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剣鬼 闘技祭準備編
魔法の反発作用
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「でも今更魔法と言っても、直接切る方が手っ取り早いんだけど……」
「魔術師にあるまじき発言ですね。まあ、言いたい事は分かります」
森を出た頃は魔法を使用する機会も多かったが、重力剣や重撃剣などのスキルを身に着けてからは主にレナは剣で戦う事に専念しており、ここぞという時にしか魔法は使わない。実際にこれまでの敵の大半は魔法ではなく剣で倒しており、剣鬼として目覚めて以降は剣術の腕を重点的に鍛えている。
森に出る前の頃は剣だけではなく魔法を使用する事が多く、あくまでも剣を扱っていたのは身体を鍛えるためで本職の剣士のように剣を扱うつもりはなかった。それが何時の間にか「剣鬼」として覚醒し、魔法ではなく剣を扱う事が多くなったのだが、実際の所はレナの魔法の技術も向上しているのは間違いない。
「レナさんは結構な量の魔法の技術スキルを覚えてますよね。その中で遠距離攻撃が出来るのはどれくらいありますか?」
「えっと……まあ、3、4個ぐらい?」
「それなら得意とする属性は何ですか?」
「得意か……よく扱うのは氷塊の魔法だから水属性かな?いや、重撃剣とかは土属性だし、う~ん……」
「何で魔術師なのに自分の魔法の技術を把握していないんですか」
レナが頻繁に使用するのは「氷塊」や「重撃剣」などの魔法のため、主に水属性と土属性を得意としている。最も限界強化や回復超強化の場合は聖属性のため、基本的に3つの属性を扱う事が多い。だが、森を出た当初は火属性や風属性も扱う事が多く、雷属性も覚えてはいる。
「あれ、よく考えれば俺は6つの属性を覚えているのかな?」
「闇属性もですよ。空間魔法も影魔法の一種ですしね」
「という事は……全属性扱えるの?」
「バルトロス王国の王族は職業に関係なく、全属性を扱えます。これは先祖の中に召喚された勇者が存在する事が原因ですね。ちなみにハヅキ家の人間も全属性の魔法を扱えますよ。こちらも先祖の中に勇者と交わった者がいますから、アイラやマリアも全属性を扱えますよ」
アイリスの説明によると勇者の血筋を継ぐ人間は例外なく全属性を扱えるらしく、レナは生まれた時から全属性の魔法を操れる素質を持っていたらしい。更に言えばレナの母親の家系である「ハヅキ家」にも勇者の先祖が存在するらしく、レナの母親のアイラとマリアも全属性が扱えるらしい。
「あれ?でも母上は火属性しか扱った所しか見てないけど……」
「あくまでも素質があるというだけで、実際に魔法を使う機会がなければ意味はないんですよ。アイラは魔法を不得手としていたから他の属性の魔法を覚えようとしなかったんです」
「なるほど」
「ちなみに勇者の中にはレナさんの様に初級魔法を駆使して戦う人もいましたよ。その人は初級魔法を組み合わせて形態魔法と呼ばれる魔法を作り出したんですけど、レナさんも試してみますか?」
「形態魔法?」
過去に召喚された勇者の中にはレナの様に初級魔法しか覚えられない職業の人間も居たらしく、彼は初級魔法を改造して「形態魔法」と呼ばれる魔法を作り出し、様々な伝説を築き上げたという。レナもこれまでに初級魔法の組み合わせでいくつかのスキルを作り出したが、アイリスによると彼は更に強力な魔法を編み出しているという。
「そうですね……レナさんは付与強化の魔法で各属性の魔力を操作できるようになりましたよね?」
「そうだけど……」
「熟練度も上がっているようですし、今なら掌以外の箇所から魔力を生み出せるんじゃないですか?実際に魔鎧術も扱えるのなら問題ないと思いますけど」
「なるほど……ちょっとやってみる」
基本的にレナは両の掌を通して魔法を発現させている。だが、アイリスの言葉通りに掌以外の箇所に付与強化の魔法を発動出来ないのかを試すため、右腕に集中して雷属性の魔力を迸らせる。
「こんな感じ?」
「おお、そうですそうです。そんな感じです」
腕から電流が迸り、それを見たアイリスが頷いて他の身体の部位からも魔力を発動出来るのかを促す。肘、膝、爪先、踵などの場所ならば付与強化が発動出来る事が判明した。
「ちょっと魔力の消費が大きいけど、身体の何処でも発動できるみたいだけど……」
「上出来ですよ。ここまで支援魔法を極める人間なんてレナさんぐらいでしょうね。それなら今度は本番に入りましょう……レナさんは魔法の反発作用という現象をご存知ですか?」
「反発作用?」
「魔法同士が衝突した際、魔法の力が反発しあい、強烈な光の衝撃波を生み出します。この現象を反発作用と呼ばれています」
「へえっ……」
「この現象は魔法の力よりも反発させる属性の数によって威力の大きさが左右されます。だから全属性を扱えるレナさんには都合が良いかもしれません」
「都合が良い?」
「レナさんの退魔刀には7つの属性の魔術痕が刻まれていますよね。その退魔刀の刃に全ての属性の魔力を送り込めば……とんでもない事が起きますよ」
「うわぁっ……」
まるで悪役のような黒い笑みを浮かべるアイリスの言葉にレナは身体を引かせたが、ここにきて魔法の反発作用という現象の存在を知り、彼はこの世界で確かめる事にした。
「魔術師にあるまじき発言ですね。まあ、言いたい事は分かります」
森を出た頃は魔法を使用する機会も多かったが、重力剣や重撃剣などのスキルを身に着けてからは主にレナは剣で戦う事に専念しており、ここぞという時にしか魔法は使わない。実際にこれまでの敵の大半は魔法ではなく剣で倒しており、剣鬼として目覚めて以降は剣術の腕を重点的に鍛えている。
森に出る前の頃は剣だけではなく魔法を使用する事が多く、あくまでも剣を扱っていたのは身体を鍛えるためで本職の剣士のように剣を扱うつもりはなかった。それが何時の間にか「剣鬼」として覚醒し、魔法ではなく剣を扱う事が多くなったのだが、実際の所はレナの魔法の技術も向上しているのは間違いない。
「レナさんは結構な量の魔法の技術スキルを覚えてますよね。その中で遠距離攻撃が出来るのはどれくらいありますか?」
「えっと……まあ、3、4個ぐらい?」
「それなら得意とする属性は何ですか?」
「得意か……よく扱うのは氷塊の魔法だから水属性かな?いや、重撃剣とかは土属性だし、う~ん……」
「何で魔術師なのに自分の魔法の技術を把握していないんですか」
レナが頻繁に使用するのは「氷塊」や「重撃剣」などの魔法のため、主に水属性と土属性を得意としている。最も限界強化や回復超強化の場合は聖属性のため、基本的に3つの属性を扱う事が多い。だが、森を出た当初は火属性や風属性も扱う事が多く、雷属性も覚えてはいる。
「あれ、よく考えれば俺は6つの属性を覚えているのかな?」
「闇属性もですよ。空間魔法も影魔法の一種ですしね」
「という事は……全属性扱えるの?」
「バルトロス王国の王族は職業に関係なく、全属性を扱えます。これは先祖の中に召喚された勇者が存在する事が原因ですね。ちなみにハヅキ家の人間も全属性の魔法を扱えますよ。こちらも先祖の中に勇者と交わった者がいますから、アイラやマリアも全属性を扱えますよ」
アイリスの説明によると勇者の血筋を継ぐ人間は例外なく全属性を扱えるらしく、レナは生まれた時から全属性の魔法を操れる素質を持っていたらしい。更に言えばレナの母親の家系である「ハヅキ家」にも勇者の先祖が存在するらしく、レナの母親のアイラとマリアも全属性が扱えるらしい。
「あれ?でも母上は火属性しか扱った所しか見てないけど……」
「あくまでも素質があるというだけで、実際に魔法を使う機会がなければ意味はないんですよ。アイラは魔法を不得手としていたから他の属性の魔法を覚えようとしなかったんです」
「なるほど」
「ちなみに勇者の中にはレナさんの様に初級魔法を駆使して戦う人もいましたよ。その人は初級魔法を組み合わせて形態魔法と呼ばれる魔法を作り出したんですけど、レナさんも試してみますか?」
「形態魔法?」
過去に召喚された勇者の中にはレナの様に初級魔法しか覚えられない職業の人間も居たらしく、彼は初級魔法を改造して「形態魔法」と呼ばれる魔法を作り出し、様々な伝説を築き上げたという。レナもこれまでに初級魔法の組み合わせでいくつかのスキルを作り出したが、アイリスによると彼は更に強力な魔法を編み出しているという。
「そうですね……レナさんは付与強化の魔法で各属性の魔力を操作できるようになりましたよね?」
「そうだけど……」
「熟練度も上がっているようですし、今なら掌以外の箇所から魔力を生み出せるんじゃないですか?実際に魔鎧術も扱えるのなら問題ないと思いますけど」
「なるほど……ちょっとやってみる」
基本的にレナは両の掌を通して魔法を発現させている。だが、アイリスの言葉通りに掌以外の箇所に付与強化の魔法を発動出来ないのかを試すため、右腕に集中して雷属性の魔力を迸らせる。
「こんな感じ?」
「おお、そうですそうです。そんな感じです」
腕から電流が迸り、それを見たアイリスが頷いて他の身体の部位からも魔力を発動出来るのかを促す。肘、膝、爪先、踵などの場所ならば付与強化が発動出来る事が判明した。
「ちょっと魔力の消費が大きいけど、身体の何処でも発動できるみたいだけど……」
「上出来ですよ。ここまで支援魔法を極める人間なんてレナさんぐらいでしょうね。それなら今度は本番に入りましょう……レナさんは魔法の反発作用という現象をご存知ですか?」
「反発作用?」
「魔法同士が衝突した際、魔法の力が反発しあい、強烈な光の衝撃波を生み出します。この現象を反発作用と呼ばれています」
「へえっ……」
「この現象は魔法の力よりも反発させる属性の数によって威力の大きさが左右されます。だから全属性を扱えるレナさんには都合が良いかもしれません」
「都合が良い?」
「レナさんの退魔刀には7つの属性の魔術痕が刻まれていますよね。その退魔刀の刃に全ての属性の魔力を送り込めば……とんでもない事が起きますよ」
「うわぁっ……」
まるで悪役のような黒い笑みを浮かべるアイリスの言葉にレナは身体を引かせたが、ここにきて魔法の反発作用という現象の存在を知り、彼はこの世界で確かめる事にした。
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