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閑話 2

その日私に電流が走る 2

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「ど、どれが一番良かったと思いますか??」
 
 全てのおっぱいを触り終えたまどかさんの答えを私はドキドキしながら待っていた。


「……3858個目のやつかな」
 
「っ!! わ、私と同じです!! 凄いですまどかさん!! 天才ですっ!!」
 
「えっ!? あぁ、いや……そうなんだ」
 
「それにしてもまさかここまでまどかさんが凄い人だったなんてっ……そうだっ!! 今度は一緒に作ってくれませんか??」 
 
「い、一緒に作る?? これを??」
 
「はい!! まどかさんが忙しいのは重々承知ですが、またタイミングを見計らって誘いますね!! 
 週に一回くらいならみなさんも許してくれるでしょうし!!」
 
 私を含めても今は5人だけなのだ、きっと大丈夫だろう。
 
 
「……待って!! ちょっと待って結衣ちゃん!! 今日何時間これやってたか知ってる??」
 
「えっ?? 大体2時間くらいですかね??」
 
「そんな訳ないじゃん!! 見てっ!! 外真っ暗!! 軽く12時間は超えてるから!!」
 
「あれ?? もうそんなに経ちましたか??
 あっ、でも安心してください、今日はたまたま数が多かっただけですし私の話も長かったですからね。 次からは5時間以内に纏めますから!!」
 
「ごっ……」
 
 まどかさんは興奮しているのか、血走った目を大きく見開いていた。
 
「ゆ、結衣ちゃんさ……一旦思い出してみない??」
 
「何をですか??」
 
「何で胸を大きくしたいのかって事」
 
 おっぱいを大きくしたい理由?? まどかさんったら一体何を言いたいのでしょう??
 私が巨乳になりたい理由は昔からずっと変わってないのに。
 
「まどかさんも知っていると思いますが生存率を上げる為です。 小学生の時の様な出来事を繰り返したく無いですから」
 
 そう……あんな思いはもう二度としたくない。 
 もしあの時、私のおっぱいが大きければ骨折する事なんてなかっ。
 
 
「でもさ、今の結衣ちゃんなら転んだ位じゃ骨折しないんじゃないか??」
 
「っ!?」
 
 まどかさんのその言葉に私の心臓が大きく動くのを感じた。
 
 い、言われてみればその通りかも……異世界に来た事によって私の身体能力は自分でも信じられない程に上昇してるんだから。
 
「で、でも通り魔にナイフで刺される可能性だってっ」
 
「いや、多分だけど日本で結衣ちゃんをに致命傷を負わせる様な奴なんてもういないんじゃないか?? ナイフどころかトラックに轢かれても無事に生きてそうだもん」
 
「っ!!?」
 
 た、確かに……何なら戦車に突撃されても大丈夫な気がしてきました。
 
 ……あれ?? だとしたら、私がおっぱいを大きくする意味って。
 
「も、もしかして私……解放されたんですか??」
 
「そ、そうだよっ!! 結衣ちゃんはもう胸にこだわる必要なんてなくなったんだ!!
 そんな物がなくなって今で十分完成されてるんだもん!! だからさっ、これ以上意味のない事は今日で辞めにしよう!!」
 
 まどかさんは私の肩に手を置いてそう叫ぶ。
 
 まるで自分の事かの様に喜ぶその姿に私の鼓動はどんどん早くなっていった。
 
 
 ……そうですか、私、いつの間にかおっぱいから解放されていたんですね。 
 これでもうお母さんやお父さんに悲しい顔をさせなくて済むんですね。
 
「……結衣ちゃん」
 
 気が付けば私の頬からは涙が溢れていた。 
 
 
 ずっと辛かった、いつ死ぬかわからない恐怖と私は今まで戦っていたのだ。
 
 
「ありがとうございます、まどかさん。 私を助けてくれてっ」
 
「えっ……あぁ、うん。 別に俺は何もしてないけど」
 
「そんな事ありません、まどかさんの言葉に私は救われました」
 
「そ、そうか。 まぁでも結衣ちゃんが救われたって言うなら良かったよ、じゃあさ、次回からはこんな事しないでさ。 普通に遊んだりっ」
 
「いえ、おっぱい制作は続けます!!」
 
「……えっ?? いや、もう必要ないって話だったよね??」
 
「は、はい。 で、でもまどかさんは大きい子の方が好きですよね??」
 
「……それはっ」
 
「だったら一緒に最高最強のおっぱいを作り上げましょうよ!! 
 そして完成した暁には……わ、わた私にそれをつけてっ……ってこれ以上は今は言えません!! 今日はありがとうございました!! お、おやすみなさい!!」
 
「えっ、いやちょっと!! 結衣ちゃん!! 別に俺は大きくなくてもっ!!」
 
 自分で言っておきながら、急に恥ずかしさを感じてしまった私はまどかさんを部屋の外へと押し返した。

 
 あ、あんなに喜んでくれるなんて反則ですよ、思わずドキッとしちゃったんですから。


 私にはもう本当に大きなおっぱいなんて必要ないかも知れない。 
 ……でもいつか私がまどかさんを助ける日がくる可能性はあるんだ。
  
 
 まどかさんに攻撃が届かない様にする為にも、もう少し頑張らないとっ!!
 
 これからは私自身がまどかさんの防弾チョッキになる事に決めた。 
 それが私をおっぱいの呪縛から救ってくれた恩返しになのだから。
 
 
 

 
 翌日から私はみんなに混じってまどかさんの腕を引っ張っていた。
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