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闘技祭 決戦編
ゴウライの謎
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「あっ……レナさん」
「ん、ジャンヌさん?」
「ジャンヌで構いませんよ」
浴室に向かう途中、レナは通路でジャンヌと出会う。彼女は仕事上がりなのか身に付けている革鎧には血の跡が付いていた。
「仕事上がり?」
「ええ、依頼を引き受けて少し遠くの街に向かったのですが、帰りの馬車が途中で壊れて大会まで間に合わなくなる所でした」
「よく帰ってこれたね」
「途中、通りすがりの商団の方に頼んでここまで運んできてもらいました。レナさんは鍛錬を終えた後ですか?」
「まあね。明日に備えて今日は早めに切り上げたよ」
「いよいよ明日ですね……お互いに頑張りましょう」
レナの言葉にジャンヌは表情を引き締め、明日の闘技祭を意識して緊張感を抱く。泣いても笑っても明日から闘技祭が開催され、まずは予選を勝ち抜かなければならない。
「試合の参加者は100名を超えるそうです。明日の予選がどのように行われるのかは分かりませんが、出来ればレナさんとは本選で戦いたいです」
「そうだね。そういえばロウガさんはどうしてる?最近は姿が見えないけど……」
「ロウガ様は……すいません、私も分かりません」
ロウガの名前が出た途端にジャンヌは悲しげな表情を浮かべ、彼女もロウガの動向は知らないという。ロウガは過去に二度もレナの命を狙った事をマリアに知られ、彼女に激しく叱責された。ロウガは必死に剣鬼の存在の危険性を伝えたが、マリアは彼の言葉を聞き入れず、レナに近づかないように命じる。
ジンから受けた傷が癒えたロウガは姿を消してしまい、ハンゾウとカゲマルが調査を行おうとしたが、彼の消息は未だに掴めていない。ロウガを慕っていた冒険者達は悲しみ、特に親交があったジャンヌも落ち込む。しかし、ロウガは自分が使える主人の甥を殺そうとした事実は間違いなく、本来ならば冒険者を解雇されてもおかしくはない。
「あの……レナ様はロウガ様の事を恨んでいますか?」
「まあ、好きになりそうはないね。全然関りのない人に殺されそうになったのは初めてだよ」
レナもロウガに良い印象は抱いておらず、自分が「剣鬼」だからという理由で殺害しようとするロウガに対しては色々と思う所はある。しかし、アイリスから歴代の剣鬼が犯した様々な悪行は耳にしており、ロウガが自分の事を警戒する事は仕方ないと反面に納得はしている。
「そういえばゴウライ……さんは何処にいるの?ここに来てから一度も姿を見てないけど」
「ゴウライ様は基本的にギルドに留まる事はありません。戻ってきても新しい仕事を引き受けて遠征したり、暇さえあれば修行しています。今頃は山籠もりでもしているのではないでしょうか?」
「そうなのか……」
シズネの親の仇であり、最強の剣聖と言われているゴウライとはレナは闘技場で顔を合わせた時から見かけておらず、ジャンヌによるとゴウライは滅多に冒険者ギルドに戻らないという。それで冒険者として成り立つのかと疑問を抱くが、明日までには戻ってくる予定らしい。
「そういえば前から気になっていたんだけどさ、ゴウライさんの中身はどんな感じなの?」
「中身、ですか?」
「外に出るときも全身を甲冑で覆い隠しているからどんな顔か気になってさ、どういう人なの?」
「す、すいません……私も見た事がないんです」
「そうなの?一緒のギルドの冒険者仲間なのに?」
「はい。恐らく、私以外の人も見た事はないと思います。ゴウライ様があの甲冑を外した姿を見た事がありません」
「いや、でも食事とか風呂に入る時はどうするの?」
「それが誰もゴウライ様が食事をしている姿を見た事がありません。実は私はゴウライ様の共として一緒に仕事を引き受けて半日ほど行動を共にした事もありますが、その時も顔を確認できませんでした」
「え?じゃあ、本当に誰も見た事ないの?」
ジャンヌの言葉にレナは驚き、ますますゴウライの中身が気になってしまう。アイリスに尋ねれば答えてくれるだろうが、ここまでくると自分の目でゴウライの顔を拝見したくなり、もしも本人に遭遇したら顔を見せてくれないのか尋ねる事に決めた。
「それはそうとレナ様は何処へ向かわれるのですか?」
「風呂に入りに行こうと思ったんだけど……」
「あ、それは止めておいた方が良いかもしれません。さっき、清掃中の看板が立てかけられていたので……」
「え?そうなの?」
浴室が清掃中ならば当然派は入る事は出来ず、仕方なくレナは引き返そうかと考えた時、ジャンヌがある事を思いついたように話しかける。
「あ……でもマリア様が使っているギルドマスター専用の風呂場なら使えるかもしれませんよ。普段はマリア様以外の人が扱うのは禁止されていますが、レナ様ならば入っても問題ないと思います」
「あ、あそこか……前に一度は行った事があるけど、広すぎて落ち着かなかったんだよね」
