464 / 2,083
放浪編
領主の息子
しおりを挟む
「よし、捕まえればこっちのもんだ!!すぐにそいつを屋敷へ運び出せ!!」
「縄で縛れ!!もう逃がさないからな!!」
「おい、ちょっと乱暴じゃないのか?」
「というか、勝手にうちの獲物に触らないでほしいんですけど」
「だからこいつは領主様の息子のペットだって言ってんだろ!?」
勝手に魚人を連れ出そうとする傭兵達にレナとゴンゾウが近寄ると、盗賊の頭が腰に差していたカトラスを引き抜いて構える。
「へへっ……悪いがこいつは俺達が連れて行く。見つけてくれたのは感謝するが、報酬は俺達の物だ!!」
「むうっ……私の昼ご飯なのに」
「本当に食べる気だったのか!?人魚族と魚人族は親戚みたいなもんだろうが!?」
不満そうに頬を膨らませて抗議を行うコトミンに傭兵の頭は戸惑うが、そんな彼に対してレナはため息を吐きながら近寄り、刀を持っていない右手を伸ばす。その行為を見て傭兵の頭は驚いた表情を浮かべ、慌てて刃を振り払う。
「ち、近づくんじゃねえ!!本当に切っちまうぞ!?ガキだからって容赦しないぞ!!」
「うるさいな……よっと」
「うおおっ!?」
カトラスの刃を人差し指と親指で挟んだレナは「形状高速変化」の能力を利用して刃の形を変形させ、刀身をくの字のように折り曲げる。傍目から見たらレナが恐ろしい怪力で刃を曲げたようにしか見えず、刃が完全に曲がってしまった傭兵の頭は慌ててカトラスを手放してしまう。
その光景を見た他の傭兵達も目を見開き、魚人を拘束する事を中断してレナに視線を向ける。全員に見られている事に気付きながらもレナは落ちたカトラスを拾い上げ、今度は刃を元の形に戻すように引き延ばすと、腰を抜かした傭兵の頭に差し出す。
「ほら、落としましたよ」
「あ、ああっ……!?」
「な、何だこのガキ……化物か!?」
「おい、こいつら本当は腕利きの冒険者なんじゃ……」
先ほどまでの威勢はどうしたのか、レナの行動を目の当たりにした傭兵達は怖気ついたように顔色を青くさせ、その光景を確認したゴンゾウは自分が出る必要はないと判断して待機する。
「ところでさ……あんたら、さっき報酬を貰えるとか言ってたけど、もしかしてこの鮫を領主の元へ送り返したら大金が貰えるの?」
「えっ……あっ、はい?」
「それ……いくらぐらい?」
報酬という言葉に反応したレナは傭兵達に笑みを浮かべ、都合よく金欠の状態だったので彼等の話す内容によっては鮫を引き渡しても構わない事を伝えた――
――十数分後、縄で縛りつけた魚人を荷車に乗せてレナ達は傭兵の案内の元で街の領主の元へ訪れ、傭兵を通して事情を話して自分達が川で泳いでいた魚人を捕まえた事を伝える。そして傭兵が受け取るはずだった報酬の半額を受け取る事を条件に魚人を引き渡す事を領主に申し込むと、相手は快く承諾してレナ達を屋敷の中に招く。
「改めまして私がこの街の領主を行っているガブと申します。此度の件、我が家が雇っている傭兵が皆さまに迷惑を掛けてしまい、誠に申し訳ない……」
「いえ、頭を上げてください。こちらは気にしていないので……」
「ゴンゾ、ここお菓子美味しい」
「うむ。お茶も美味いな……」
この街を領主を務めるのは「ガブ」という名前の獣人国の男爵らしく、傭兵が連れて来たレナ達の話を聞くために客室にまで案内を行い、高価なお菓子とお茶を用意して今回の件の謝罪を行う。傭兵達が無理やりにレナ達が捕まえた魚人を奪い取ろうとした件を聞いてガブ男爵は申し訳なさそうに頭を下げる。
「彼等は最近雇ったばかりの傭兵なのですが、どうも粗忽物が多くて我等も困っています……腕に自信があると言って雇ったのですが、やはり傭兵など当てになりませんな」
「そうなんですか……あの、どうして傭兵を雇っているんですか?」
「我が領地は土地が少なく、私兵を雇用する事も出来ません。なので用事が出来たときに傭兵ギルドに掛け合い、腕の立つ傭兵を雇うのですが……今回はどうも外れをひいたようです」
冒険者や巨人族が混じっているとはいえ、3人の子供を相手に情けなく魚人を譲り受けた傭兵達にガブ男爵は落胆を隠せないようであり、溜息を吐きながら紅茶をすする。その様子を見ながらレナは私兵が雇えない程に不味しいと言い張るにしては部屋の内装も用意されたお菓子も紅茶も高級品である事に疑問を抱く。
(私兵を雇う事も出来ない割には随分と羽振りが良さそうだけどな……何か兵士を雇えない理由でもあるのか?)
