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第8夜 夜明け前より瑠璃色の

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 その日の明け方。
 瑠璃色に染まるセラフィト東の平原に、何万という兵が突然現われ、消えた――町外れに住む『いかれ狩人』の発言に、仲間はどっと笑った。
 
「そんな馬鹿な話があるかい!」
「嘘じゃない、本当じゃ。いきなり現れて消えたんじゃ。こう、猟銃を向けた瞬間にはもう誰もいなかったんじゃ」
「そりゃあ、お前、寝ぼけてたんじゃないか?」

 仲間は、流石いかれたお前の発言は違うなと口々に言って彼の背中を叩いた。
 彼は、数年前からおかしな発言を繰り返していたので、『いかれ狩人』などという不名誉な渾名をつけられた。今や、誰もが彼の言うことを冗談半分にしか聞かない。

「いんや、確かに見た」
「それが本当なら、こんなところで呑気に血抜きしている場合じゃないよな」

 仲間達は肩を竦めつつ、まだ温かい臓物を取り除いた。
 その間に三つ葉や蒲公英など食べられそうな野草を探す。
 食糧は少しでも多い方がいい。農作物は手元にほとんど残らないし、獲物を売らねば生計が立てられない。結局、古い穀物と野草を混ぜて炊き、塩で味を調える。どうにか腹を膨らませるが、血肉が足りていない。
 以前は家畜を飼っていたが、一回目の徴発でそれも失った。移動の為の馬も、乳を出す牛や山羊も、何も残っていない。辛うじて、数か月前に作ったチーズが地下室に残っていたが、食う物に困っていた親戚に分けてやった。徴発は一族の連帯責任で、一度でも目標を達成できなければ重い罰が下るらしい。――実際、隣の荘園は焼き討ちされた。
 正直もう差し出すものはない。
 碌なものを食べていないので、毎日ひもじい。
 巨大な腹の音が鳴った時だ。

「おい、何だありゃあ」
「……ほら、言った通りじゃろう」

 震える指先を辿れば、そこには何十万という大軍の姿があった。整然と列をなす騎馬兵、天馬や鷲獅子を操る空騎兵、その背後に続く歩兵――セラフィトの一師団、それ以上の数の将兵が揃っている。
 その軍勢に先駆けるのは、癖のある眩いばかりの金の髪を一つに括った、すらりとした美青年だった。白装束かつ外套も純白で、大変目立つ。その背には一本の槍を背負っている。
 白馬に跨る姿は凛と咲く高潔な百合のようで、兵達はそんな彼に臣従しているようだった。
 掲げられた旗は三種類。一つは見慣れたセラフィトの国旗、それからもう一つは復活の象徴とされる兎と複雑な模様が描かれた旗、最後は、見慣れない模様が描かれた旗だった。
 呆然とする狩人達に目を留めると、彼の人が馬から下り、そのまま手綱を引いてゆるりと近づいてくる。
 狩人達は固まった。間近で見ると一層輝いて見える。思いのほか背が高く、細身に見えるが、腕回りの筋肉はしっかりついている。
 美青年はふわりと微笑んだ。

「驚かせてすまない。君たちは、この町の民?」
「……はい」
「そう。では、もう家に帰りなさい。暫く待てば食糧の配給がある。それから、当分は狩猟に出てはいけないよ。危険だからね」

 言って、彼は踵を返した。
 美青年が馬の脇腹を蹴って進みだすと、止まっていた大軍も動き出す。
 狩人達はただ茫然と、軍勢が通過するのを見送った。


 

