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勇者に出会ってしまった。
21-1話 メスガキVS童貞脳内会議
しおりを挟むな、なぁこの状況ってどう思う??
も、もしかして、この子俺に気があるのかな??
いや、もしかしなくても気があるよな??
だってさ普通に考えたら見ず知らずの男に膝枕をするか??
しないだろ!!
って事はこれは大チャンスなんじゃないか??
こんな可愛い子にアプローチされるなんて滅多に無いんだし、ここは是非ともお近づきになった方が良いと思わないか??
……いや、待て待て。
今はそんな事してる場合じゃないんじゃないか??
青蜜達の事だって心配だし、何より世界の危機なんだ。
俺に出来る事なんて何も無いとは言え、出会ったばかりの少女に現を抜かしてる場合じゃ無いだろ??
ばかバカ馬鹿!! こういう出会いってのは大切にすべきじゃないのか??
確かに青蜜達の事は気になるよ??
でもさ、ちょっとくらいなら良いんじゃないか??
地球や異世界の危機とかさ、なんだかんだ言っても今まで頑張って来たじゃん??
……たまにはさ、何のしがらみも無い女の子と仲良くしたって罰は当たらないだろ??
よせ!! その油断が今までどれだけの不幸を招いてきたと思ってるんだ??
よく考えてみろ、相手は話し方こそ大人びてるが多分まだ中学生だぞ??
明らかに地雷じゃないか!! 万が一、この現場を知り合いにでも見られたらどうするんだ!!
ロリコン認定間違い無しだぞ!!
おいおい、俺だってまだ高校生だし側から見られた所で年齢はそこまで違和感なんてないだろ??
今までだってリアって言う合法ロリが近くに居たし、ルカだって出会った時は子供だったじゃないか!!
歳なんて今更気にする問題じゃないだろ??
それによ、別にやましい事をするわけじゃ無いんだぜ??
ただ世間話をするだけじゃないか。
公園で偶然知り合った可愛い女の子と少しだけ会話をする。
そんな些細な幸せくらい感じたって良いんじゃないか??
……まぁそれはそうだな。
よ、よしっ!! どうやら俺の脳内会議の決議は出たみたいだな!!
そうさ、少しくらいの幸せを感じようじゃないか!!
この夏休みにした事なんておっさんとのデートくらいだぞ??
貯めてたお金だって無くなってたし!!
つまりこの出会いは神様からのお情けって事だろ!!
有り難く受け取ろうじゃないか!!
脳内でしっかりと考えをまとめた後、俺は目の前の少女にテンションが上がっている事を悟られない様に出来るだけ落ち着いて答えを返した。
「わ、わかった。 お、俺も暇だしな!! じゃあ少しだけ隣に座らっ」
「なんてねっ!! 嘘よ嘘!!」
「……えっ??」
「あははっ!! 何よその顔!! もしかして本気にしてたの?? 私が貴方みたいな雑魚を相手にするわけ無いじゃない!! やぁーい、ざーこ、ざぁーこ!!」
俺の反応を見て満足したのか、目の前の少女はお腹を抱えて大声で笑い始めた。
……こ、この腐れメスガキがぁ!!
前言撤回だわ、何だこいつ!! 天使どころか悪魔じゃねぇーか!!
くそっ、こんな子供にまで馬鹿にされるなって……く、悔しいっ!!
「う、嘘な事ぐらい知ってたわ!! わざと乗ってやったんだよ!! 話は終わりか?? じゃあ俺はこれで帰るからな!!」
自分でも情けないと思うくらいの捨て台詞を吐いて俺は直ぐに少女に背を向けた。
うん、帰ろう。 もう帰って大人しくしてよう!! そうだ、一日中勉強でもしよう。
学力と精神強度を高められた事!!
俺の高一の夏休みはそれで良いじゃないか………さ、寂しい。
「えー、もう帰るの?? ねぇ……私の隣に座るってのは嘘だけどさ、貴方の話を聞きたいって言ったのは本気って言ったらどうする??」
……くそっ、もう絶対騙されないからな。 童貞舐めんな、一度裏切られたら中々信じないんだかんな!!
「そんな嘘にまた騙される程、俺は馬鹿じゃないんっ」
俺が呆れながら振り返えると少女は既にベンチから立ち上がっており、目の前まで近付いていた。
「ふふっ、今から帰るのよね?? お兄さんの家には誰も居ないの?? もしそうなら……私も一緒について行っても良いかな??」
小悪魔の様な笑みを浮かべながらその少女は甘い声でそう囁いた。
………おい、みんなもう一回考えようぜ。
この状況どう思います??
高まる心拍数を抑える為に俺はもう一度、脳内の自分へと話しかけた。
ダメだ!! やめとけ、俺!! こんなの間違いなく罠だぞ!!
あのクソ生意気な顔を見ろ!! 八重歯を輝かせてるあの顔を!!
また馬鹿にされるのがオチだぞ!!
うん、俺もそう思うね。 ここは強気で対処すべきだ。 どうせ付いてくる気なんてないよ。
むしろ大人の余裕ってやつを見せつけるべきだね。
……なるほど。 よし、確かにその通りだな。
ここは強気で、尚且つ余裕ってのを見せつけてやろうじゃないか。
「はぁ?? どうして俺が君の様な子供を家に連れていかなきゃ行けないんだよ。 何のメリットもないじゃないか」
「あれぇ?? てっきり鼻息荒くして食い付いてくると思ったのに意外に冷静なのね。 つまんないのぉー」
やっぱり茶化す気満々だったか。 如何やら俺の見る目も捨てたもんじゃっ。
「ねぇ、メリットって言ったわよね?? ……私を連れて行ってくれるなら良い事してあげれるかもよ??」
そう言って少女は服の胸元を少し下に引っ張る。
「い、良い事って……もしかしてっ」
って、ば、馬鹿野郎!!
俺は今何を言おうとしたんだ!! 相手のペースに呑まれるな!! さっき決めただろ!!
この場面は大人の男を演じるんだ!!
「は、はんっ!! 俺に付いてくる度胸もない癖に偉そうな事言いやがって!! さっさと自分の家に帰るんだな」
「ふーん……じゃあ勝手に付いて行っても良いのね??」
「本当にその気があるならな。 じゃあ今度こそ俺は帰るからな、また何処かで会えたらその時は宜しくな」
子供の頃に映画で見た様なハードボイルドな男を気取り俺は公園を後にした。
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