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第一章

21 ~私は、お兄ちゃんに預けられたお子様かい?

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 午後からの案内にカイ皇子は来なかったし、食堂に戻ったら、愛子はおらず、何でも今日からついた愛子付きの侍女に案内させるから良いと断られた様だ。
 そういえば、綺麗な侍女が愛子に付き添ってたなと思う。
 本来なら愛子が周りに侍女を紹介しなければならないのだろうと思うのだけど、全くそんなことも思いついてないようだった。
 でも、ここではわざわざ侍女を紹介しなくても良いのかとも思い、タンザ様に聞けば、お付きの侍女は紹介するものとの事、そう聞いてそう言えばいなくてもい良いけど、私にはつかないんだなと思っていたら、タンザ様に謝られた。

『すみません、条件を満たす者が今、侍女頭のミシェルしかおりませんので、ミシェルがお世話をしてますが、侍女頭ですのでお付きにはできませんで…』

 と言われ、今のところ困ってないので別につけなくて良いと言っておいた。
 タンザ様の案内は的確だった、ミエル様はきちんと質問しないと返答が返ってこないのだが、タンザは智美の様子を見て、端的な問いでも疑問に答えてくれる。年も同じぐらいに見えるせいか、気負いがいらない。
 ここにきて、年上の人がほとんどおらず、気が張っていたのかと思う。時折、城で働いてる人で4、50代の人たちを見るが、自分と接触がある人物にはいなかった。

「ご高齢の方は、いらっしゃらないんですね、それを言うと子供もですけど」

『自分の子供が働きはじめると、故郷の仕事に戻られる方が多いので、そう感じるんですかね。
  子供を見ないのは、既婚者は大概城の外に居を構えますので、子供がいればなおさらですね』

 それと、この国の人はオシャレさんだなあと、智美は思う。
 見かける人全て何かしらピアスをつけている。
 男性でも女性でも両耳だったり、片耳だったり、青い石なのか青いガラスなのか分からないが、とにかく青い色のピアスを着けている人がほとんどで、たまに飾りのないループピアスを着けている人もいるが、智美がピアスに気付いてからは、今のところ両耳全く何も着けていない、という人は見ていない。
 智美がそんな事を考えながら、じっと人の流れが多い所を眺めていると、タンザが話し出した。

『そちらは男性区域です、智美様は行かれないようお気を付け下さい』

 タンザの言葉に考えていたことから意識が外れ、ピアスのことは智美の頭の片隅に追いやられた。




 夕食をカイ皇子とではなく、初めて皆で食べた。
 皆と言っても、アル皇子、タンザ、ミエル、愛子、智美で5人だ、カイ皇子はどうしたのかと聞くと、騎士団の仕事や昨日の事件で処理が遅れた上、昨日は休養したせいでこちらに食事を取りに来れないようだ。

(私は、お兄ちゃんに預けられたお子様かい?)

 智美は無意識に愛子の面倒を兄のアル皇子がして、智美の面倒を弟のカイ皇子がするという分担をしてるのだろうと思い込んでいた。
  自分の面倒を見ているのがカイ皇子なので、【清き乙女】の可能性が高そうな愛子が第一皇子のアル皇子が面倒を見ているのあろうと思っている。
 実際はそう言うわけではなく、智美を囲い込みたいカイ皇子が智美だけをかまい倒しているだけのことなのだが、カイ皇子とのやり取りは日が浅いので智美は捕らえきれてなかった。
 仕事じゃしょうがないねと思いながら、疑問に思ったことを口にする。

「あの、アル皇子のお妃様とお子様は、別室で食事されてるんですか?」

『ああ、サトミには話してなかったね。
 妻と娘は実家にお産で帰ってるんだ』

 アル皇子の、セリフに智美はキョトンとする。
 お産で里帰りとはまた庶民的なと思っていると、タンザが補足する。

『本来なら、皇族の方が里帰りして出産なとあり得ないのですが、お妃様のご実家は魔法医療の大家な家系ですし。地域的にもとても医療が発展しています。そんな関係で皇帝がお許しになりました』
 そんな話をしている最中に、ぼそりと愛子のつぶやきが聞こえた。

「はー、鶏の唐揚げ食べたい。マックのポテト食べたい」

 その声に、智美はあー若い子には辛いのかなと思う。
 この国なのか世界なのかわからないけれど、出てくる料理の方法に、揚げ物は今までなかったし、明らかに油っぽいものもない。全くないとは言わないが、明らかに油を感じるものは、素材そのものに油が乗っている肉や魚だった。

「あの…油で揚げるっていう調理法はないんですか」

 智美は、何でも知ってそうなタンザに話しかける。

『ありますよ、ただ油は高価で貴重品なんです。その油を大量に使う揚げ料理はお祝いの席とかでしか作りません。なので、普段の食事ではでないですね。それより、もっといかがです』

 タンザと食べるのは初めてだったので、取り分けてもらう料理の量に、いちいち少なめの分量を言うことに、タンザは不思議がる。
 智美は慌てたように言った。

「いえ、もうお腹はいっぱいです。あとは、そちらの果物を頂ければ、もう入りません」

 少なくとは言っているが、ある程度見栄えがするぐらいの量は盛られてしまうので、残すということができない智美は結構もう苦しい。
 いっそ、ビュッフェのように自分で取らせてもらえないかと思ってしまう。

『別盤者は皆小食なんですかねえ…。そういえば、歴史書にも食が細いと記述がありましたね』

 そのあとも、お茶を飲みながら、少々その場に残っていた智美だったが、ある目的のために先に部屋に戻らせてもらった。




──────────
後書き

さて、智美の目的とは、日本人異世界転移あるある?
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