325 / 2,083
都市崩壊編
あまりにも残酷すぎる真実……
しおりを挟む
『アイリス、昼間にティナを騙した奴は何者?』
『偽手紙を用意してティナをレナさんの元へ送り込んだ人物ですね。こいつは「変装」のスキルを持つ王妃の側近です。レナさんが昼間に遭遇した神器使いですよ』
『あいつが?』
レナは杖型の神器を装備していた王妃の側近を思い出し、名前は「リク」という青年だった。王妃に仕えていた側近の中でも一番年齢が上であり、神器の特製を利用してレナを捕まえようとしたが、寸前でダインとゴンゾウの救援のお陰で助かった。
『ミドルの奴があいつごと俺を仕留めようとしたけど、仲でも悪いの?』
『いえ、別にそういう訳ではありません。彼等は王妃のためならば自分の命も惜しまずに行動する相手です。王妃のために行動するように教育されているので王妃に逆らう事はありません』
『怖い奴等だな……』
アイリスによればミドルも含めて王妃の側近は彼女に忠誠を誓っており、結果的に自分が命を落とす事に繋がる行動でも王妃のためならば躊躇なく実行するという。狂信者のような考え方だが良く言えば忠誠心に厚い存在とも言える。
『これからは王妃の側近と戦う時は人質に利用するなんて馬鹿な真似は止めて下さいね』
『分かってるよ……それより、結局のところは俺はどうしたらいいの?』
『まずはバルを助けましょう。現在、彼女はレナさんのお母さんと一緒に逃げ回っています』
『えっ!?母上がこの街に居るの!?』
バルがアイラと行動を共にしているという言葉にレナは驚くが、アイリスは少し言いにくそうにレナに二人の状況を伝える。
『あ~……レナさんは気付いていなかったようですけど、実は闘技祭の一回戦でゴウライと戦っていた選手の正体がアイラなんですよ。ほら、仮面を付けていた人です』
『えっ』
『いや、別に私はあの恰好は悪くないと思いますよ?意外と機能的ですし、露出が激しい点を除けば……』
『う、嘘だぁっ!!』
発狂したようにレナは悲鳴を上げ、まさか闘技場で数万人の衆目を浴びた仮面の女剣士の正体が母親のアイラとしって衝撃を隠せない。よりにもよって自分の母親(約40才)が露出の派手なビキニアーマーを装着して堂々と戦っていたという事実は息子として激しく動揺しても仕方がない。
『いや、本当なんです。落ち着いて聞いて下さいね?アイラさんはレナさんを救うために修行して、闘技祭に参加したんです。優勝を果たせば優勝者は各国の王族の前で表彰されるので、それを利用してレナさんの父親と対面しようと……』
『う、うわぁあああっ!!』
『あ、気をしっかり持ってください!!交信が途切れちゃいますから!?』
40代を迎える母親がビキニアーマーを装着して数万人の人間の前で姿を晒したという覆せない事実にレナは追い込まれ、あまりの羞恥心でアイリスとの交信が途切れそうになるが、どうにか踏み留まる。
『くっ……こ、殺してくれぇっ……』
『だから冷静になってくださいよ!!ほら、考えようによってはお母さんと出会えたんですよ?喜ぶべき事じゃないですか』
『俺の中の母親像は死んだけどね……』
レナの知る限りではアイラは非常に心優しく、いつも自分の味方をしてくれる立派な母親だった。しかし、再会した母親の行動にレナの中の優しい母親像が崩れ去り、この異世界に訪れて最もレナは精神的に追い詰められた気分だった。
『ほら、いつまで落ち込んでいるんですか!!自分の母親がピンチなんですよ?レナさんが助けに行くんです!!』
『そ、そうだった……でも、叔母様の方は大丈夫かな?』
『マリアの方はしばらくは大丈夫でしょう。今現在は魔獣兵を引き連れたキラウと対面しています。それよりもまずはバルとアイラの方が危険です。今のところは兵士の追跡を逃れて隠れていますが、人間よりも嗅覚が鋭い魔獣兵が近づいています』
『分かった……でも、バルと母上なら逃げ切れるんじゃないの?』
バルは現役を引退したとはいえ、未だに高ランクの冒険者に劣らぬ実力者であり、アイラに関してもゴウライを相手に正面から渡り合える実力を持っている事は間違いない。そんな二人が共にいるのならば魔獣兵が相手でも持ち応えられるのではないかとレナは考えたが、アイリスは更に付け加える。
『いえ、急いだ方がいいです。魔獣兵以外にも王妃は黒影を動かしています』
『黒影?それって確か……』
『バルトロス王国に仕える暗殺者集団です。日本の忍者のような存在ですね、表向きはアリアも黒影に所属していました』
『そういえば昔、屋敷に住んでいた時に見た書庫の資料って……』
『そうです。黒影が暗殺を実行した人間達の資料です』
幼少期、レナは書庫に忍び込んだ際に王国関係者がどのような経緯で死亡したのか記された資料を目にしている。アイリスによるとレナが見た資料は黒影が暗殺した人間達の資料らしく、王国に仕える暗殺者集団がバルとアイラの命を狙っている事を知らされる。
『偽手紙を用意してティナをレナさんの元へ送り込んだ人物ですね。こいつは「変装」のスキルを持つ王妃の側近です。レナさんが昼間に遭遇した神器使いですよ』
『あいつが?』
レナは杖型の神器を装備していた王妃の側近を思い出し、名前は「リク」という青年だった。王妃に仕えていた側近の中でも一番年齢が上であり、神器の特製を利用してレナを捕まえようとしたが、寸前でダインとゴンゾウの救援のお陰で助かった。
