8 / 246
中学生編 side晴人
7.立ち位置
しおりを挟む
「は?」
「イェーイ!スペシャルゲストの晴人くんでーす!!」
「ど、どーもー…。」
不機嫌な蓮、テンション高い翔君、目が死んでる俺がリビングに大集合した。
蓮が、ソファに座った翔君の足の間に座っている俺を見ている。
「そこで何してんだよ。」
うっ、やっぱ怒ってる。
そりゃ二ヶ月も無視してたんだもんな。
「だって一緒にピザ選びたいじゃーん?
昔は良くこーやって絵本読んでやったよな。」
そう言って、後ろからオレを抱えるようにしてスマホを見せてくれる翔君に、懐かしい気持ちになる。
「翔君、俺コレがいい!」
「よーしよしよし。サイドメニューは?ポテト食べる?」
「うん!」
俺の頭をわしゃわしゃする翔君はちょっとムツゴロウさん化してるけど昔から優しいんだよな。
「おーおー、晴人は可愛いなぁ。
サイズ感も丁度いいし何かいい匂いす…ッテェ!」
蓮に思いっきり頭を叩かれた翔君が声を上げる。
「お前、いい加減にしろよ…。」
「ヤキモチかー⁉︎お前だって可愛い弟だぞ♡」
不機嫌MAXの蓮に超明るく返せる翔君は流石お兄ちゃんだわ。
蓮が二発目を放とうとした時、スマホの着信音が鳴った。
「あ、チョイ待ち!電話だわ。もしもーし!」
待って!!行かないでぇ!!
俺の願いも虚しく部屋の外に出て行く翔君。
二人っきりになる、俺と蓮。
き、気まずい…。
「……お前さ。」
「へいっ⁉︎」
地を這うような蓮の声。
裏返る俺の声。
「あんま翔とベタベタすんじゃねぇ。」
「…へい??」
蓮は俺から視線を外して首の後ろに手を当てている。
照れたようなその仕草に、ピンと来た。
そうか、久々に帰って来た翔君のこと俺が独占してたらいい気しないよな。
ごめんな、大事な兄弟の時間に乱入しちゃって。
「蓮、ごめん。」
俺が言うと蓮が訝しげにこっちを見た。
翔君の件だけじゃなくて、謝らなければ。
「ずっと無視してごめん。
ほら、俺もちょっと混乱してて…。」
まさか蓮が俺のこと好きかもなんて勘違いしそうになったとは言えない。
「でも、俺はこれからも蓮とは仲良くやっていきたいんだよ!俺達、幼馴染だろ?」
蓮と遥が恋人になっても、俺が2人の幼馴染であることには変わりない。
「だから、あのことは全部忘れる!!
蓮も忘れろ!!」
遥と恋人になった今、蓮にとっても黒歴史だろうからな。お互いのためにもそれが一番だ。
「晴…。俺は…」「そうしよう!!な⁉︎」
蓮は何か言いたそうだけど、ここで謝罪されて、遥との交際宣言されるなんて嫌だ。
無理無理、今日の今日ではまだ聞きたくない。
「てかさ、蓮はピザどれがいい⁉︎
翔君の奢りらしいから好きなの頼もうぜ!」
強引に会話を逸らした所で、翔君が戻って来た。
「決まったかー?頼むぞー!!」
そうして、ピザパーティーは無事開催された。
蓮とも多少ぎこちないながらも普通に会話できたし、仲直り成功だ。
そう、これでいいんだ。
これでーーーーー。
仲直りしてから俺と蓮は順調だ。
うん。今まで通り。
不思議なのは蓮と遥にも変わった点が見受けられないことだ。
二人から交際報告はない。
付き合ってるらしいって噂も聞かない。
注意深く観察してみても、甘い雰囲気とか一切無いんだよなぁ。
強いて言うなら、少し会話は増えてる気がする。
でも、登下校も蓮は相変わらず俺と一緒だし、休み時間も俺の所に来る。
これって俺が一人にならないように気を使われてるのかな。
気にしないで遥の所行けよって言うべきなのか?
恋愛経験ゼロの俺には正解が分からなくて困ってる。
そんな状態が暫く続いたある日の夜、俺がコンビニに行こうとすると声をかけられた。
「晴?」
「あ、翔君!」
「何か前にもこんな事無かったか?」
あったあった!
蓮と仲直りした日ね。
「なんだ、家いたならお前も来れば良かったのに。」
「え?」
「さっきまで遥が家来てたんだよ。蓮が友達がノート借りに来るって言うから、代わりに俺が送って来たとこ。」
「そうなんだ。…遥って最近良く翔君家いるの?」
「んー、たまにしか帰んない俺が必ず会うから結構来てんじゃねぇ?」
そしてハッとした顔をした。
「え、もしかして喧嘩?そんで晴人だけ呼ばれてないの?」
「違うよ。喧嘩なんかしてないって!
