348 / 2,083
都市崩壊編
ウルとダインに迫る危機
しおりを挟む
――時刻は少し前に遡り、橋から流されてしまったコトミンとレナの後を追ってダインはウルの背中にしがみ付きながら二人の姿を探していた。結果的にはコトミンの魔法のお陰で暴走していた森人族の騎士達は正気を取り戻したのはいいが、予想外に水の勢いが強すぎて数人が川に流されてしまう。
「たくっ、何処まで流されたんだよあいつら……全然見えないぞ」
「ウォンッ!?」
「うわ、何だっ!?」
ウルと共にダインは川を下るが、一向にレナとコトミンの姿は見えない。それでも川を辿れば必ず二人を見つける事が出来ると信じてダインはウルを走らせるが、途中で急にウルは立ち止まってしまった。
「きゅ、急にどうしたんだよウル?僕が強くしがみ付き過ぎたか?」
「クゥ~ンッ……」
ダインは自分が首元を強く抱きしめ過ぎたから止まったのかと考えたが、それを否定するようにウルは首を振り、聞き耳を立てるように耳を動かす。彼の行動にダインは訝しむが、耳を研ぎ澄ませるようにウルは黙り込み、目を見開いてある方向を睨みつける。
「グルルルッ……!!」
「ウル?どうしたんだよ……何だっ!?」
唸り声を上げたウルにダインは何が起きたのか尋ねようとした時、近くに存在した建物の壁が崩壊し、派手な土煙が舞い上がる。何事かとダインは壁が崩壊した建物に視線を向けると、そこには予想外の存在が立っていた。
「いつつっ……くそ、化物がっ!!」
「大丈夫ですかシュン!!」
「馬鹿な……何なのだこいつは!!」
「え、あんたは……確か剣聖のシュンと、王国四騎士のリンダとアカイ!?」
壁を破壊して街道に倒れこんだのは剣聖のシュンであり、すぐに瓦礫を飛び越えてティナの護衛役を任されているはずのリンダと国王の護衛を務めるアカイも現れる。どうしてこの状況で3人が壁が崩壊した建物から姿を現したのかとダインは驚くと、彼の存在に気付いたシュンが注意の言葉を掛ける。
「おい、お前!!ここは危ないから下がってろ!!巻き添えを喰らうぞ!!」
「下がりなさい!!すぐにここから離れて!!」
「来るぞっ!!」
「ええっ!?」
瞬は右肩を抑えながら折れた剣を握りしめ、リンダは闘拳を装着し、アカイは風の精霊を呼び寄せて竜巻を身に纏う。3人の行動にダインは呆気に取られていると、建物の中から新しい人影が姿を現した。
『ウオオオオッ……!!』
「な、何だこいつ!?」
「おい、だから下がってろと言ってんだろ!!ここに居たら死ぬぞ!!」
「余所見をするな!!またくるぞ!!」
――ダイン達の前に現れたのは日本の「鎧武者」を想像させる赤色の甲冑を身に付けた巨大なゴブリンが出現し、その両手には紅色の刀身の「大太刀」を握りしめていた。ゴブリンの体長は通常の魔獣兵よりも一回り程大きく、巨人族を上回る巨躯のゴブリンが武器を振り下ろす。
『ウガァアアアッ!!』
「くそっ!!」
「くっ!!」
「ちぃっ!!」
「うわぁあああっ!?」
「ガアッ!?」
赤色の甲冑を装備したゴブリンが腕を振り下ろした瞬間、大太刀が地面に衝突して激しい振動が周囲に伝わる。更に刀身から炎が発火すると地面が爆発し、無数の石礫が周囲に襲い掛かる。シュンは刀を振って風の斬撃で石礫を振り払い、リンダは戦技を発動させて受け流し、アカイは両腕の竜巻で吹き飛ばす。
「何度も喰らうかよ!!」
「回し受け!!」
「こざかしい!!」
「いで、いででっ!?」
「キャウンッ!?」
剣聖であるシュンと王国四騎士のリンダとアカイはゴブリンの攻撃を受け切るが、ダインとウルは石礫を真面に受けて悲鳴を上げてしまい、慌ててその場に伏せる。その直後に爆発の生じた煙を振り払いながら姿を現したゴブリンが確認し、鼻息を鳴らす。
『ブフゥッ……!!』
「くそっ……舐めやがって」
「落ち着いて下さい!!相手は魔物とはいえ、只者ではありません。ここは3人で仕留めましょう」
「何を弱気な事を言っているリンダ……この程度の相手、俺一人で十分だと言っているだろう。お前達は早く国王様の元へ向かえ」
「ああっ!?お前、さっき俺が助けなかったらこいつに押しつぶされてただろうが!!」
3人は自分達を睨みつける武装したゴブリンと向き合い、先ほどから共闘を申し出るリンダに対して他の二人は共に戦う事を頑なに拒否していた。
「だいたいてめえは昔から頭が固すぎなんだよ!!いつも一人で何でもかんでも解決しようとしやがって……そのせいでてめえがへまをする度に俺達が尻拭いさせられてんだろうが!!」
