!」
「不意打ち!!」
「「牙斬!!」」
「刺突!!」
『ギャインッ!?』
シズネ達が5人を取り囲む赤獣の群れに飛び込み、戦技を同時に発動させて吹き飛ばす。だが、麓の方角から続々と赤獣の群れが登場し、中にはコボルト以外の個体も存在した。
「ウガアアアッ!!」
「ブフゥウウッ!!」
「赤毛熊に甲殻獣だと!?レイビの奴め、ここで我等を確実に仕留めるつもりか!!」
コボルトを押しのけながら出現した赤毛熊と甲殻獣に対してギンタロウは鉞を構えて迎え撃ち、他の者達もレナ達を救出するために円陣を組む。あと少し待てば他の者達も追いついてくる事は間違いなく、ここを凌げば脱出の目途は立つ。
「ここが正念場だ!!奴等を打ち倒し、我々は東の領地に戻る!!全員、踏ん張るのだ!!」
「そうはいうけどよ……」
「奴等、短期間で一体どれだけの赤獣を生み出したのだ!?」
『グガァアアアッ!!』
無数のコボルトと数体の赤毛熊と甲殻獣が山頂に目掛けて駆け上がり、その光景を見た全員が流石に冷や汗を流さずにはいられない。通常の個体よりも凶暴化した赤獣の群れを相手にする事になるなど想定しておらず、全員が覚悟を決めて迎え撃つ。
「無駄だ……もう俺の目的は果たされた」
「くっ……このっ!!」
白虎の目を通してレイビに情報が伝わっている事が判明し、これ以上の情報漏洩を防ぐ為にシズネは剣を振り翳す。だが、そんなシズネの耳元に複数の狼の鳴き声が聞こえてきた。
――ウォオオオオンッ!!
狼の群れの鳴き声が採掘場にまで届き、その声を耳にした全員が警戒態勢に入る。シズネは振り下ろしかけた白虎の刃を止め、動揺した表情を浮かべる。
「まさか、もう来たというの!?」
「……最後の忠告だ、生き延びたければここから逃げる事だな。冒険者達よ」
「こいつ!!」
「シズネ殿、そいつに構っている暇はないでござる!!すぐにレナ殿達を助けに向かわなければ!!」
シズネは白虎の言葉を聞いて怒りを露わにするが、ハンゾウの言葉を聞いて思い留まり、今は採掘場から離れた場所で避難しているレナ達の元へ急がなければならない。もしもレナの身に何か起きた場合は全員の脱出路を失ってしまい、この場所に孤立してしまう。
苛立ちを抱きながらもシズネは戦闘不能に陥った白虎を放置し、他の皆と共にレナの元へ向かう。移動速度が速いハンゾウとカゲマルも動き、他にも獣人族のロウガやガロ、ケンタウロス族のギンタロウも急ぐ。
「全員急げ!!あの小僧が殺されたら我々はここに取り残されてしまうぞ!!」
「縁起でもない事を言わないで欲しいわね!!」
「おい、喋っている暇はあんのかよ!?」
レナの元へ向かう際中でさえも言い争いを始めるロウガとシズネにガロは呆れた表情を浮かべるが、今は一刻も早くレナ達と合流する必要がある。しかし、既に狼の鳴き声は徐々に近づき、聴覚が鋭い者は鳴き声の正体に気付く。
「この声は間違いない、コボルト……いや、赤獣だ!!それも群れで行動している、10や20ではない数の赤獣が迫っているぞ!!」
「レイビは既にそれほどの数の赤獣を確保していたのでござるか!?」
「へっ!!コボルト如きがいくら集まろうと敵じゃねえだろ!?」
「馬鹿者!!奴等は普通のコボルトではない、それに採掘場には戦える状態ではない兵士がどれだけ存在すると思っている!?」
「急いで避難しなければ……!!」
既に赤獣はオロナ鉱山に到着し、採掘場に接近している事は間違いなかった。あとどれ程の時間の猶予があるのかは不明だが、一刻も早くレナ達を救い出さなければならなかった。
(私の責任だわ、もっと早く奴の行動に気付いていれば……!!)
白虎が守備に徹したのは援軍が辿り着くまでの時間稼ぎとしか思えず、もしもシズネが早々に白虎の企みに気付いていればこのような事態は避けられた可能性もある。だが、今はそんなもしもの事を考えている暇はなく、レナ達の姿を探す。
「レナ殿!!採掘場は制圧したでござる!!何処に隠れているのでござるか!?」
「ダイン、コトミン、エリナ、ティナ!!居るのなら返事をしなさい!!」
「何処だ?何処に隠れた……ぬうっ!?」
レナ達と別れた場所に到着すると大声を上げて呼びかけるが返事はなく、全員が手分けして探そうとした時、派手に土煙が巻い上がる。
「うおおおおっ!?何なんだよこいつら!?」
「……数が多すぎる」
「やばいっす!!守り切れないっす!!」
「こ、この子達、全然私のいう事を聞いてくれないよぅっ!?」
「ぷるぷるっ……」
『ガアアッ……!!』
大きな岩の上に乗ったダイン達が赤獣の群れに取り囲まれ、レナを守るために4人は必死に応戦していたが、あまりの数にダインの影魔法もコトミンのスラミン達を使った放水もエリナの射撃を受けても次々と新手が押し寄せてきた。その光景を確認したシズネは達は5人を救うために駆け出す。
「よくぞ持ちこたえていた!!後は任せろ!!旋風!!」
「辻斬り!!」
「不意打ち!!」
「「牙斬!!」」
「刺突!!」
『ギャインッ!?』
シズネ達が5人を取り囲む赤獣の群れに飛び込み、戦技を同時に発動させて吹き飛ばす。だが、麓の方角から続々と赤獣の群れが登場し、中にはコボルト以外の個体も存在した。
「ウガアアアッ!!」
「ブフゥウウッ!!」
「赤毛熊に甲殻獣だと!?レイビの奴め、ここで我等を確実に仕留めるつもりか!!」
コボルトを押しのけながら出現した赤毛熊と甲殻獣に対してギンタロウは鉞を構えて迎え撃ち、他の者達もレナ達を救出するために円陣を組む。あと少し待てば他の者達も追いついてくる事は間違いなく、ここを凌げば脱出の目途は立つ。
「ここが正念場だ!!奴等を打ち倒し、我々は東の領地に戻る!!全員、踏ん張るのだ!!」
「そうはいうけどよ……」
「奴等、短期間で一体どれだけの赤獣を生み出したのだ!?」
『グガァアアアッ!!』
無数のコボルトと数体の赤毛熊と甲殻獣が山頂に目掛けて駆け上がり、その光景を見た全員が流石に冷や汗を流さずにはいられない。通常の個体よりも凶暴化した赤獣の群れを相手にする事になるなど想定しておらず、全員が覚悟を決めて迎え撃つ。
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