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外伝 ~ヨツバ王国編~
東聖将の実力
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「この俺の街に入ってくるとは……良い度胸だな魔物共!!」
「東聖将!!我々も共に生きます!!」
鉞を抱えたギンタロウが庭に出ると、既に準備を整えた兵士達が待機していた。彼等に一度だけ頷くと、厩の方から顔を見せた妻と娘の姿を見てギンタロウは一言だけ声を掛けた。
「リョウコ、家の事は任せたぞ!!」
「……ええ、任されました」
「とと、頑張って!!」
「うむ!!」
娘の声援を受けてギンタロウは満面の笑みを浮かべると、鉞を背中に携えて勢いよく助走も無しに屋敷の囲いを飛び越える。他の兵士達もそれに続き、ケンタウロス族はギンタロウの後に続くと、森人族の兵士は屋敷の警護を固めるために動く。
ギンタロウは屋敷の外へ抜け出すと、街の住民達が慌ただしく動き回り、既に街の中央部にも魔物が現れたらしく悲鳴が響き渡る。ギンタロウは鉞を握り締めると兵士達に指示を出す。
「すぐに住民を避難させろ!!負傷者は俺の屋敷へ運び込め!!それとエリナの奴にも屋敷の警備を頼むように伝えろ!!」
「はっ!!」
「しょ、将軍!!あれを見てください!!」
指示を与える際中、兵士の一人が何かに気付いたように大声を上げ、ギンタロウは視線を向けるとそこには道行く人たちを蹴散らしながら駆け抜ける魔物の姿が存在した。
「フゴォオオオオッ!!」
「あれは……甲殻獣か!!」
ギンタロウの視界に捉えたのはアトラス大森林にしか生息しない魔物であり、ユニコーンと同様に森人族の間では騎獣として飼育される事が多い「甲殻獣」と呼ばれる魔物だった。外見は獣というよりも恐竜に告示し、外見はトリケラトプスに近い。トリケラトプスと違って角は生えていないが全身をゴーレムのように硬い甲殻で覆われ、力も強くて数時間は走り続ける程の体力を有している。
魔物の危険度はレベル3に達し、卵の頃から飼育を行えば騎獣として扱う事も出来るが、街中に侵入してきたのは野生の種らしく見境なく住民を突き飛ばす。
「フゴォオオオッ!!」
「ぎゃああっ!?」
「か、風よ……あがぁっ!?」
街で暮らしている者の中には精霊魔法を扱える森人族も多いが、魔法で身を守る前に甲殻獣に突き飛ばされてしまう。精霊魔法は発動の際に高い集中力を必要とするため、街中に魔物が現れた時点で大混乱を起こしている住民達では身を守る事も難しい。
ギンタロウは街道を走り抜ける甲殻獣の前に立ちはだかり、鉞を背中に戻して両腕を前に構えると、正面から甲殻獣を止めようと踏ん張る。
「来いっ!!受け止めてやる!!」
「フゴォッ……!?」
前方に立ち塞がるギンタロウはを確認しても甲殻獣は勢いを殺さずに突進し、ギンタロウを吹き飛ばす意気込みで突っ込む。だが、ギンタロウは両手で甲殻獣の頭を抑えつけると、数メートルほど後退った所で甲殻獣の突進の威力を殺し、抑え込む事に成功する。
「ぐううっ……ぬぅんっ!!」
「フガァアアアアッ!?」
『おおっ!!』
甲殻獣を正面で受け止めただけではなく、そのままの勢いで横に投げ飛ばし、地面へ叩きつける。頑丈な頭を持つ甲殻獣は正面からの衝撃には強いが、側面からの攻撃に対してはそれほど耐性があるわけでもないらしく、強烈な衝撃を受けて身体を痙攣させた。
「フゴォッ……!?」
「よし、こいつを抑えろ!!」
「はっ!!」
ギンタロウは倒れた甲殻獣を配下の兵士達に抑えつけさせると、目元の部分を確認した。突進の際に接近した事で気づいたのかだが、どういう事なのか甲殻獣の瞳の色がまるで充血でもしたかのように赤色に変色している事に気付き、しかも酷い興奮状態に陥っている事に気付く。
