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放浪編

仮面の理由

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「ここまでだ。降参しろ、あんたがここで一番偉いんだろ?だったら全員に下がるように命じろ」
「…………」
「言っておくけど下手な真似をすれば次は首を斬る」


反鏡剣の刃を看守長の首元に構えたレナは赤色の瞳を光り輝かせ、脅しではない事を示す用に刃を軽く首筋に触れさせて血を滲ませる。看守長は眉を顰め、やがて溜息を吐きながら全員の注目を集める。


「全員、止まれ!!」
『っ……!?』


隻腕のゴブリンや負傷したゴンゾウを取り囲んでいた兵士達が止まり、レナと看守長の姿を見て驚愕の表情を浮かべる。監獄都市を支配し続けた看守長が人間の少年に剣を突きつけられるという光景に誰もが理解するのに追い付かず、それは他の看守も同様だった。


「残念だが、僕達の負けだ。君達の要求を呑もう」
「……意外と話が通じるね」
「生憎と僕は死ぬ訳にはいかないんだ……僕が死ねば僕の大切な人達が悲しむからね」
「あらあら……」


看守長の言葉にパールは困った風に頬に顔を当て、兵士に肩を借りて立ち上がったハイ・ゴブリンも観念したように溜息を吐く。やがてレナ達を取り囲んでいた兵士達も武器を降ろし、その間にゴンゾウの元に回復薬を握り締めたネズミが近寄って治療を促す。


「ほら、ゴンゾウさん。回復薬ですよ」
「ああっ……すまない」


鬼人化の影響で肉体に大きな負荷を与えたゴンゾウはまともに動くことも出来ず、ネズミの力を借りて回復薬を飲み込み、肉体に注がれる。完全に回復するのは時間が掛かるだろうが筋肉痛の類はレナの回復魔法でも治療する事は可能のため、いずれは完全に回復するだろう。

看守長の首元に刃を構えたままレナはゴンゾウとネズミの元に近寄り、その後に隻腕のゴブリンとガルムも続く。ここでレナはある事に気づき、脱出のために用意したハンググラインダーではこれ程の大人数を乗せて監獄都市を抜け出せない事を思い出す。


(しまったな……俺の作ったハンググラインダーだとゴンちゃんを乗せて飛ぶ事も難しそうだ。こんな事ならもっと別の乗り物でも作っておくべきだったかな……)


監獄都市を抜け出しても延々と続く荒野と山岳地帯が広がっているため、抜け出したところで移動手段がなければ途中で力尽きてしまう。なのでレナは空を移動するハンググラインダーを用意したのだが、よくよく考えれば兵士が利用する馬車の存在を思い出す。


「そうだ、ここに来るときに使った馬車を用意して欲しい。あれなら大人数でも問題なく移動出来るんでしょ?」
「……用意してくれ」
「は、はい!!」


レナの要望に看守長が兵士に命じると、慌てて彼等はその場を離れて馬車が存在する場所まで向かう。その間にレナは看守長が動けないように拘束するため、空間魔法を発動させて久しぶりに「神器チェーン」を取り出した。


「これを使うのも久しぶりな気がするな……絡みつけ!!」
「うぐっ!?これは……!?」
「か、看守長!?」


白銀の鎖が異空間から出現した瞬間、レナの言葉に反応するように看守長の全身に絡みつき、逃げられないよう拘束する。この神器チェーンは非常に頑丈な素材で構成されているので大型の魔物であろうと破壊する事は出来ない。右腕にチェーンを装着したレナは看守長を引きずりながらゴンゾウに回復魔法を施す。


「頑張ったねゴンちゃん。ちょっと見てたけど、凄い力だったね」
「ああっ……だが、完全に扱いきれなかった。やはり、俺は未熟だな」
「何言ってんですか。監獄都市のナンバー2を倒しただけでも十分ですよ。まあ、それよりもこれからどうするんですか?このおじさんを人質に都市から抜け出すつもりですか?」
「お、おじさんって……」


看守長はネズミの言葉に少し衝撃を受けたように項垂れ、その様子を見たゴンゾウは不思議に思ったようにネズミと看守長の顔を見比べる。二人の関係性が気になったレナは改めて質問する。


「ネズミ、もしかしてお前って看守長の……子供?」
「……まあ、認めたくはない事実ですが」
「何!?そうだったのか!?」
「ううっ……」


レナの言葉にゴンゾウは心底驚いた表情を浮かべ、二人の関係性を知らなかったのはレナ達だけだったのか他の兵士や看守は特に反応は示さない。どうしてレナが二人の関係を見抜いたのかというと、女囚館に忍び込んだ時に偶然にも見かけた看守長の顔がネズミとよく似ていた事から二人が親子ではないかと疑っていた。

看守長は基本的に仮面で顔半分を隠しているので最初は気付かなかったが、よくよく観察すれば二人の顔はよく似ており、ネズミの方が幼さと若干中性的な顔立ちをしていた。この際にレナは看守長が仮面で顔を隠す事に拘っていた理由も知りたくなり、二人に問う。


「そういえば何で看守長は仮面を付けているの?なんか随分と思い入れがあるようだけど……」
「それは……この仮面はネズミ君からの初めてのプレゼントなんだ。だから私にとっての宝物なんだ」
「はあっ……つくづく恥ずかしい親ですよ」


仮面に執着する理由を堂々と語る看守長にネズミは頭を抑えながらため息を吐き出し、どうやら息子であるネズミの方が立場が上らしい。



※今回の投降の10秒前

アイリス「い、今ですレナさん!!公開ボタンを押してください!!」(ノД`)ノ←羽交い締め
カタナヅキ「き、貴様!!まだ動けたのか!?」(; ・`д・´)
レナ「そのまま抑えろアイリス!!この技はあと一度しか使えない!!」( ゚Д゚)←指先に力を溜める
カタナヅキ「や、止めろぉっ!!分かった、俺の降参だ!!だからボタンだけは……!!」(;´・ω・)
アイリス「へへ、死ぬときは一緒ですよ……」(´ω`)b
レナ「うおおおおっ!!」( ゚Д゚)ノポチッ


シズネ「普通に投稿しなさいよ!!」(#^ω^)メッ!!
3人「さーせん」
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