 ◆

 
 セラフィト東部から中央部にかけて、アデレイド候に追従する貴族達の領地が続いている。なだらかな丘が連なり、その合間には麦畑や果実園が広がっている。風が吹くと、耕した土の匂いが鼻腔を掠めて、ロランは急に懐かしさが込み上げてきた。
 領地の管理、運営を自ら行っていたわけではなかった。全てを臣下に任せ、忍んで町に繰り出し、レグルスにくっついて好き勝手なことを宣い、自由気ままに遊び歩いていたあの頃の思い出が脳裏を過ぎる。――何の不安もなく、穏やかな日々が続くと信じて疑っていなかった幸せな時代が。
 千年以上前に建築された由緒正しいアデレイドの城は、東部の荘園のどの位置からでも眺めることができた。愚かしいまでの血統主義と魔力至上主義の妄執にとらわれた象徴、その中に、現在、ロランは拠点を置いていた。
 大河を挟んだ向かい側にある丘を越えると、その先に帝都に続く街道がある。比較的皇帝の招致に応じやすい場所に美しい古城は聳えていた。それもこれも、三公――皇族の特権に他ならない。
 本来、アデレイド家はルークの後ろ盾。この古城とて、ルークの基盤となるべき場所である。
 ――だが、アデレイド候は容易に城を明け渡した。 
 隣国、ファーレン軍を含んだ大軍で包囲させたうえ、諸侯の大半とブラーヴ候の名代とも言えるグレイシアを伴って城門に立たれたとあっては、流石のアデレイド家も全面降伏せざるを得なかったのだろうが。
 ロランは複雑な心境だった。
 祖父は、一度はロランを見限ったのだ。ルークに追い落とされる弱い皇子ゆえ、死んだものとして扱ってきたのだ。にも拘わらず、ロランが城に乗り込んで来たことにも、玉座を望んで蜂起したことにも、祖父は驚きもしなかった。――ただ薄く笑みを浮かべて、良く戻ったな、とロランに言った。
 ともあれ、ここを早急に陥落して欲しいとレグルスに頼まれれば聞かない訳にはいかない。何だかとても切羽詰まっているようだとマナが言っていたし。それで彼女が各地に散開している兵団を召喚し、今に至る。
 事前の報せもなく突然召喚された兵団は、ロランの姿を見るなり事態を察した。特に、レグルスの師団に所属していた将兵達の順応力は尋常ではなかった。聞けば予め、ロランが現われた時点で協力して欲しいと頼まれていたのだとか。彼らは元主であるレグルスを敬愛して止まない。兄の言うことであれば二つ返事で了承するくらいには。

「ロラン様――」

 呼ばれて、振り返ると見覚えのある男が立っていた。――アデレイド家の家宰だ。

「女史殿が、お話しがあると仰っています。如何なさいますか?」
「分かった。御通しして」
 
 部屋にやってきたマナは非常に眠そうで、何度も欠伸を噛殺していた。明け方の大仕事で疲れているのだろう。
 マナは召喚で魔力を使い切り、先ほどまで泥のように眠っていた。が、覚醒するなりロランへ目通り願った辺り、急ぎの用事があるに違いない。

「あたくしともあろうものが、寝落ちしてしまい申し訳ございませんでした」
「あれは無茶な振りをしてきたレグルス兄様が悪いよ」
 
 苦笑しつつ、ソファーに腰かけるよう勧めた。マナは小さな身体を沈ませ、ほっと息を吐いた。ロランは師である彼女にお茶を淹れて差し出した。

「また眠くなる前に、坊ちゃんにお伝えしておかねばならないことがありますの」
「何?」
「アデレイド候はルークに向けて喫緊の書簡を送りました。ロラン殿下はここにいる、と」
「……」

 ロランは背筋がひやりとした。
 祖父は無条件で降伏したのだと、ロランを受け入れたのだと思い込んでいた。
 しかし――。
 
「まさか、僕を売るつもりで……?」
「……いいえ。そうではございません。あたくしが頼んだのです」
「マナ女史が? どうして?」
「まあ、落ち着いて。とりあえず最後までお聞きなさい。――ロラン殿下はここにいる、アデレイド家はロラン殿下を支持する、お前は思っていた以上に使えないし、もう用済みだから退位せよ……――大体、そんなような内容でしたかしら」
 
