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闘技祭 決戦編
勝者は?
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(さあ……どうでるハヤテ!!)
風の鎧を纏いながらハヤテの間合いに入ったアカイは未だに刀を引き抜こうとしないハヤテの様子を伺う。両腕を交差して頭部だけを完全に防いだ状態でハヤテに迫り、彼女の出方を伺う。
(狙うは足か、それとも上半身か……どう出る!?)
距離が5メートルにまで縮んでもハヤテが動く様子はなく、アカイは彼女が直接切りつけるつもりだと判断する。間合いに入った瞬間に風の斬撃を浴びせず、敢えてアカイが接近するのを待機していたのは彼女の狙いが直接切りつけるためだとしか思えず、アカイはハヤテが自分の身体の部位の何処に攻撃を仕掛けるのかを予測する。
(動きを封じるために足を切るか、あるいは確実に仕留めるために頭部か心臓を狙うか、どちらにしても貴様の攻撃が俺の嵐鎧を突破しなければ意味はないぞ!!)
3メートルに迫っても動き出そうとしないハヤテにアカイは上半身だけは防ぐために両腕に力を込めるが、ここである違和感を抱く。
(待て……何かがおかしい?)
先程から感じている違和感の正体にアカイは気付き、自分の動作が妙に遅く感じる事に気付く。全力で走っているのにハヤテの元に辿り着けず、まるで水中で動いているように周囲の物体の動作が鈍く感じられた。
(何が起きている……まさか、これは!?)
アカイは自分の感覚が異常なまでに研ぎ澄まされている事に気付き、即座に心当たりを思い浮かべる。人間が死ぬ直前の動作が遅く感じられ、現在の彼は「死」と直面している事に気付く。
「……さようなら」
「ぬおっ……!?」
小声のはずのハヤテの声がはっきりと聴きとれる程の距離にまで接近した瞬間、彼女は目を見開いて鞘から刀身を引き抜き、アカイの胴体に向けて振りかざす。刃がアカイの肉体に触れようとした瞬間、彼の身体に纏わりついている「嵐鎧」が刃を防ごうとした。
「ぐあっ!?」
「くっ……」
結果から言えばハヤテの振り抜いた刃は嵐鎧を突破し、アカイの腹部に血飛沫が舞い上がる。しかし、切れたのは皮一枚だけで内部にまでは至らず、ハヤテの刃は弾かれてしまう。それを確認したアカイは笑みを浮かべ、両腕を振り翳してハヤテに叩きつけようとする。
「終わりだ!!」
「っ……!!」
アカイが拳を下ろそうとした瞬間、ハヤテは腰に手を伸ばし、背中に装着していた短剣を引き抜いてアカイの腹部に向けて突き刺す。短剣の刃は嵐鎧に阻まれる事もなくアカイの肉体に突き刺さり、腹部を貫通した。
「がはぁっ!?」
腹部に短剣が突き刺さった瞬間、アカイは苦痛の表情を浮かべながら跪く。本来ならば嵐鎧で防げるはずの攻撃を受けた事にアカイは動揺し、何が起きたのか理解できない。しかし、そんな彼にハヤテは淡々と告げる。
「お前の嵐鎧の弱点は魔法である事……魔法を無効化する武器には何の意味持たない」
「……反鏡剣かっ……!!」
ハヤテの言葉を聞いてアカイは全て理解し、彼は腹部に突き刺さった短剣の正体が魔法を跳ね返す性質を持つ「反鏡剣」だと見抜く。レナが所有している長剣型とは異なり、ハヤテの場合は短剣型の反鏡剣だが効果は全く同じのため、嵐鎧を突破してアカイの肉体を貫通した。
