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第一話 変身ヒーロー好きだった俺、マッドサイエンティストにされる

ギアレンジャーレッド・ニュー参上

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「一寸! 何時になったら見つけられるのよ」

 病院前に陣取りったヴァレリーは、一向にレッドを発見できず、苛立ち部下の戦闘員に当たり散らしていた。

「いくらヒーローでチビでも瀕死の人間抱えて遠くに行けるわけないでしょう」

 逃走する様子を聞いた限りでは、すぐに追いつけるはずだ。
 町とはいえ、広くなく、弱い戦闘員でも散らばって探せばすぐに見つかるはずだった。

「なのにどうして見つけられないのよ」

 にもかかわらず数時間経つのに発見報告がなく、苛ついていた。

「もう! せっかくの玩具なのに死んじゃったらどうするのよ」

 致命傷を負わせたことをヴァレリーは、分かっていて愛撫していた。
 死ぬ寸前まで遊んで、恐怖と快楽を刻みつけて従順にするつりだったからだ。
 洗脳も出来るが、純粋に恐怖を刻みつける方が、従順になりやすい。
 そうして痛めて快楽付けにしたあと、アセンデッドのアジトに戻り治療カクプセルにいれて治して、洗脳し、自分から離れられない玩具、愛玩動物にするつもりだった。
 その前に逃げられたのが悔しいし、死なれてはもっとつまらない。

「本当はどっかに隠れているんじゃないの? この周辺にいるんじゃないの」

 改めて部下に探させたが、発見できなかった。

「だとするとこの病院が怪しいわね」

 一応、戦闘員に創作させたが見つかっていない。

「余程巧妙に消し去っている。隠し扉が構造に組み込まれているのかしら」

 ヴァレリーは、考え込む。

「よし、この病院を破壊して掘り返して探してみるわ。無かったら周辺に拡大して捜索よ」

 ヴァレリーは病院の方向を向いて握りこぶしをぶつけて拳で破壊しようとした。

「待ちなさい!」

 だが、そこに聞き覚えのある少女の声が背後から響き、ヴァレリーはニヤリと笑いながら振り返った。

「やって来たわねレッド」

 視線の先には小川優子が毅然と立っていた。

「大分痛めつけたのにもう治っているの? 早いわね。仲間に助けて貰ったの?」

 挑発しながらも、ヴァレリーは周囲を確認する。
 部下達の報告はなく、そもそも、彼女さえ見つけられなかった。
 何処かに隠れていた可能性は高いが、治療を受けられた可能性は低い。
 だが、致命傷を受けて立っていられるのが不思議だ。

「まあ、いいわ。どういうことかタップリと聞かせて貰うわ。さあ、変身してきなさい。可愛がってあげるわ。もっとも怖くて変身できないでしょうけど」

 恐怖が効いているか確かめるために挑発しながらヴァレリーは言う。
 しかし、優子は一瞬恐怖に震えながらも、拳を突き上げて大声で叫んだ。

「アーマーオン! アクティベート!」

 叫ぶと共に優子の体が光に包まれる。
 光の中で小川さんの服は粒子となって消え去り、周囲を駆け回ると、再び体に張り付くように集まる。
 粒子の一つ一つが実体化し赤いスーツを、プロテクターを作る。
「なっ」

 再び変身したことにヴァレリーは驚いたが、変身したフォームを見て驚いた。
 赤を基調にしたスーツだが、腕と胸の上や太ももの部分が黒メッシュになりアクセントになっている。
 プロテクターやアーマーもシャープになっている。
 そしてフルフェイスのマスクが、薄い赤色のバイザーとなり、大きく輝く瞳がハッキリと見えた。

「フォームアップ完了! ギアレンジャーレッド・ニュー! 参上!」

「新フォームですって! 聞いてないわよ!」

 予想外のフォームにヴァレリーは驚く。

「でも、そんなのよく着れるわね」

 シャープになったプロテクターのため体のラインが分かりやすくなっている。
 さらにメッシュの部分はカットがエグいためハイレグになっている。
 かと思えば上は胸から上の部分のため谷間が見えそうだが、成長期のため形成されていないことが分かる残念さ。
 恥ずかしくて着ることが出来そうにない。

「正義の前に羞恥などありません!」

 だがレッドは大声で啖呵を切りファイティングポーズをとる。

「へえ、そうなの。なら、どれほどのものかこのヴァレリー様が見てあげるわ」
  
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