 ロランは唖然とした。
 実際はもっと婉曲な言い回しなのだろうが、酷い内容である。
 ルークにとって末の皇子は、所詮はレグルスの腰巾着で、一人では何もできない程弱くて、全く眼中にない存在――亡霊だったはずだ。そんなロランがアデレイド家を取り込もうと――ルークにとって代わろうとしている。
 あの無駄に矜持の高いルークのこと、到底それを許せるはずがないのだ。
 
「何でそんなこと……相手はあのルークだよ。怒り狂ってここに攻めてくるんじゃないの? 全力で潰しに来るかもしれない」
「そうですね」

 それが何か、とでも言わんばかりにマナは頷いた。ロランは息を飲み、震えながら訊ねる。

「そうですねって……ここで迎え撃てなんて言わないよね?」
「あら、土壇場になって怖気づいたんですの?」
「違う、僕はルークの相手を怖がっているわけじゃないんだよ。……この東部一帯が焦土になってしまうのが、堪らなく恐ろしいんだ」

 この地域には、それなりに思い入れがある。
 幼い頃にはアデレイドの古城に頻繁に出入りしていた。ふと視線を向ければ懐かしいものがそこここに溢れている。荘園には汗水流して働く農民がいて、害獣を仕留める狩人がいる。顔も知らない者達だが、ロランの心に溶け込んだ風景の中には彼らの姿も必ずある。無意識下で、ロランの血肉の一部となっていたのだ。
 彼らを喪うのは、己の一部を喪うのと同義だった。だから、何としても守らなければならない――そういう気負いがある。
 レグルスは自分自身のことを守れ、それが全てを守ることになると言った。
 だが――。
 俯くロランを前にして、マナは茶を一口飲んだ。

「気負いすぎると潰れる、いつもそう申し上げているでしょう。お忘れですか、坊ちゃんはお一人で戦っているわけではございませんのよ。あたくし達、そこまで無能に見えまして? ウィストの二の舞にはさせませんわ」
「……ごめん」
「とりあえず、引き付けて欲しいとのことでしたので。明確にどこでとの指示がなかったのですが、ここが一番よいと勝手ながら判断させていただきましたの。カイムの見立てでは、城の物資や兵糧も十分にございますし、仮に籠城戦になったとしても凌げると。何より、ルークの戦力は相当落ちています。一人疑心暗鬼に陥って自分の信者を処断し、恐れを為して離反する者が後を絶たない。今彼の手元にあるのは、余程の馬鹿か……ウィストの召喚士に産ませた兵だけでしょう。まあ、統率も何もない雑魚ですわ。坊ちゃんが及び腰になる意味が分からないほどには、ね」
「……もしかして、それがレグルス兄様の指示? 引きつけるって、何でそんなこと?」
 
 ロランは目元を抑えて唸った。
 ここまで来たら、共に戦ってくれるものだと思っていた。
 堂々と帝都に乗り込み、レグルスに背中を任せてロランはルークに対峙する――それで決着がつくのだと。

「レグルス兄様に何かあったの?」
「……さて、あたくしにもさっぱり分かりません。ただ――不敗の将、だったのでしょう? 剣の腕前だけでなく、戦術にも長けていたとレグルス麾下から散々自慢されましてよ。悔しいことに、あたくしもレグルス殿が如何に有能な将であるか、これまで散々目の当たりにしてきて理解しておりますし、彼らの言葉を疑う謂れはどこにもない。そうそう無意味な指示は出さないはずですわ。その点では、信用してよいかと」
「うん……」

 全容が見えない中で動くのは不安でたまらないが、レグルスのことだ。敢えて言わぬこともあるのだろう。

「とりあえず、あたくしは魔力と体力温存の為に寝ます。坊ちゃんもお休みになられた方がよろしいかと。――恐らく、すぐにルークが兵を率いてやってくるでしょうから」

 マナの言う通り、翌日にはルークがありったけの兵を率いて帝都を発ったとの報せが入った。
 ただし、正規の軍属はほぼいない。そのほとんどが皇帝の私兵によって構成されていた。少数精鋭を揃えた、という話らしいが、恐らく、招集しても応じなかったのだろう。――何しろ、ロラン陣営にその大半が集まっているのだし。
 ただ、ルークにとってそれは些末な問題だ。彼の最大の戦力は私兵である召喚士。彼らが一人いれば、一個中隊に匹敵するとか言われていた。召喚で強力な魔獣や妖魔を使役すれば、寡兵だろうが関係ない。それは、召喚士を身近で見てきたロランが一番理解していた。
 しかもルークは竜の教団の聖女と繋がりがある。竜を喚べるのだと敵に圧を掛けることで、戦いの主導権を握ろうという腹積もりだろう。
 だが、実際には、聖女はロランと通じているし、竜を召喚することもないとロラン陣営――特に聖女襲撃事件の頃から臣従を誓う諸侯達は――は承知していた。
 しかも、こちらにも召喚士が揃っている。所詮、経験の浅いルークの私兵など、戦いに慣れたマナ女史やアルを前にすれば敵うはずもない。
 その上、ルークを糾弾する為の証拠を携えたファーレン軍がロランの背後に控えていた。彼らの魔術部隊は大陸随一と言われる。
 単純な戦力さで言えば、ロランが圧倒的に上。軍部を掌握するブラーヴ候の力もあって、ルークは思うように兵を招集出来ない。――いや、それ以前に、ルークはもう軍属を信用していないし、散々蔑ろにされた将兵の方もルークを嫌悪している。
 臆することは何もなかった。
 

 昼過ぎ、ロランは古城でルークを迎えた。
 対峙するまでは不安や恐怖、怒りや哀愁など様々な思いが入り乱れて情緒がおかしくなりそうだった。だが、こうして実際に会うと、ロランの心は、細波一つ立たぬ澄んだ泉のような静けさで満たされていた。

 天を見上げると蒼穹が広がっている。雲一つなく、日差しが眩しい。頬を切る風は冷たいが、どこからか土の匂いを運んできた。
 ――不思議と、負ける気がしない。

 久しぶりに見た実の兄は、相変わらず大層美しかったが、その顔には抑えきれぬほどの怒りが迸っている。
 彼にとって、この状況は予想外だったのだろう。
 まさかロランが大軍を率いて待ち構えているとは思っていなかったし、諸侯を従えているとも考えていなかったに違いない。
 それ故か、ルークはいきなり攻撃を仕掛けてくるようなことはなかった。その目は血走り、額には青筋が浮かんで、顔はどす黒い怒りで染まっていたが、辛うじて剣を抜くのを抑えている節があった。流石に多勢に無勢、行動を起こせば袋叩きにあうと察していよう。

 彼は、まず忌々しそうにロランを睨み、それから背後に控える諸侯、その後ろに整然と並ぶ数十万の大軍を射殺す勢いで睨んで、空気を震えさせるほどの覇気で以って、吠えた。

「貴様らの主君は、一体いつからその亡霊になった!」

 怒声を前にして、水をうったような静けさが漂った。散々冷遇された諸侯や軍属は恨みの籠った目でルークを見つめ返す。

「皇帝を前にして、首を垂れることすら忘れたか。この豚共めが。ここに集った者は吾に敵意ありと見做し、全員逆賊として討ってくれる。――それでも構わぬな」

 ここ数日になってロランに下った諸侯が怯んだ。
 狼狽えるように後退るのを見て、ルークがたたみ掛けた。

「貴様らを殲滅した後、その一族郎党を斬り捨ててくれる。並みならぬ覚悟あって弱小皇子に下ったのだろう。その餓鬼に服従し、吾を討てるかどうかも分からぬというのに!」

 威圧的な態度に動揺が広がる。
 確かに、と誰かが呟く。
 ロランはそれを制することもなく、ルークの叫びを無表情で聞いていた。

「そも、ロランは時の第一皇子リヒャルトを手にかけた重罪人だと忘れたか!」

 兵も諸侯も沈黙した。確たる証拠はないが、そういう話になっていた。
 ロランは、そこでようやく口を開いた。
 
「証拠もないのに、言いがかりは止めていただきたい」
「逃げた小僧が、今更何を言っても無駄なことだ。三年も経てばいくらでも証拠隠滅ができる」

 ロランは冷ややかにルークを見据え、口の端を上げた。

「なるほど。参考になりますよ。悪魔の所業を隠滅するのに、三年もあれば十分だったというわけか」
「何のことだ? 吾には身に覚えのないことだな」

 ルークは嘲るように返してから、ある旗に目を留めた。

「時に、何故永世中立のファーレンの軍隊が貴様の背後に控える。まさか、貴様を擁して我が国に介入する腹積もりか? 」
「……いいえ。彼らはただ、即位された隣国の皇帝に挨拶に伺ったまで。セラフィトに介入するなどとんでもないことですよ、兄様」
「はっ、挨拶だと。斯様な大軍を率いて? 故に、領地侵犯も許せとでも申すのか。この、宣戦布告同然の行為を見過ごせと!」
「先に手を出したのは兄様でしょう。ファーレンには抗議する権利がある。……それはお分かりのはずだ」

 ロランが合図すると、ファーレンの大将がゆっくりと進み出る。その手には魔石――ジュタの惨状を記録したそれ――があった。
 映像記録を展開させると、ルークは途端に表情を消した。

「どうですか。これを見て、まだ言い逃れをするおつもりですか。兄様。ジュタはあなたの隣領、当時あなたの直轄地からしか入れなかった――……そうでしょう?」
「……それで。諸侯とファーレン軍を率いて帰還し、吾に勝ったと――そう確信したとでも言うのか?」

 地を這うような低い声がロランに問う。嬲るような視線を軍に向け、陰惨な瞳でロランを貫いた。

「そうです。諸侯は僕に味方した。三公はあなたを見限り、僕を支持することを約束しました。兄様に残っているものは何もない。あなたの負けだ、ルーク兄様。――潔く玉座を明け渡してください」
「……アデレイドのみならず、二公も貴様に下っていたか」

 ルークは僅かに瞠目したが、次の瞬間には悪辣な笑みを浮かべた。

「それでも、貴様は帝位に辿り着けぬ。枢機卿が吾を絶対に支持する以上、教会が吾の支配下から脱することはない。ならば、所詮貴様は偽帝。天啓のない亡霊に過ぎぬ。吾を打倒するだけの力がなければ、ここが貴様の墓標となろう」
 
 ロランはルークの背後に視線を向け、枢機卿がいないのを確認してからゆったりと口を開いた。

「……では、皆の前で枢機卿に直接問いましょうか? どちらを支持し、どちらに恭順するのかと。できれば無駄な争いは避けたい。兄様だって、ここで血まみれになるのは嫌でしょう? 僕はどうせなら、玉座の前で兄様を引きずり降ろしたい」

 如何ですか、と問えば、ルークは喉を鳴らした。

「ふざけた提案だが、まあよかろう。貴様は絶対に吾に屈することになる。枢機卿が貴様を支持するなど万が一にもあり得ぬこと。その時は、貴様の首と、貴様に恭順した愚かな豚共の首を城門の前に晒してくれる」
 
 ロランはふわりと笑う。

「無論、兄様を打倒すると決めた時に、その覚悟はできていますよ」
「ふん、生意気な。では、貴様の豚どもを引き連れて帝都に来い。貴様のままごとに終止符を打ってくれるわ」
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