『ミドルの奴があいつごと俺を仕留めようとしたけど、仲でも悪いの?』
『いえ、別にそういう訳ではありません。彼等は王妃のためならば自分の命も惜しまずに行動する相手です。王妃のために行動するように教育されているので王妃に逆らう事はありません』
『怖い奴等だな……』
アイリスによればミドルも含めて王妃の側近は彼女に忠誠を誓っており、結果的に自分が命を落とす事に繋がる行動でも王妃のためならば躊躇なく実行するという。狂信者のような考え方だが良く言えば忠誠心に厚い存在とも言える。
『これからは王妃の側近と戦う時は人質に利用するなんて馬鹿な真似は止めて下さいね』
『分かってるよ……それより、結局のところは俺はどうしたらいいの?』
『まずはバルを助けましょう。現在、彼女はレナさんのお母さんと一緒に逃げ回っています』
『えっ!?母上がこの街に居るの!?』
バルがアイラと行動を共にしているという言葉にレナは驚くが、アイリスは少し言いにくそうにレナに二人の状況を伝える。
『あ~……レナさんは気付いていなかったようですけど、実は闘技祭の一回戦でゴウライと戦っていた選手の正体がアイラなんですよ。ほら、仮面を付けていた人です』
『えっ』
『いや、別に私はあの恰好は悪くないと思いますよ?意外と機能的ですし、露出が激しい点を除けば……』
『う、嘘だぁっ!!』
発狂したようにレナは悲鳴を上げ、まさか闘技場で数万人の衆目を浴びた仮面の女剣士の正体が母親のアイラとしって衝撃を隠せない。よりにもよって自分の母親(約40才)が露出の派手なビキニアーマーを装着して堂々と戦っていたという事実は息子として激しく動揺しても仕方がない。
『いや、本当なんです。落ち着いて聞いて下さいね?アイラさんはレナさんを救うために修行して、闘技祭に参加したんです。優勝を果たせば優勝者は各国の王族の前で表彰されるので、それを利用してレナさんの父親と対面しようと……』
『う、うわぁあああっ!!』
『あ、気をしっかり持ってください!!交信が途切れちゃいますから!?』
40代を迎える母親がビキニアーマーを装着して数万人の人間の前で姿を晒したという覆せない事実にレナは追い込まれ、あまりの羞恥心でアイリスとの交信が途切れそうになるが、どうにか踏み留まる。
『くっ……こ、殺してくれぇっ……』
『だから冷静になってくださいよ!!ほら、考えようによってはお母さんと出会えたんですよ?喜ぶべき事じゃないですか』
『俺の中の母親像は死んだけどね……』
レナの知る限りではアイラは非常に心優しく、いつも自分の味方をしてくれる立派な母親だった。しかし、再会した母親の行動にレナの中の優しい母親像が崩れ去り、この異世界に訪れて最もレナは精神的に追い詰められた気分だった。
『ほら、いつまで落ち込んでいるんですか!!自分の母親がピンチなんですよ?レナさんが助けに行くんです!!』
『そ、そうだった……でも、叔母様の方は大丈夫かな?』
『マリアの方はしばらくは大丈夫でしょう。今現在は魔獣兵を引き連れたキラウと対面しています。それよりもまずはバルとアイラの方が危険です。今のところは兵士の追跡を逃れて隠れていますが、人間よりも嗅覚が鋭い魔獣兵が近づいています』
『分かった……でも、バルと母上なら逃げ切れるんじゃないの?』
バルは現役を引退したとはいえ、未だに高ランクの冒険者に劣らぬ実力者であり、アイラに関してもゴウライを相手に正面から渡り合える実力を持っている事は間違いない。そんな二人が共にいるのならば魔獣兵が相手でも持ち応えられるのではないかとレナは考えたが、アイリスは更に付け加える。
『いえ、急いだ方がいいです。魔獣兵以外にも王妃は黒影を動かしています』
『黒影?それって確か……』
『バルトロス王国に仕える暗殺者集団です。日本の忍者のような存在ですね、表向きはアリアも黒影に所属していました』
『そういえば昔、屋敷に住んでいた時に見た書庫の資料って……』
『そうです。黒影が暗殺を実行した人間達の資料です』
幼少期、レナは書庫に忍び込んだ際に王国関係者がどのような経緯で死亡したのか記された資料を目にしている。アイリスによるとレナが見た資料は黒影が暗殺した人間達の資料らしく、王国に仕える暗殺者集団がバルとアイラの命を狙っている事を知らされる。
1
お気に入りに追加
16,534
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?
藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」
9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。
そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。
幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。
叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。