俺は…その、最後だから部活頑張りたくて。」
「あー!夏の大会終わったら引退だもんな。
悔いのないように頑張れよ!」
笑顔で翔君と別れてコンビニに向かう。
そっか。蓮と遥は放課後に家で会ってたのか…。
どうして頑なに隠したがるのか分からないけど、何か二人の事情があるのかもしれない。
寂しいけど、首突っ込まない方がいいよな。
お邪魔虫にならないようにだけ気を付けよう。
来週から夏休みだけど、あんまり蓮のこと遊びに誘わないようにして…。
毎年三人で行ってた夏祭りも今年はパスだ。
二人は恋人で、俺はただの幼馴染。
どっちが優先かなんて一目瞭然だろ。
大丈夫、俺はちゃんと分かってるからーーー。
「イェーイ!スペシャルゲストの晴人くんでーす!!」
「ど、どーもー…。」
不機嫌な蓮、テンション高い翔君、目が死んでる俺がリビングに大集合した。
蓮が、ソファに座った翔君の足の間に座っている俺を見ている。
「そこで何してんだよ。」
うっ、やっぱ怒ってる。
そりゃ二ヶ月も無視してたんだもんな。
「だって一緒にピザ選びたいじゃーん?
昔は良くこーやって絵本読んでやったよな。」
そう言って、後ろからオレを抱えるようにしてスマホを見せてくれる翔君に、懐かしい気持ちになる。
「翔君、俺コレがいい!」
「よーしよしよし。サイドメニューは?ポテト食べる?」
「うん!」
俺の頭をわしゃわしゃする翔君はちょっとムツゴロウさん化してるけど昔から優しいんだよな。
「おーおー、晴人は可愛いなぁ。
サイズ感も丁度いいし何かいい匂いす…ッテェ!」
蓮に思いっきり頭を叩かれた翔君が声を上げる。
「お前、いい加減にしろよ…。」
「ヤキモチかー⁉︎お前だって可愛い弟だぞ♡」
不機嫌MAXの蓮に超明るく返せる翔君は流石お兄ちゃんだわ。
蓮が二発目を放とうとした時、スマホの着信音が鳴った。
「あ、チョイ待ち!電話だわ。もしもーし!」
待って!!行かないでぇ!!
俺の願いも虚しく部屋の外に出て行く翔君。
二人っきりになる、俺と蓮。
き、気まずい…。
「……お前さ。」
「へいっ⁉︎」
地を這うような蓮の声。
裏返る俺の声。
「あんま翔とベタベタすんじゃねぇ。」
「…へい??」
蓮は俺から視線を外して首の後ろに手を当てている。
照れたようなその仕草に、ピンと来た。
そうか、久々に帰って来た翔君のこと俺が独占してたらいい気しないよな。
ごめんな、大事な兄弟の時間に乱入しちゃって。
「蓮、ごめん。」
俺が言うと蓮が訝しげにこっちを見た。
翔君の件だけじゃなくて、謝らなければ。
「ずっと無視してごめん。
ほら、俺もちょっと混乱してて…。」
まさか蓮が俺のこと好きかもなんて勘違いしそうになったとは言えない。
「でも、俺はこれからも蓮とは仲良くやっていきたいんだよ!俺達、幼馴染だろ?」
蓮と遥が恋人になっても、俺が2人の幼馴染であることには変わりない。
「だから、あのことは全部忘れる!!
蓮も忘れろ!!」
遥と恋人になった今、蓮にとっても黒歴史だろうからな。お互いのためにもそれが一番だ。
「晴…。俺は…」「そうしよう!!な⁉︎」
蓮は何か言いたそうだけど、ここで謝罪されて、遥との交際宣言されるなんて嫌だ。
無理無理、今日の今日ではまだ聞きたくない。
「てかさ、蓮はピザどれがいい⁉︎
翔君の奢りらしいから好きなの頼もうぜ!」
強引に会話を逸らした所で、翔君が戻って来た。
「決まったかー?頼むぞー!!」
そうして、ピザパーティーは無事開催された。
蓮とも多少ぎこちないながらも普通に会話できたし、仲直り成功だ。
そう、これでいいんだ。
これでーーーーー。
仲直りしてから俺と蓮は順調だ。
うん。今まで通り。
不思議なのは蓮と遥にも変わった点が見受けられないことだ。
二人から交際報告はない。
付き合ってるらしいって噂も聞かない。
注意深く観察してみても、甘い雰囲気とか一切無いんだよなぁ。
強いて言うなら、少し会話は増えてる気がする。
でも、登下校も蓮は相変わらず俺と一緒だし、休み時間も俺の所に来る。
これって俺が一人にならないように気を使われてるのかな。
気にしないで遥の所行けよって言うべきなのか?
