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都市崩壊編
革命団の希望
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「だけど、あんたの話が本当という証拠はあるのかい?革命団だか何だか知らないけど、あたしを騙してアイラさんを攫う演技でない証拠を見せなっ!!」
「それは……証拠になるのかは分かりませんが、僕が革命団の人間である証明は出来ます」
アルトは懐からペンダントを取り出すと、バルに差し出す。警戒しながらもバルはペンダントを受け取り、三日月のような形をした水晶のペンダントである事に気付く。アルトの話では革命団に所属している人間は全員がこちらのペンダントを所持しているという。
「そのペンダントが僕が革命団である証です。一見は只の水晶にしか見えないかも知れませんが、仕掛けが施されています」
「仕掛けだって?」
「その水晶を月の光に照らすと革命団の隠れ家を示す地図が表示されます。その三日月の形をしたペンダントはこの街に存在する革命団の隠れ家を表示するんです」
「へえ……よくこんな物を作ったね。小髭族が作ったのかい?」
バルは月光にのみ反応するというペンダントに興味を示し、珍しそうに覗き込む。だが、現状ではアルトの話が真実であるのか確かめる事は出来ず、まさか夜を訪れるまで待機するわけにはいかない。しかし、話した限りではアルトが嘘を吐いている様子はなく、バルは思い悩む。
「……あんた、さっきアイラさんを捕まえる気はないと言っていたね。それなら何処へ連れて行くつもりだったんだい?」
「それは……一先ずは僕達の革命団の隠れ家へ避難させるつもりでした。実を言えばアイラ様に頼みたい事があるんです」
「頼みたい事?アイラさんに何を頼む気だったんだい?」
「誰にも話さないと約束してくれますか?」
「……話しなっ」
真剣な表情を浮かべてアルトはバルを見つめ、強い意志と覚悟を感じ取ったバルは誰にも話さない事を誓う。アルトはバルから信頼を得るため、革命団の目的を話す。
「アイラ様に協力して貰い、我々は内密に国王様と接触する計画を立てています。場合によっては国王様を連れ出す作戦も準備しています」
「何だって!?」
「既に準備は進んでいます!!後はアイラ様の協力があれば作戦が実行出来るんです!!」
途轍もない事を言い出したアルトにバルは呆れてしまうが、彼自身は至って真剣であり、アイラの協力を取り付ければ本気でバルトロス国王を接触、あるいは誘拐する作戦が成功すると考えていた。しかし、バルはアルトの話が信じられない。
「冗談を言うんじゃないよ!!いくらあの国王がボンクラだからって簡単に誘拐できる相手じゃない事は分かってんだろ!!あの用心深い王妃がバルトロス国王の身辺警護を怠っているはずがない!!」
「お言葉ですが、我々の中には王国の有力貴族と協力関係を結んでいる人間もいます!!彼等の協力とアイラ様が説得役として連れて行けば国王様もきっと我々の考えを理解してくれるはずです!!」
「話にならないね!!そんな作戦が成功すると思っているのかい!?いや、成功したとしてもあの国王には何も出来ないんだよ!!」
革命団は国王を説得すれば現在のバルトロス王国の政治は変わると信じ切っているようだが、実質的に現在のバルトロス王国を管理しているのは王妃であるサクラであり、今現在の国王は仮初の権力者でしかない。実際に王国の有力貴族の殆どは王妃に忠誠を誓っている。
仮に作戦が成功し、アイラが国王を説得して連れ出したとしても状況は変わらず、むしろ王妃が逆に利用する可能性が高い。そもそも今の国王は王妃の傀儡と化しており、彼女に逆らうはずがない。
「そんな無謀な作戦にアイラさんを巻き込むんじゃないよ!!だいたい、どうしてあんたらは真っ先にマリアに協力を求めなかったんだい?」
「そ、それは……マリア様にも協力を申し込んだんのですが、そんな作戦には協力できないと……」
「だろうね、マリアがアイラさんを危険に晒すようなまねをするはずがない!!」
革命団も王妃と対立しているマリアと協力関係を結ぼうとしたらしいが、彼等の作戦に自分の姉が危険に晒されると知ったマリアは頑なに拒否を示し、結局は革命団は彼女の協力は得られなかった。しかし、国王が厳重な警備が敷かれている王都から離れて冒険都市に訪れたのは革命団にとっては絶好の機会であり、これを逃がせば次に同じ機会を得られるのか分からない。