「フゴォッ……フガァッ!!」
「うわ、こいつ……!!」
「おい、ちゃんと抑えろよ!!」
「何だこいつは……普通の甲殻獣よりも力が強い!?」
魔人族の中でも力が強いはずのケンタウロス族の兵士が3人がかりでどうにか甲殻獣を抑えつけ、普通の甲殻獣ならば2人がかりでも簡単に取り抑えられるのに対し、ギンタロウが倒した甲殻獣は非常に力強かった。しかも甲殻獣は狂暴ではあるが決して頭が悪いわけではなく、仮にも自分が敵わない相手と対峙した場合はすぐに逃げ出す習性を持つ。
それにも関わらずにギンタロウに倒されたはずの甲殻獣は興奮が収まらぬように身体を震わせ、今にも3人の兵士を押しのけてギンタロウに襲いかからん勢いで暴れ狂う。その様子を異常と判断したギンタロウは捕縛は諦め、鉞を構えて甲殻獣の頭に振り下ろす。
「お前達は離れていろ……兜割り!!」
「フゴォッ――!?」
鉞が振り落とされた瞬間、ゴーレムにも匹敵する硬度を誇る甲殻獣の兜が叩き潰され、地面に鮮血が舞う。一撃で甲殻獣の頭を叩き潰したギンタロウに兵士達は感嘆の声を上げるが、ギンタロウは鉞にこびり付いた血を振り払い、兵士達に新たな指示を出す。
「どうやらこいつらは普通の魔物ではないようだな……各自、行動する時は常に二人組で動け!!他の場所で動いている兵士達にも指示を伝えろ!!」
「分かりました!!将軍はこれからどうされるのですか!?」
「俺は魔物共が現れたという城門へ向かう!!キン、ギン、ドウの3人だけは付いてこい!!他の者は住民の避難活動を急げ!!」
『はっ!!』
ギンタロウは側近の3人のケンタウロスを引き連れて街道を駆け抜け、魔物を木箱に覆い隠した荷車が現れたという城門へ向かう。
「プギィイイッ!!」
「ギィアアアッ!!」
「オークとゴブリンか!!」
移動中、甲殻獣以外の魔物も発見され、住民から奪い取ったと思われる農具を振り回すゴブリンとオークの集団を発見したギンタロウは鉞を構えると、走行したまま両手の鉞を振り翳す。
「そこを退けぃっ!!戦技……円斧!!」
『ギィアアアッ!?』
先頭を走るギンタロウは両手で鉞を回転させながら駆け抜けると、ゴブリンとオークの肉体を次々と切り裂く。回転の戦技の発展形であり、斧系の武器を所持した場合のみに発動させる事が出来る複合戦技である。レナの「剛剣」と同様にギンタロウも巨人族が扱う「撃剣」の戦技を習得しており、複数の戦技と組み合わせた独自の複合戦技を扱う。
六聖将の中でもクレナイと同じく武闘派であるギンタロウの実力はバルトロス王国の大将軍にも劣らず、将軍としての歴は短いがその実力は決して他の六聖将にも劣らない。魔法を使用できないにも関わらずに六聖将の座に就いたのは伊達ではなく、レナ達が森で遭遇したコボルトと同じく「赤獣」と化している魔物達を次々と葬る。
「将軍!!こ奴等、やはり統率は取れていません!!それぞれが暴れまわっているだけで何か目的があって動いているようには見えません!!」
「ゴブリンは力は弱いが常に集団行動を心掛ける魔物、それにも関わらずにこいつらは仲間意識もなく暴れ回るどころか同士討ちさえ行っていますぞ!!」
「という事はこいつらは魔物使いに操られた魔物である可能性は低いという事か?」
「考えるな!!今は先に進む事に集中しろ!!」
『はっ!!』
3人の側近の言葉を耳にしながらもギンタロウは進む事だけに集中するように叱りつけ、移動を急ぐ。ギンタロウの長年の狩猟で磨き上げた直感が城門へ急いで向かうように告げ、今は考えるよりも先に目的を果たす事に専念する。彼の直感は決して間違ってはおらず、城門の方では既に大勢の魔物が住民と兵士に襲いかかっていた。
※ギンタロウの実力は六聖将の中でも中間ぐらいです。他の将軍と違って魔法は扱えませんが、人間以上の身体能力に磨き上げた武を誇ります。
