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レッドとブラックそしてエヴァ

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「むっ」

 肉棒をイザナミに入れようとした瞬間、自分に迫っている存在に気が付いたエヴァは、イザナミを残してその場を離れる。
 次の瞬間、紅い閃光がエヴァの居た空間を猛烈な勢いで過ぎ去った。

「そこまでよ! ネオ・パラダイム!」

 紅い閃光はエヴァとイザナミの間に立つと、その姿を見せた。
 スリーブレスの黒いハイレグインナーに身を包み、紅いエーテルの発光体を嵌め込み縁をメタリックレッドで彩った白いアーマーパーツを各所に身に纏っている。
 胸は大きくアーマーから零れるほどで、腰つきは肉付きが良く丸みを帯びていてカットのきついハイレグから溢れるほどムチムチだ。
 脚も少し丸みを帯びて太いが腕は細くしなやかだ。 
 艶やかで長い赤髪をポニーテールで括っり、紅いバイザーの下にある大きな瞳は鋭く細めてエヴァを睨み付ける。

「ジャスティスレッドが来たからには、もう勝手な事はさせないわ」

 ジャスティスセイバー一のエーテルギアの使い手、ジャスティスレッドだった。

「もう、ママ。仕舞いのスキンシップを邪魔しないでくれる」

「ママじゃない! 私はジャスティスレッドよ」

 ブラック――イザナミの前に立ったレッドは隣のビルに降り立ったエヴァに向かって叫ぶ。

「大人しく捕まりなさいエヴァ」

「いやよ。遊び足りないし、身体も物足りないもの」

 肉棒を掲げてエヴァはレッドに文句を言う。

「この昂ぶりをどうすれば良いのよ。そうだ! ママ、ママがエヴァを鎮めてくれる?」

「馬鹿なこと言わないで! そんな事する訳無いでしょう!」

「うん、そうして貰おう。エヴァの昂ぶりはママに鎮めて貰おう」

 レッドの話を聞かずエヴァは浮遊砲台の矛先をレッドに向けビームを放った。

「くっ」

 レッドは直ぐさま駆け出し、ビームを回避する。それどころか、ビルの合間を飛び抜け、エヴァに迫る。
 時に股が割けるほど脚を大きく開き、時に細い指やつま先をビルの壁面に突き立て、方向転換しエヴァに近づいていく。

「やっぱりママエヴァのことが好きなんだ。エヴァに向かって走って来てくれるの!」

「ええ、捕まえて閉じ込めるためにね!」

「もうママもツンデレなんだから」

 会話をしながらもエヴァは浮遊砲台を再配置して再びレッドに向けビームを放つ。

「はっ」

 向かって来たビームをくびれた腰を捻り、胸を張って背を仰け反らし、腕と足を曲げ、ポニーテールを閃かせレッドは華麗に避けた。

「ふふ、チェックメイト」

 だがビームを放ったのは八つある浮遊砲台の内の四つだけ。残り半分は打たずに待機していた。そして、レッドが避けた時、無防備になった瞬間を狙って放った。
 四本のビームが一直線にレッドを目指す。

「せいっ」

 だが、ビームが到達する寸前、レッドは裂帛の気合いを込めた掛け声をエーテルと共に出した。
 レッドの身体から出たエーテルは全周囲に衝撃波となって飛び出し、浮遊砲台から放たれた四本のビームを全てはじき返した。

「すっごーい」

 自分の放った一撃を防がれたにも関わらず、エヴァは心から喜びの声を上げる。

「そんなワザを出すなんてさすがママ!」

「ママじゃない!」

 エヴァと同じビルの屋上に降り立ったレッドは叫ぶと同時にエヴァに向かって弾丸のように駆け出し拳を放つ。
 しかしエヴァも大きな胸を揺らしてレッドの攻撃を躱す。
 相互に立ち位置を変えて二人は対峙した。

「ママ、エヴァと遊んでくれるの? エヴァ嬉しい……」

 それでも喜んでいたエヴァだったが途中から静かな声に変わった。

「……むーっ、終わりか。まだ遊び足りないし、身体も昂ぶっているのに」

 自分の胸と肉棒を手で摩りながら不満そうにエヴァは言う。

「何を言っているの。直ぐに捕まりなさい」

 レッドは苛立たしげにエヴァに向かって言うが、当のエヴァはそんな事を気にせずに配下に言った。

「皆あああっっ! お遊びはお仕舞い! お家に帰るよ! 狼男やスライムをばらまいて撤退するよっ!」

「ま、待ちなさい!」

 レッドが止めようとしたときには遅かった。
 エヴァの配下である女戦闘員達は指示に従いトラックに乗っけていた狼男やスライムを町に解き放った。放たれた狼男やスライムは逃げ遅れた市民へ次々と襲いかかる。

「じゃあねママ。エヴァはお家に帰るね。遊び道具は置いていくから楽しんでね」

「待ちなさい!」

 レッドの制止を聞かず、エヴァは配下と共に夜の闇へ逃げ去っていった。
 エヴァを追いかけたかったが、襲われている人々をレッドは見捨てては置けなかった。
 女戦闘員ほどではないとはいえ機動隊の装備では、エーテルで強化された狼男やスライムを相手にするのは困難だ。
 しかも他の場所での妨害工作のため機動隊が来るのは、まだ先だ。その間に一般市民が襲われてしまう。

「くっ」

 エヴァ率いるネオ・パラダイム追跡を諦めてレッドは残されたスライムと狼男の掃討に向かった。

「うっ」

 暫くしてビームの影響を脱したブラックが起き上がった。
 身体はまだ疼いているが全身に力が入り始め立ち上がることが出来た。

「ようやく起きたわね」

 声のした方へブラックが顔を上げると、そこには狼男とスライムを倒し終えたレッドが立っていた。
 眉を険しい角度に曲げ、口を真一文字に閉ざし、胸の前で組んだ両腕は胸甲に覆われた巨大な乳房を押し上げ、くびれた腰から伸びる両脚を少し広げ、つま先を少し外に向けている。
 そんな威圧的な姿勢でブラックと対峙するレッドはバイザー越しにブラックを睨んでいた。

「お、お母さん」

 レッドの姿に怯えたブラックは無意識に口に出してしまった。
 気が付いた時にはもう遅かった。レッドは更に眉を険しくして大声で怒鳴る。

「私は貴方のお母さんじゃない! ジャスティスレッドよ! 貴方の上官であるジャスティスレッドよ」

「す、済みません! レッド」

「まったくもう、そんなんだからネオパラダイムを取り逃がすのよ。しかも危うく捕まりかけて」

「申し訳ありません」

 レッドの言葉に返す言葉も無くブラックは姿勢を正して頭を下げるしか無かった。

「ここはもう機動隊に任せて私たちは施設に帰るわよ」

 ブラックが気絶している間にレッドは足止めに放たれた狼男やスライムを全て処理した。直後に機動隊も到着し現場に展開して市民の誘導や被害の確認に入っている。
 最早二人が現場にいる必要はなかった。

「付いてきなさい」

「……はい」

 レッドの言葉に従ってブラックは疼く身体に鞭を打ち立ち上がる。
 そしてビルの間を跳躍して施設に向かうレッドの後を追った。
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