「お願いします!!どうかアイラ様と話だけでもさせてください!!」
「ふざけんじゃないよ!!そんな危険な事にアイラさんを巻き込めるはずが……」
「バルちゃん……もういいわ」
バルが言葉を言い終える前に彼女の肩の上で抱えられていたアイラが口を開き、今まで気絶していたと思い込んでいたバルとアルトは驚愕するが、アイラは若干顔色を悪くしながらも笑顔を浮かべてバルの元から離れる。
「それは……証拠になるのかは分かりませんが、僕が革命団の人間である証明は出来ます」
アルトは懐からペンダントを取り出すと、バルに差し出す。警戒しながらもバルはペンダントを受け取り、三日月のような形をした水晶のペンダントである事に気付く。アルトの話では革命団に所属している人間は全員がこちらのペンダントを所持しているという。
「そのペンダントが僕が革命団である証です。一見は只の水晶にしか見えないかも知れませんが、仕掛けが施されています」
「仕掛けだって?」
「その水晶を月の光に照らすと革命団の隠れ家を示す地図が表示されます。その三日月の形をしたペンダントはこの街に存在する革命団の隠れ家を表示するんです」
「へえ……よくこんな物を作ったね。小髭族が作ったのかい?」
バルは月光にのみ反応するというペンダントに興味を示し、珍しそうに覗き込む。だが、現状ではアルトの話が真実であるのか確かめる事は出来ず、まさか夜を訪れるまで待機するわけにはいかない。しかし、話した限りではアルトが嘘を吐いている様子はなく、バルは思い悩む。
「……あんた、さっきアイラさんを捕まえる気はないと言っていたね。それなら何処へ連れて行くつもりだったんだい?」
「それは……一先ずは僕達の革命団の隠れ家へ避難させるつもりでした。実を言えばアイラ様に頼みたい事があるんです」
「頼みたい事?アイラさんに何を頼む気だったんだい?」
「誰にも話さないと約束してくれますか?」
「……話しなっ」
真剣な表情を浮かべてアルトはバルを見つめ、強い意志と覚悟を感じ取ったバルは誰にも話さない事を誓う。アルトはバルから信頼を得るため、革命団の目的を話す。
「アイラ様に協力して貰い、我々は内密に国王様と接触する計画を立てています。場合によっては国王様を連れ出す作戦も準備しています」
「何だって!?」
「既に準備は進んでいます!!後はアイラ様の協力があれば作戦が実行出来るんです!!」
途轍もない事を言い出したアルトにバルは呆れてしまうが、彼自身は至って真剣であり、アイラの協力を取り付ければ本気でバルトロス国王を接触、あるいは誘拐する作戦が成功すると考えていた。しかし、バルはアルトの話が信じられない。
「冗談を言うんじゃないよ!!いくらあの国王がボンクラだからって簡単に誘拐できる相手じゃない事は分かってんだろ!!あの用心深い王妃がバルトロス国王の身辺警護を怠っているはずがない!!」
「お言葉ですが、我々の中には王国の有力貴族と協力関係を結んでいる人間もいます!!彼等の協力とアイラ様が説得役として連れて行けば国王様もきっと我々の考えを理解してくれるはずです!!」
「話にならないね!!そんな作戦が成功すると思っているのかい!?いや、成功したとしてもあの国王には何も出来ないんだよ!!」
革命団は国王を説得すれば現在のバルトロス王国の政治は変わると信じ切っているようだが、実質的に現在のバルトロス王国を管理しているのは王妃であるサクラであり、今現在の国王は仮初の権力者でしかない。実際に王国の有力貴族の殆どは王妃に忠誠を誓っている。
仮に作戦が成功し、アイラが国王を説得して連れ出したとしても状況は変わらず、むしろ王妃が逆に利用する可能性が高い。そもそも今の国王は王妃の傀儡と化しており、彼女に逆らうはずがない。
「そんな無謀な作戦にアイラさんを巻き込むんじゃないよ!!だいたい、どうしてあんたらは真っ先にマリアに協力を求めなかったんだい?」
「そ、それは……マリア様にも協力を申し込んだんのですが、そんな作戦には協力できないと……」
「だろうね、マリアがアイラさんを危険に晒すようなまねをするはずがない!!」
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