「黙れ!!貴様の方こそ勝手にヨツバ王国を抜け出したかと思えば冒険者の真似事などしおって……貴様のせいで俺とリンダがどれほど苦労を掛けさせられたと思っている」
「いい加減にしなさい!!こんな時まで喧嘩している場合ですか!?」
「な、何なんだこいつ等……!?」
「ウォンッ……」
敵を前にしながら言い争いを始めた3人にダインとウルは呆気に取られ、彼等が言い争っている間にもゴブリンは次の攻撃に移ろうとしていた。
「たくっ、何処まで流されたんだよあいつら……全然見えないぞ」
「ウォンッ!?」
「うわ、何だっ!?」
ウルと共にダインは川を下るが、一向にレナとコトミンの姿は見えない。それでも川を辿れば必ず二人を見つける事が出来ると信じてダインはウルを走らせるが、途中で急にウルは立ち止まってしまった。
「きゅ、急にどうしたんだよウル?僕が強くしがみ付き過ぎたか?」
「クゥ~ンッ……」
ダインは自分が首元を強く抱きしめ過ぎたから止まったのかと考えたが、それを否定するようにウルは首を振り、聞き耳を立てるように耳を動かす。彼の行動にダインは訝しむが、耳を研ぎ澄ませるようにウルは黙り込み、目を見開いてある方向を睨みつける。
「グルルルッ……!!」
「ウル?どうしたんだよ……何だっ!?」
唸り声を上げたウルにダインは何が起きたのか尋ねようとした時、近くに存在した建物の壁が崩壊し、派手な土煙が舞い上がる。何事かとダインは壁が崩壊した建物に視線を向けると、そこには予想外の存在が立っていた。
「いつつっ……くそ、化物がっ!!」
「大丈夫ですかシュン!!」
「馬鹿な……何なのだこいつは!!」
「え、あんたは……確か剣聖のシュンと、王国四騎士のリンダとアカイ!?」
壁を破壊して街道に倒れこんだのは剣聖のシュンであり、すぐに瓦礫を飛び越えてティナの護衛役を任されているはずのリンダと国王の護衛を務めるアカイも現れる。どうしてこの状況で3人が壁が崩壊した建物から姿を現したのかとダインは驚くと、彼の存在に気付いたシュンが注意の言葉を掛ける。
「おい、お前!!ここは危ないから下がってろ!!巻き添えを喰らうぞ!!」
「下がりなさい!!すぐにここから離れて!!」
「来るぞっ!!」
「ええっ!?」
瞬は右肩を抑えながら折れた剣を握りしめ、リンダは闘拳を装着し、アカイは風の精霊を呼び寄せて竜巻を身に纏う。3人の行動にダインは呆気に取られていると、建物の中から新しい人影が姿を現した。
『ウオオオオッ……!!』
「な、何だこいつ!?」
「おい、だから下がってろと言ってんだろ!!ここに居たら死ぬぞ!!」
「余所見をするな!!またくるぞ!!」
――ダイン達の前に現れたのは日本の「鎧武者」を想像させる赤色の甲冑を身に付けた巨大なゴブリンが出現し、その両手には紅色の刀身の「大太刀」を握りしめていた。ゴブリンの体長は通常の魔獣兵よりも一回り程大きく、巨人族を上回る巨躯のゴブリンが武器を振り下ろす。
『ウガァアアアッ!!』
「くそっ!!」
「くっ!!」
「ちぃっ!!」
「うわぁあああっ!?」
「ガアッ!?」
赤色の甲冑を装備したゴブリンが腕を振り下ろした瞬間、大太刀が地面に衝突して激しい振動が周囲に伝わる。更に刀身から炎が発火すると地面が爆発し、無数の石礫が周囲に襲い掛かる。シュンは刀を振って風の斬撃で石礫を振り払い、リンダは戦技を発動させて受け流し、アカイは両腕の竜巻で吹き飛ばす。
「何度も喰らうかよ!!」
「回し受け!!」
「こざかしい!!」
「いで、いででっ!?」
「キャウンッ!?」
剣聖であるシュンと王国四騎士のリンダとアカイはゴブリンの攻撃を受け切るが、ダインとウルは石礫を真面に受けて悲鳴を上げてしまい、慌ててその場に伏せる。その直後に爆発の生じた煙を振り払いながら姿を現したゴブリンが確認し、鼻息を鳴らす。
『ブフゥッ……!!』
「くそっ……舐めやがって」
「落ち着いて下さい!!相手は魔物とはいえ、只者ではありません。ここは3人で仕留めましょう」
「何を弱気な事を言っているリンダ……この程度の相手、俺一人で十分だと言っているだろう。お前達は早く国王様の元へ向かえ」
「ああっ!?お前、さっき俺が助けなかったらこいつに押しつぶされてただろうが!!」
3人は自分達を睨みつける武装したゴブリンと向き合い、先ほどから共闘を申し出るリンダに対して他の二人は共に戦う事を頑なに拒否していた。