金銭面で困っているようには見えず、そもそも魚人を探し出すために傭兵を雇うという話自体がおかしく、不思議に思いながらもレナは本題に入る。
「それで報酬の件なんですが……」
「その事に関してなのですが、実は皆さまにお願いしたい事があります。報酬の件はその後という事でよろしいでしょうか?」
「……まあ、構いませんが」
嫌な予感を覚えながらも今後の旅費を稼ぐために報酬を受け取りたいレナはガブの話を聞く事にすると、ガブはベルを鳴らして使用人を呼ぶ。
※今回の投降の……面倒くさい!!
アイリス「はい、上記に書いてある通りにもう私が公開ボタンを押すまでの茶番は省略させてもらいます。これからは不定期に連続投稿します」(´ω`)ノ公開ボタン
レナ「もしも10時以外に投稿されていたら俺達の活躍で公開ボタンが押されたと考えてください」(・ω・)ノ
カタナヅキ「や、休ませてくれない……」(;´・ω・)
「縄で縛れ!!もう逃がさないからな!!」
「おい、ちょっと乱暴じゃないのか?」
「というか、勝手にうちの獲物に触らないでほしいんですけど」
「だからこいつは領主様の息子のペットだって言ってんだろ!?」
勝手に魚人を連れ出そうとする傭兵達にレナとゴンゾウが近寄ると、盗賊の頭が腰に差していたカトラスを引き抜いて構える。
「へへっ……悪いがこいつは俺達が連れて行く。見つけてくれたのは感謝するが、報酬は俺達の物だ!!」
「むうっ……私の昼ご飯なのに」
「本当に食べる気だったのか!?人魚族と魚人族は親戚みたいなもんだろうが!?」
不満そうに頬を膨らませて抗議を行うコトミンに傭兵の頭は戸惑うが、そんな彼に対してレナはため息を吐きながら近寄り、刀を持っていない右手を伸ばす。その行為を見て傭兵の頭は驚いた表情を浮かべ、慌てて刃を振り払う。
「ち、近づくんじゃねえ!!本当に切っちまうぞ!?ガキだからって容赦しないぞ!!」
「うるさいな……よっと」
「うおおっ!?」
カトラスの刃を人差し指と親指で挟んだレナは「形状高速変化」の能力を利用して刃の形を変形させ、刀身をくの字のように折り曲げる。傍目から見たらレナが恐ろしい怪力で刃を曲げたようにしか見えず、刃が完全に曲がってしまった傭兵の頭は慌ててカトラスを手放してしまう。
その光景を見た他の傭兵達も目を見開き、魚人を拘束する事を中断してレナに視線を向ける。全員に見られている事に気付きながらもレナは落ちたカトラスを拾い上げ、今度は刃を元の形に戻すように引き延ばすと、腰を抜かした傭兵の頭に差し出す。
「ほら、落としましたよ」
「あ、ああっ……!?」
「な、何だこのガキ……化物か!?」
「おい、こいつら本当は腕利きの冒険者なんじゃ……」
先ほどまでの威勢はどうしたのか、レナの行動を目の当たりにした傭兵達は怖気ついたように顔色を青くさせ、その光景を確認したゴンゾウは自分が出る必要はないと判断して待機する。
「ところでさ……あんたら、さっき報酬を貰えるとか言ってたけど、もしかしてこの鮫を領主の元へ送り返したら大金が貰えるの?」
「えっ……あっ、はい?」
「それ……いくらぐらい?」
報酬という言葉に反応したレナは傭兵達に笑みを浮かべ、都合よく金欠の状態だったので彼等の話す内容によっては鮫を引き渡しても構わない事を伝えた――
――十数分後、縄で縛りつけた魚人を荷車に乗せてレナ達は傭兵の案内の元で街の領主の元へ訪れ、傭兵を通して事情を話して自分達が川で泳いでいた魚人を捕まえた事を伝える。そして傭兵が受け取るはずだった報酬の半額を受け取る事を条件に魚人を引き渡す事を領主に申し込むと、相手は快く承諾してレナ達を屋敷の中に招く。
「改めまして私がこの街の領主を行っているガブと申します。此度の件、我が家が雇っている傭兵が皆さまに迷惑を掛けてしまい、誠に申し訳ない……」
「いえ、頭を上げてください。こちらは気にしていないので……」
「ゴンゾ、ここお菓子美味しい」
「うむ。お茶も美味いな……」