恋愛経験ゼロの俺には正解が分からなくて困ってる。
そんな状態が暫く続いたある日の夜、俺がコンビニに行こうとすると声をかけられた。
「晴?」
「あ、翔君!」
「何か前にもこんな事無かったか?」
あったあった!
蓮と仲直りした日ね。
「なんだ、家いたならお前も来れば良かったのに。」
「え?」
「さっきまで遥が家来てたんだよ。蓮が友達がノート借りに来るって言うから、代わりに俺が送って来たとこ。」
「そうなんだ。…遥って最近良く翔君家いるの?」
「んー、たまにしか帰んない俺が必ず会うから結構来てんじゃねぇ?」
そしてハッとした顔をした。
「え、もしかして喧嘩?そんで晴人だけ呼ばれてないの?」
「違うよ。喧嘩なんかしてないって!
俺は…その、最後だから部活頑張りたくて。」
「あー!夏の大会終わったら引退だもんな。
悔いのないように頑張れよ!」
笑顔で翔君と別れてコンビニに向かう。
そっか。蓮と遥は放課後に家で会ってたのか…。
どうして頑なに隠したがるのか分からないけど、何か二人の事情があるのかもしれない。
寂しいけど、首突っ込まない方がいいよな。
お邪魔虫にならないようにだけ気を付けよう。
来週から夏休みだけど、あんまり蓮のこと遊びに誘わないようにして…。
毎年三人で行ってた夏祭りも今年はパスだ。
二人は恋人で、俺はただの幼馴染。
どっちが優先かなんて一目瞭然だろ。
大丈夫、俺はちゃんと分かってるからーーー。
46
お気に入りに追加
961
あなたにおすすめの小説
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
いっそあなたに憎まれたい
石河 翠
恋愛
主人公が愛した男には、すでに身分違いの平民の恋人がいた。
貴族の娘であり、正妻であるはずの彼女は、誰も来ない離れの窓から幸せそうな彼らを覗き見ることしかできない。
愛されることもなく、夫婦の営みすらない白い結婚。
三年が過ぎ、義両親からは石女(うまずめ)の烙印を押され、とうとう離縁されることになる。
そして彼女は結婚生活最後の日に、ひとりの神父と過ごすことを選ぶ。
誰にも言えなかった胸の内を、ひっそりと「彼」に明かすために。
これは婚約破棄もできず、悪役令嬢にもドアマットヒロインにもなれなかった、ひとりの愚かな女のお話。
この作品は小説家になろうにも投稿しております。
扉絵は、汐の音様に描いていただきました。ありがとうございます。
Tally marks
あこ
BL
五回目の浮気を目撃したら別れる。
カイトが巽に宣言をしたその五回目が、とうとうやってきた。
「関心が無くなりました。別れます。さよなら」
✔︎ 攻めは体格良くて男前(コワモテ気味)の自己中浮気野郎。
✔︎ 受けはのんびりした話し方の美人も裸足で逃げる(かもしれない)長身美人。
✔︎ 本編中は『大学生×高校生』です。
✔︎ 受けのお姉ちゃんは超イケメンで強い(物理)、そして姉と婚約している彼氏は爽やか好青年。
✔︎ 『彼者誰時に溺れる』とリンクしています(あちらを読んでいなくても全く問題はありません)
🔺ATTENTION🔺
このお話は『浮気野郎を後悔させまくってボコボコにする予定』で書き始めたにも関わらず『どうしてか元サヤ』になってしまった連載です。
そして浮気野郎は元サヤ後、受け溺愛ヘタレ野郎に進化します。
そこだけ本当、ご留意ください。
また、タグにはない設定もあります。ごめんなさい。(10個しかタグが作れない…せめてあと2個作らせて欲しい)
➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
➡︎ 『番外編:本編完結後』に区分されている小説については、完結後設定の番外編が小説の『更新順』に入っています。『時系列順』になっていません。
➡︎ ただし、『番外編:本編完結後』の中に入っている作品のうち、『カイトが巽に「愛してる」と言えるようになったころ』の作品に関してはタイトルの頭に『𝟞』がついています。
個人サイトでの連載開始は2016年7月です。
これを加筆修正しながら更新していきます。
ですので、作中に古いものが登場する事が多々あります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる