上 下
77 / 246
高校生編side晴人 守る為に闘う事と事件の決着

61.チーム結成!

しおりを挟む
相川さんが話してくれた事は衝撃的だった。

生徒会の上級生?
しかも理由が、相川さんが俺を邪魔だって言ったから?
それだけで放火したの?

いや、まだ犯人って確定した訳ではないけど…。

「その人の名前って分かる?」

「橋本だったと思う。生徒会の会計。」

名前を聞いても全然顔が思い浮かばない。

「分かった、話してくれてありがとう!」

「ちょ、ちょっと!どうするつもり⁉︎」

もう生徒会室に向かおうとしてる俺に、相川さんが焦ったように言う。

「顔が分かんないから取り敢えず見に行ってみるよ!」

「馬鹿!アンタが接触したら危ないわよ!」

狙われてる自覚持ちなさいよね、と怒ってる相川さん。
何か、心配してくれてるっぽい。

「私が行くわよ。」

「いや、それも危ないでしょ。」

うんうん、俺もそう思う!
相川さんに執着してる奴っぽいし。

…ん???

「ごめんな、晴人探しに来たら聞こえた。」

俺の背後から現れたのは…

「啓太!と、黒崎君!」

何でここに?って思ったのが顔に出てたっぽい。

「いやいや、鞄あるのに教室戻って来ないし
連絡つかないし何かあったのかと思うだろ。」

「そーだよ!そんで啓太君から俺に連絡来て探してたの。」

なんか2人、仲良くなってるな。

「ご、ごめん!啓太皆勤賞なのに…」

「そこじゃない!俺に内緒で動こうとした事に謝ってくれ。何かするならちゃんと頼れよな。
何の為の親友だと思ってるんだ。」

珍しく怒ってる啓太の言葉に、胸がジンとする。

「うん…巻き込みたく無かったから言わなかったんだけど、逆の立場だったら絶対嫌だ。
ごめんな、啓太。」

「よし!許す!」

この真っ直ぐな親友は本当にいい奴だ。

「黒崎君も、ごめんね。」

「なんかさ、萱島君ってほっとけないんだよなぁ。俺もできる事あったら協力するから頼ってよ。」

「うん…ありがとう。」

ほっこりする俺達を現実に戻したのはチッと言う舌打だった。

「友情ごっこは他所でやってよね。
脳天気にわちゃついてる場合じゃないのよ。」

相川さん、容赦ないね。

「いやいや、元はと言えば相川さんのせいだろ。
晴人を邪魔者扱いしてるけど、晴人が君に何したって言うんだ?
前にここで相川さんと話した後も晴人は様子が変だった。
切藤との関係がおかしくなったのも、プールの事も…どこまでが君の仕業なの?」

「啓太、それは…」

「晴人は黙ってろ。だいたい、相川さんが嘘付いてる可能性だってあるだろ。
その橋本って奴に自分から依頼した可能性だってゼロじゃないんだ。」

「うーん、相川ちゃんの事はクラスメイトとして庇ってあげたいけどさ、今までの行いが本当にそれなら信用には値しないよね。」

「黒崎君まで…」

問い詰められた相川さんは、それでもハッキリと言った。

「萱島に嫌がらして、それが原因で蓮と距離ができたのは私の作戦通り。
プールの件は私が桃に蓮との中を裂くように指示したけど、桃が裏切った。」

他には?と言いたげな目で俺達を見る相川さん。

堂々たる受け応えに唖然とする啓太に代わって、黒崎君が話し出す。

「相川ちゃんって蓮の事好きなの?
俺、本気じゃないって分かってるから蓮は相川ちゃんの事避けないんだって思ってたんだけど。」

「…どう言う事?」

「蓮は、自分に気がある相手が近寄らないように牽制するじゃん。気持ちに応える気とか一切無いから。」

一瞬黒崎君がこっち見たけど、俺そんなの全然知らなかったから同意はできないよ?

「だけど、相川ちゃんとはクラスメイトとしての距離保ってたでしょ。
俺も相川ちゃんが本気だと思ってなかったし、蓮もそうなんだろうなって納得してたんだよね。」

「なんで、本気じゃないって…」

「やだなぁ。肩書き目当てかどうかなんてすぐ分かるよ?そう言う奴等ばっかりだからね。」

そして、少し声のトーンを落とす。

「レベル高い男が欲しいのかもしれないけど、騙されるのはだよ。
にはそんな小細工、通用しないからね?」

普段の彼からは想像できないような冷たい笑みにヒヤリとする。

それは相川さんも同じだったみたいだ。
言葉に詰まって、心なしか震えてるように見える。

を好きになる奴なんてーーー」

「黒崎、ストップ!
話しが逸れたから戻そう。」

啓太が言って、黒崎君の肩に手を置く。
それがなんだか労わるように見えたのは、俺の気のせいだろうか。

「とにかく、相川さんは切藤と一緒にいる晴人が気に入らなくて色々やってたのは間違いないんだろ?
それが今回の小火騒ぎと切藤の免罪に繋がってる訳だ。」

「…でも、今回のは本当に私が指示したんじゃないわ。橋本が勝手に…」

「相川ちゃん、それ本気で言ってる?
そもそも相川ちゃんがそんな事しなければ起こらなかった事件だよね?始まりは自分でしょ。」

青くなって俯く相川さん。

「待って、二人とも!俺の為に怒ってくれるのは嬉しいんだけど、俺も悪いんだよ。」

「晴人…」

「相川さんにされた事は確かに嫌だったし、傷付いたりもしたけど…。
だけどさ、俺が元々、蓮と自分が釣り合ってないって思ってたのが始まりなんだよ。
自信があればそんなの気にしなかったし…ほら、蓮本人に相談したりもできたはずなんだ…。」

そもそもの始まりは俺の弱さにあったと思う。
相川さんの言葉にダメージ受けて、蓮から離れるのを選択したのは俺だ。

「ま、ま、待って萱島君!
蓮と釣り合ってないって本気で思ってるの?」

何故か動揺してる黒崎君に頷くと、彼は頭を抱えた。

「いや…俺から見たら逆もいい所なんだけど…こんな純粋な生き物に漆黒の蓮とか…そっちの方が釣り合わないよ…蓮も何でそこのケアできてないんだよ…何でそこ限定でヘタレになるんだよ…」

「え、えーっと黒崎君?」

何か小声でブツブツ言ってるけど大丈夫かな?

「とにかく、啓太と黒崎君が怒ってくれたから、俺はもう相川さんに対して思う事は特になし!
今回の事件も悪いのは実行犯だと思うし、相川さんの証言を信じるよ。」

「晴人、お前なぁ…」

「考えが甘いってのは分かってるよ。
でも、犯人を許すつもりは無い。
そっちは絶対に許せないから捕まえたい!
…協力してくれる?」

啓太も黒崎君も何か言いたそうだったけど、諦めたように溜息を吐いた。

「あぁ~、分かったよ!どっちにしろ橋本って奴に接触しないと真相は分かんないしな。」

「萱島君って結構頑固だよねぇ。」

何だかんだ言いながらも協力してくれる2人。
それから…

「相川さんも、お願い。」

「…分かったわよ。」

よし、これで大丈夫だね!

あ、あとさ。

「黒崎君、肩書きとか良く分かんないけど、俺は黒崎君の事好きだよ?」

「ブフッ、因みに、どこが?」

何故か吹き出す啓太の問いに答える。

「真面目で優しい!
周りの事良く見てるし実は熱い!
あと、ちょっと不器用な面があるギャップ!」

呆気に取られる黒崎君。
爆笑する啓太。
困惑する相川さん。


事件解決に向けて、ここに不思議なチームが爆誕した。




●●●
「真面目」「熱い」「不器用」
軽いノリと話術で隠して来た所を好きと言われて呆然の黒崎。
彼にとっても晴人はある意味特別。良かったね。



























しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

いっそあなたに憎まれたい

石河 翠
恋愛
主人公が愛した男には、すでに身分違いの平民の恋人がいた。 貴族の娘であり、正妻であるはずの彼女は、誰も来ない離れの窓から幸せそうな彼らを覗き見ることしかできない。 愛されることもなく、夫婦の営みすらない白い結婚。 三年が過ぎ、義両親からは石女(うまずめ)の烙印を押され、とうとう離縁されることになる。 そして彼女は結婚生活最後の日に、ひとりの神父と過ごすことを選ぶ。 誰にも言えなかった胸の内を、ひっそりと「彼」に明かすために。 これは婚約破棄もできず、悪役令嬢にもドアマットヒロインにもなれなかった、ひとりの愚かな女のお話。 この作品は小説家になろうにも投稿しております。 扉絵は、汐の音様に描いていただきました。ありがとうございます。

Tally marks

あこ
BL
五回目の浮気を目撃したら別れる。 カイトが巽に宣言をしたその五回目が、とうとうやってきた。 「関心が無くなりました。別れます。さよなら」 ✔︎ 攻めは体格良くて男前(コワモテ気味)の自己中浮気野郎。 ✔︎ 受けはのんびりした話し方の美人も裸足で逃げる(かもしれない)長身美人。 ✔︎ 本編中は『大学生×高校生』です。 ✔︎ 受けのお姉ちゃんは超イケメンで強い(物理)、そして姉と婚約している彼氏は爽やか好青年。 ✔︎ 『彼者誰時に溺れる』とリンクしています(あちらを読んでいなくても全く問題はありません) 🔺ATTENTION🔺 このお話は『浮気野郎を後悔させまくってボコボコにする予定』で書き始めたにも関わらず『どうしてか元サヤ』になってしまった連載です。 そして浮気野郎は元サヤ後、受け溺愛ヘタレ野郎に進化します。 そこだけ本当、ご留意ください。 また、タグにはない設定もあります。ごめんなさい。(10個しかタグが作れない…せめてあと2個作らせて欲しい) ➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。 ➡︎ 『番外編:本編完結後』に区分されている小説については、完結後設定の番外編が小説の『更新順』に入っています。『時系列順』になっていません。 ➡︎ ただし、『番外編:本編完結後』の中に入っている作品のうち、『カイトが巽に「愛してる」と言えるようになったころ』の作品に関してはタイトルの頭に『𝟞』がついています。 個人サイトでの連載開始は2016年7月です。 これを加筆修正しながら更新していきます。 ですので、作中に古いものが登場する事が多々あります。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

処理中です...