「だいたいてめえは昔から頭が固すぎなんだよ!!いつも一人で何でもかんでも解決しようとしやがって……そのせいでてめえがへまをする度に俺達が尻拭いさせられてんだろうが!!」
「黙れ!!貴様の方こそ勝手にヨツバ王国を抜け出したかと思えば冒険者の真似事などしおって……貴様のせいで俺とリンダがどれほど苦労を掛けさせられたと思っている」
「いい加減にしなさい!!こんな時まで喧嘩している場合ですか!?」
「な、何なんだこいつ等……!?」
「ウォンッ……」
敵を前にしながら言い争いを始めた3人にダインとウルは呆気に取られ、彼等が言い争っている間にもゴブリンは次の攻撃に移ろうとしていた。
1
お気に入りに追加
16,510
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
西谷夫妻の新婚事情~元教え子は元担任教師に溺愛される~
雪宮凛
恋愛
結婚し、西谷明人の姓を名乗り始めて三か月。舞香は今日も、新妻としての役目を果たそうと必死になる。
元高校の担任教師×元不良女子高生の、とある新婚生活の一幕。
※ムーンライトノベルズ様にも、同じ作品を転載しています。
孤独な令嬢は狼の番になり溺愛される
夕日(夕日凪)
恋愛
アルファポリス様より書籍化致しました!8月18日が出荷日となっております。
第二部を後日更新開始予定ですので、お気に入りはそのままでお待ち頂けますと嬉しいです。
ルミナ・マシェット子爵家令嬢は、義母と義姉達から虐待を受けながら生きていた。しかしある日、獣人国の貴族アイル・アストリー公爵が邸を訪れ…。「この娘は私の番だ。今ここで、花嫁として貰い受ける」
そう言われその日のうちに彼に嫁入りする事になり…。今まで愛と幸せを知らなかった彼女に突然の溺愛生活が降りかかる…!
モブだった私、今日からヒロインです!
まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。
このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。
そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。
だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン……
モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして?
※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。
※印はR部分になります。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
【R-18】踊り狂えその身朽ちるまで
あっきコタロウ
恋愛
投稿小説&漫画「そしてふたりでワルツを(http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/630048599/)」のR-18外伝集。
連作のつもりだけどエロだから好きな所だけおつまみしてってください。
ニッチなものが含まれるのでまえがきにてシチュ明記。苦手な回は避けてどうぞ。
IF(7話)は本編からの派生。
【完結】淫魔なのに出乳症になってしまった僕の顛末♡
虹色金魚 (旧 怪盗枝豆 )
BL
娼館で男妾として働く淫魔で、かわいい系美少年のラミュカ(♂)は、ある日突然おっぱいからミルクが出てきてしまった!!お客には喜ばれるが心の中では嵐が吹き荒れる。
そんなラミュカに、同期で友人の同じく淫魔のロゼが、魔界の病院を紹介してくれた。
そこでの診察結果は…………
※実はかわいいものが大好き美しい悪魔先生(カタリナ)×かわいい系淫魔ラミュカ
※ラミュカ(受)が出乳症という病気(?)になって、男の子なのにおっぱいからミルクが出て来て困っちゃうお話です。
※ラミュカは種族&お仕事上客とエッチをガッツリしてます。
※シリアスではありません。
※ギャグです。
※主人公アホかと思います。
※1話だいたい2000字前後位です。
※こちらR-18になります。えっちぃことしてるのには☆印、えっちしてるのには※印が入っています。
※ムーンライトさんでも掲載しています。
※宇宙のように広いお心でお読みください※
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。