自分の嵐鎧に絶対の自信を持っていたアカイはまさかこのような方法で自分の守護を突破されるとは思わず、自信の力に過信して武装していなかった事が仇となる。アカイは悔し気な表情を浮かべながらハヤテを見上げ、唇を噛みしめながら懇願する。
「殺せっ……!!こんな生き恥を晒して四騎士の誇りを地に落とすぐらいならば、俺に生きる価値はない……!!」
「……それが望みなら」
アカイの言葉にハヤテはゆっくりと振り返り、自分の落した刀に手を伸ばす。しかし、その前に刃の部分に何者かが足を踏んでいる事に気付き、彼女は顔を見上げるとそこには何時の間にか槍を構えたミナの姿が存在した。
「あっ」
「えっと……ごめんなさい!!」
「何っ!?」
ハヤテが武器を回収する前にミナは槍の柄を彼女の腹部に叩きこみ、勢いよく吹き飛ばす。油断していたのかハヤテはそのまま地面に倒れこんで動かず、その光景を見たアカイは唖然とした表情を浮かべる。それは他の観客も同様であり、動揺が走る。
「き、貴様……」
「本当にごめんなさい!!」
「ぐおっ!?」
続けてミナは槍の石当て部分をアカイの頭部に叩きつけ、こちらも地面に叩きつける。既に腹部に重傷を負っていたアカイは苦悶の表情を浮かべて地面に倒れこんだまま動かず、その光景を見ていたラビットは戸惑いの表情を浮かべながらも試合終了の合図を告げた。
『そ、そこまで!!えっと……ミナ選手の勝利です!!アカイ選手とハヤテ選手の隙を突いて見事に勝利をもぎ取りました!!』
「えっと……や、やったぁっ!!」
『…………』
ラビットの言葉にミナは槍を掲げて喜ぶが、そんな彼女に観客達は何とも言えない表情を浮かべ、結論から言えば彼女の行動は決して間違ってはいない。隙を見せたアカイとハヤテが問題があるが、それでも名勝負だっただけに呆気ない終わり方を迎えた事に何とも言えない気分を味わう――
※棚からぼたもちみたいな感じになりましたが、武道の達人だろうと油断するとこんな風に呆気なく敗れる事もあると思います(;´・ω・)そして本日は「不遇職とバカにされましたが、それほど悪くない?」の第二巻発売日(のはず)です!!今日は11時と12時にも投稿しますよ!!
アイリス「久しぶりの私の出番ですね」(*´ω`*)ノ公開ボタン
風の鎧を纏いながらハヤテの間合いに入ったアカイは未だに刀を引き抜こうとしないハヤテの様子を伺う。両腕を交差して頭部だけを完全に防いだ状態でハヤテに迫り、彼女の出方を伺う。
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距離が5メートルにまで縮んでもハヤテが動く様子はなく、アカイは彼女が直接切りつけるつもりだと判断する。間合いに入った瞬間に風の斬撃を浴びせず、敢えてアカイが接近するのを待機していたのは彼女の狙いが直接切りつけるためだとしか思えず、アカイはハヤテが自分の身体の部位の何処に攻撃を仕掛けるのかを予測する。
(動きを封じるために足を切るか、あるいは確実に仕留めるために頭部か心臓を狙うか、どちらにしても貴様の攻撃が俺の嵐鎧を突破しなければ意味はないぞ!!)
3メートルに迫っても動き出そうとしないハヤテにアカイは上半身だけは防ぐために両腕に力を込めるが、ここである違和感を抱く。
(待て……何かがおかしい?)
先程から感じている違和感の正体にアカイは気付き、自分の動作が妙に遅く感じる事に気付く。全力で走っているのにハヤテの元に辿り着けず、まるで水中で動いているように周囲の物体の動作が鈍く感じられた。
(何が起きている……まさか、これは!?)