「東聖将!!我々も共に生きます!!」
鉞を抱えたギンタロウが庭に出ると、既に準備を整えた兵士達が待機していた。彼等に一度だけ頷くと、厩の方から顔を見せた妻と娘の姿を見てギンタロウは一言だけ声を掛けた。
「リョウコ、家の事は任せたぞ!!」
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「とと、頑張って!!」
「うむ!!」
娘の声援を受けてギンタロウは満面の笑みを浮かべると、鉞を背中に携えて勢いよく助走も無しに屋敷の囲いを飛び越える。他の兵士達もそれに続き、ケンタウロス族はギンタロウの後に続くと、森人族の兵士は屋敷の警護を固めるために動く。
ギンタロウは屋敷の外へ抜け出すと、街の住民達が慌ただしく動き回り、既に街の中央部にも魔物が現れたらしく悲鳴が響き渡る。ギンタロウは鉞を握り締めると兵士達に指示を出す。
「すぐに住民を避難させろ!!負傷者は俺の屋敷へ運び込め!!それとエリナの奴にも屋敷の警備を頼むように伝えろ!!」
「はっ!!」
「しょ、将軍!!あれを見てください!!」
指示を与える際中、兵士の一人が何かに気付いたように大声を上げ、ギンタロウは視線を向けるとそこには道行く人たちを蹴散らしながら駆け抜ける魔物の姿が存在した。
「フゴォオオオオッ!!」
「あれは……甲殻獣か!!」
ギンタロウの視界に捉えたのはアトラス大森林にしか生息しない魔物であり、ユニコーンと同様に森人族の間では騎獣として飼育される事が多い「甲殻獣」と呼ばれる魔物だった。外見は獣というよりも恐竜に告示し、外見はトリケラトプスに近い。トリケラトプスと違って角は生えていないが全身をゴーレムのように硬い甲殻で覆われ、力も強くて数時間は走り続ける程の体力を有している。
魔物の危険度はレベル3に達し、卵の頃から飼育を行えば騎獣として扱う事も出来るが、街中に侵入してきたのは野生の種らしく見境なく住民を突き飛ばす。
「フゴォオオオッ!!」
「ぎゃああっ!?」
「か、風よ……あがぁっ!?」
街で暮らしている者の中には精霊魔法を扱える森人族も多いが、魔法で身を守る前に甲殻獣に突き飛ばされてしまう。精霊魔法は発動の際に高い集中力を必要とするため、街中に魔物が現れた時点で大混乱を起こしている住民達では身を守る事も難しい。
ギンタロウは街道を走り抜ける甲殻獣の前に立ちはだかり、鉞を背中に戻して両腕を前に構えると、正面から甲殻獣を止めようと踏ん張る。
「来いっ!!受け止めてやる!!」
「フゴォッ……!?」
前方に立ち塞がるギンタロウはを確認しても甲殻獣は勢いを殺さずに突進し、ギンタロウを吹き飛ばす意気込みで突っ込む。だが、ギンタロウは両手で甲殻獣の頭を抑えつけると、数メートルほど後退った所で甲殻獣の突進の威力を殺し、抑え込む事に成功する。
「ぐううっ……ぬぅんっ!!」
「フガァアアアアッ!?」
『おおっ!!』
甲殻獣を正面で受け止めただけではなく、そのままの勢いで横に投げ飛ばし、地面へ叩きつける。頑丈な頭を持つ甲殻獣は正面からの衝撃には強いが、側面からの攻撃に対してはそれほど耐性があるわけでもないらしく、強烈な衝撃を受けて身体を痙攣させた。
「フゴォッ……!?」
「よし、こいつを抑えろ!!」
「はっ!!」
ギンタロウは倒れた甲殻獣を配下の兵士達に抑えつけさせると、目元の部分を確認した。突進の際に接近した事で気づいたのかだが、どういう事なのか甲殻獣の瞳の色がまるで充血でもしたかのように赤色に変色している事に気付き、しかも酷い興奮状態に陥っている事に気付く。
「フゴォッ……フガァッ!!」
「うわ、こいつ……!!」
「おい、ちゃんと抑えろよ!!」
「何だこいつは……普通の甲殻獣よりも力が強い!?」