この街を領主を務めるのは「ガブ」という名前の獣人国の男爵らしく、傭兵が連れて来たレナ達の話を聞くために客室にまで案内を行い、高価なお菓子とお茶を用意して今回の件の謝罪を行う。傭兵達が無理やりにレナ達が捕まえた魚人を奪い取ろうとした件を聞いてガブ男爵は申し訳なさそうに頭を下げる。
「彼等は最近雇ったばかりの傭兵なのですが、どうも粗忽物が多くて我等も困っています……腕に自信があると言って雇ったのですが、やはり傭兵など当てになりませんな」
「そうなんですか……あの、どうして傭兵を雇っているんですか?」
「我が領地は土地が少なく、私兵を雇用する事も出来ません。なので用事が出来たときに傭兵ギルドに掛け合い、腕の立つ傭兵を雇うのですが……今回はどうも外れをひいたようです」
冒険者や巨人族が混じっているとはいえ、3人の子供を相手に情けなく魚人を譲り受けた傭兵達にガブ男爵は落胆を隠せないようであり、溜息を吐きながら紅茶をすする。その様子を見ながらレナは私兵が雇えない程に不味しいと言い張るにしては部屋の内装も用意されたお菓子も紅茶も高級品である事に疑問を抱く。
(私兵を雇う事も出来ない割には随分と羽振りが良さそうだけどな……何か兵士を雇えない理由でもあるのか?)
金銭面で困っているようには見えず、そもそも魚人を探し出すために傭兵を雇うという話自体がおかしく、不思議に思いながらもレナは本題に入る。
「それで報酬の件なんですが……」
「その事に関してなのですが、実は皆さまにお願いしたい事があります。報酬の件はその後という事でよろしいでしょうか?」
「……まあ、構いませんが」
嫌な予感を覚えながらも今後の旅費を稼ぐために報酬を受け取りたいレナはガブの話を聞く事にすると、ガブはベルを鳴らして使用人を呼ぶ。
※今回の投降の……面倒くさい!!
アイリス「はい、上記に書いてある通りにもう私が公開ボタンを押すまでの茶番は省略させてもらいます。これからは不定期に連続投稿します」(´ω`)ノ公開ボタン
レナ「もしも10時以外に投稿されていたら俺達の活躍で公開ボタンが押されたと考えてください」(・ω・)ノ
カタナヅキ「や、休ませてくれない……」(;´・ω・)
0
お気に入りに追加
16,534
あなたにおすすめの小説
それでも女神は続けたい
ikaru_sakae
ファンタジー
毎年真冬に開かれる「星選式」のため、北の聖地にやってきた獣人族の少女。
美辞麗句で飾られた聖なる儀式は、じつのところ、無慈悲な女神が選ぶ生贄の儀式だった――
遠い異世界で目まぐるしく展開する、雪と氷と魔法のファンタジー。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~
空戯K
ファンタジー
ごく普通のぽっちゃり女子高生、牧 心寧(まきころね)はチートスキルを与えられ、異世界で目を覚ました。
有するスキルは、『暴食の魔王』。
その能力は、“食べたカロリーを魔力に変換できる”というものだった。
強大なチートスキルだが、コロネはある裏技に気づいてしまう。
「これってつまり、適当に大魔法を撃つだけでカロリー帳消しで好きなもの食べ放題ってこと!?」
そう。
このチートスキルの真価は新たな『ゼロカロリー理論』であること!
毎日がチートデーと化したコロネは、気ままに無双しつつ各地の異世界グルメを堪能しまくる!
さらに、食に溺れる生活を楽しんでいたコロネは、次第に自らの料理を提供したい思いが膨らんできて――
「日本の激ウマ料理も、異世界のド級ファンタジー飯も両方食べまくってやるぞぉおおおおおおおお!!」
コロネを中心に異世界がグルメに染め上げられていく!
ぽっちゃり×無双×グルメの異世界ファンタジー開幕!
※基本的に主人公は少しずつ太っていきます。
※45話からもふもふ登場!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。