アカイは自分の感覚が異常なまでに研ぎ澄まされている事に気付き、即座に心当たりを思い浮かべる。人間が死ぬ直前の動作が遅く感じられ、現在の彼は「死」と直面している事に気付く。
「……さようなら」
「ぬおっ……!?」
小声のはずのハヤテの声がはっきりと聴きとれる程の距離にまで接近した瞬間、彼女は目を見開いて鞘から刀身を引き抜き、アカイの胴体に向けて振りかざす。刃がアカイの肉体に触れようとした瞬間、彼の身体に纏わりついている「嵐鎧」が刃を防ごうとした。
「ぐあっ!?」
「くっ……」
結果から言えばハヤテの振り抜いた刃は嵐鎧を突破し、アカイの腹部に血飛沫が舞い上がる。しかし、切れたのは皮一枚だけで内部にまでは至らず、ハヤテの刃は弾かれてしまう。それを確認したアカイは笑みを浮かべ、両腕を振り翳してハヤテに叩きつけようとする。
「終わりだ!!」
「っ……!!」
アカイが拳を下ろそうとした瞬間、ハヤテは腰に手を伸ばし、背中に装着していた短剣を引き抜いてアカイの腹部に向けて突き刺す。短剣の刃は嵐鎧に阻まれる事もなくアカイの肉体に突き刺さり、腹部を貫通した。
「がはぁっ!?」
腹部に短剣が突き刺さった瞬間、アカイは苦痛の表情を浮かべながら跪く。本来ならば嵐鎧で防げるはずの攻撃を受けた事にアカイは動揺し、何が起きたのか理解できない。しかし、そんな彼にハヤテは淡々と告げる。
「お前の嵐鎧の弱点は魔法である事……魔法を無効化する武器には何の意味持たない」
「……反鏡剣かっ……!!」
ハヤテの言葉を聞いてアカイは全て理解し、彼は腹部に突き刺さった短剣の正体が魔法を跳ね返す性質を持つ「反鏡剣」だと見抜く。レナが所有している長剣型とは異なり、ハヤテの場合は短剣型の反鏡剣だが効果は全く同じのため、嵐鎧を突破してアカイの肉体を貫通した。
自分の嵐鎧に絶対の自信を持っていたアカイはまさかこのような方法で自分の守護を突破されるとは思わず、自信の力に過信して武装していなかった事が仇となる。アカイは悔し気な表情を浮かべながらハヤテを見上げ、唇を噛みしめながら懇願する。
「殺せっ……!!こんな生き恥を晒して四騎士の誇りを地に落とすぐらいならば、俺に生きる価値はない……!!」
「……それが望みなら」
アカイの言葉にハヤテはゆっくりと振り返り、自分の落した刀に手を伸ばす。しかし、その前に刃の部分に何者かが足を踏んでいる事に気付き、彼女は顔を見上げるとそこには何時の間にか槍を構えたミナの姿が存在した。
「あっ」
「えっと……ごめんなさい!!」
「何っ!?」
ハヤテが武器を回収する前にミナは槍の柄を彼女の腹部に叩きこみ、勢いよく吹き飛ばす。油断していたのかハヤテはそのまま地面に倒れこんで動かず、その光景を見たアカイは唖然とした表情を浮かべる。それは他の観客も同様であり、動揺が走る。
「き、貴様……」
「本当にごめんなさい!!」
「ぐおっ!?」
続けてミナは槍の石当て部分をアカイの頭部に叩きつけ、こちらも地面に叩きつける。既に腹部に重傷を負っていたアカイは苦悶の表情を浮かべて地面に倒れこんだまま動かず、その光景を見ていたラビットは戸惑いの表情を浮かべながらも試合終了の合図を告げた。
『そ、そこまで!!えっと……ミナ選手の勝利です!!アカイ選手とハヤテ選手の隙を突いて見事に勝利をもぎ取りました!!』
「えっと……や、やったぁっ!!」
『…………』
ラビットの言葉にミナは槍を掲げて喜ぶが、そんな彼女に観客達は何とも言えない表情を浮かべ、結論から言えば彼女の行動は決して間違ってはいない。隙を見せたアカイとハヤテが問題があるが、それでも名勝負だっただけに呆気ない終わり方を迎えた事に何とも言えない気分を味わう――
※棚からぼたもちみたいな感じになりましたが、武道の達人だろうと油断するとこんな風に呆気なく敗れる事もあると思います(;´・ω・)そして本日は「不遇職とバカにされましたが、それほど悪くない?」の第二巻発売日(のはず)です!!今日は11時と12時にも投稿しますよ!!
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