ギルドの地下に存在するマリア専用の浴室を思い出し、レナも一度だけ入った事があるため、場所は知っている。ジャンヌに礼を告げ、ギルドの地下へ向かう。
「ん、ジャンヌさん?」
「ジャンヌで構いませんよ」
浴室に向かう途中、レナは通路でジャンヌと出会う。彼女は仕事上がりなのか身に付けている革鎧には血の跡が付いていた。
「仕事上がり?」
「ええ、依頼を引き受けて少し遠くの街に向かったのですが、帰りの馬車が途中で壊れて大会まで間に合わなくなる所でした」
「よく帰ってこれたね」
「途中、通りすがりの商団の方に頼んでここまで運んできてもらいました。レナさんは鍛錬を終えた後ですか?」
「まあね。明日に備えて今日は早めに切り上げたよ」
「いよいよ明日ですね……お互いに頑張りましょう」
レナの言葉にジャンヌは表情を引き締め、明日の闘技祭を意識して緊張感を抱く。泣いても笑っても明日から闘技祭が開催され、まずは予選を勝ち抜かなければならない。
「試合の参加者は100名を超えるそうです。明日の予選がどのように行われるのかは分かりませんが、出来ればレナさんとは本選で戦いたいです」
「そうだね。そういえばロウガさんはどうしてる?最近は姿が見えないけど……」
「ロウガ様は……すいません、私も分かりません」
ロウガの名前が出た途端にジャンヌは悲しげな表情を浮かべ、彼女もロウガの動向は知らないという。ロウガは過去に二度もレナの命を狙った事をマリアに知られ、彼女に激しく叱責された。ロウガは必死に剣鬼の存在の危険性を伝えたが、マリアは彼の言葉を聞き入れず、レナに近づかないように命じる。
ジンから受けた傷が癒えたロウガは姿を消してしまい、ハンゾウとカゲマルが調査を行おうとしたが、彼の消息は未だに掴めていない。ロウガを慕っていた冒険者達は悲しみ、特に親交があったジャンヌも落ち込む。しかし、ロウガは自分が使える主人の甥を殺そうとした事実は間違いなく、本来ならば冒険者を解雇されてもおかしくはない。
「あの……レナ様はロウガ様の事を恨んでいますか?」
「まあ、好きになりそうはないね。全然関りのない人に殺されそうになったのは初めてだよ」
レナもロウガに良い印象は抱いておらず、自分が「剣鬼」だからという理由で殺害しようとするロウガに対しては色々と思う所はある。しかし、アイリスから歴代の剣鬼が犯した様々な悪行は耳にしており、ロウガが自分の事を警戒する事は仕方ないと反面に納得はしている。
「そういえばゴウライ……さんは何処にいるの?ここに来てから一度も姿を見てないけど」
「ゴウライ様は基本的にギルドに留まる事はありません。戻ってきても新しい仕事を引き受けて遠征したり、暇さえあれば修行しています。今頃は山籠もりでもしているのではないでしょうか?」
「そうなのか……」
シズネの親の仇であり、最強の剣聖と言われているゴウライとはレナは闘技場で顔を合わせた時から見かけておらず、ジャンヌによるとゴウライは滅多に冒険者ギルドに戻らないという。それで冒険者として成り立つのかと疑問を抱くが、明日までには戻ってくる予定らしい。
「そういえば前から気になっていたんだけどさ、ゴウライさんの中身はどんな感じなの?」
「中身、ですか?」
「外に出るときも全身を甲冑で覆い隠しているからどんな顔か気になってさ、どういう人なの?」
「す、すいません……私も見た事がないんです」
「そうなの?一緒のギルドの冒険者仲間なのに?」
「はい。恐らく、私以外の人も見た事はないと思います。ゴウライ様があの甲冑を外した姿を見た事がありません」
「いや、でも食事とか風呂に入る時はどうするの?」
「それが誰もゴウライ様が食事をしている姿を見た事がありません。実は私はゴウライ様の共として一緒に仕事を引き受けて半日ほど行動を共にした事もありますが、その時も顔を確認できませんでした」
「え?じゃあ、本当に誰も見た事ないの?」
ジャンヌの言葉にレナは驚き、ますますゴウライの中身が気になってしまう。アイリスに尋ねれば答えてくれるだろうが、ここまでくると自分の目でゴウライの顔を拝見したくなり、もしも本人に遭遇したら顔を見せてくれないのか尋ねる事に決めた。
「それはそうとレナ様は何処へ向かわれるのですか?」
「風呂に入りに行こうと思ったんだけど……」
「あ、それは止めておいた方が良いかもしれません。さっき、清掃中の看板が立てかけられていたので……」
「え?そうなの?」
浴室が清掃中ならば当然派は入る事は出来ず、仕方なくレナは引き返そうかと考えた時、ジャンヌがある事を思いついたように話しかける。
「あ……でもマリア様が使っているギルドマスター専用の風呂場なら使えるかもしれませんよ。普段はマリア様以外の人が扱うのは禁止されていますが、レナ様ならば入っても問題ないと思います」
「あ、あそこか……前に一度は行った事があるけど、広すぎて落ち着かなかったんだよね」
ギルドの地下に存在するマリア専用の浴室を思い出し、レナも一度だけ入った事があるため、場所は知っている。ジャンヌに礼を告げ、ギルドの地下へ向かう。
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