魔人族の中でも力が強いはずのケンタウロス族の兵士が3人がかりでどうにか甲殻獣を抑えつけ、普通の甲殻獣ならば2人がかりでも簡単に取り抑えられるのに対し、ギンタロウが倒した甲殻獣は非常に力強かった。しかも甲殻獣は狂暴ではあるが決して頭が悪いわけではなく、仮にも自分が敵わない相手と対峙した場合はすぐに逃げ出す習性を持つ。
それにも関わらずにギンタロウに倒されたはずの甲殻獣は興奮が収まらぬように身体を震わせ、今にも3人の兵士を押しのけてギンタロウに襲いかからん勢いで暴れ狂う。その様子を異常と判断したギンタロウは捕縛は諦め、鉞を構えて甲殻獣の頭に振り下ろす。
「お前達は離れていろ……兜割り!!」
「フゴォッ――!?」
鉞が振り落とされた瞬間、ゴーレムにも匹敵する硬度を誇る甲殻獣の兜が叩き潰され、地面に鮮血が舞う。一撃で甲殻獣の頭を叩き潰したギンタロウに兵士達は感嘆の声を上げるが、ギンタロウは鉞にこびり付いた血を振り払い、兵士達に新たな指示を出す。
「どうやらこいつらは普通の魔物ではないようだな……各自、行動する時は常に二人組で動け!!他の場所で動いている兵士達にも指示を伝えろ!!」
「分かりました!!将軍はこれからどうされるのですか!?」
「俺は魔物共が現れたという城門へ向かう!!キン、ギン、ドウの3人だけは付いてこい!!他の者は住民の避難活動を急げ!!」
『はっ!!』
ギンタロウは側近の3人のケンタウロスを引き連れて街道を駆け抜け、魔物を木箱に覆い隠した荷車が現れたという城門へ向かう。
「プギィイイッ!!」
「ギィアアアッ!!」
「オークとゴブリンか!!」
移動中、甲殻獣以外の魔物も発見され、住民から奪い取ったと思われる農具を振り回すゴブリンとオークの集団を発見したギンタロウは鉞を構えると、走行したまま両手の鉞を振り翳す。
「そこを退けぃっ!!戦技……円斧!!」
『ギィアアアッ!?』
先頭を走るギンタロウは両手で鉞を回転させながら駆け抜けると、ゴブリンとオークの肉体を次々と切り裂く。回転の戦技の発展形であり、斧系の武器を所持した場合のみに発動させる事が出来る複合戦技である。レナの「剛剣」と同様にギンタロウも巨人族が扱う「撃剣」の戦技を習得しており、複数の戦技と組み合わせた独自の複合戦技を扱う。
六聖将の中でもクレナイと同じく武闘派であるギンタロウの実力はバルトロス王国の大将軍にも劣らず、将軍としての歴は短いがその実力は決して他の六聖将にも劣らない。魔法を使用できないにも関わらずに六聖将の座に就いたのは伊達ではなく、レナ達が森で遭遇したコボルトと同じく「赤獣」と化している魔物達を次々と葬る。
「将軍!!こ奴等、やはり統率は取れていません!!それぞれが暴れまわっているだけで何か目的があって動いているようには見えません!!」
「ゴブリンは力は弱いが常に集団行動を心掛ける魔物、それにも関わらずにこいつらは仲間意識もなく暴れ回るどころか同士討ちさえ行っていますぞ!!」
「という事はこいつらは魔物使いに操られた魔物である可能性は低いという事か?」
「考えるな!!今は先に進む事に集中しろ!!」
『はっ!!』
3人の側近の言葉を耳にしながらもギンタロウは進む事だけに集中するように叱りつけ、移動を急ぐ。ギンタロウの長年の狩猟で磨き上げた直感が城門へ急いで向かうように告げ、今は考えるよりも先に目的を果たす事に専念する。彼の直感は決して間違ってはおらず、城門の方では既に大勢の魔物が住民と兵士に襲いかかっていた。
※ギンタロウの実力は六聖将の中でも中間ぐらいです。他の将軍と違って魔法は扱えませんが、人間以上の身体能力に磨き上げた武を誇ります。
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