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勇者に出会ってしまった。

12-1話 で、わしが呼ばれたってわけ。

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「はっ!! いかんいかん、どうやら知らない間に気を失っておったみたいじゃな。 
 うぅ、それにしてもまだヒリヒリするのぅ、全くあの小娘どもは手加減と言うのも……って何やっとるんじゃお主ら??」
 
「……別に何もないけど」
 
 リアが目を覚ましたのは、俺が青蜜と結衣ちゃんのお尻を叩いてから数十分が経過した後だった。
 
「いや、絶対何かあったじゃろ!! 何故4人揃って正座しておるのじゃ?? おかしいじゃろ!!」
 
 そう言うとリアは俺が掛けた上着を腰に巻き付けて、不安そうな表情を浮かべる。
 
 あのお尻叩きの後、青蜜も結衣ちゃんも正気に戻ったのか俺にあんなお願いをした事を深く後悔しているみたいだった。 
 
 まぁそりゃそうだろう、同級生の男子にお尻を叩かれるなんて女子からしたら相当きつい事だもんな……特に後半からはなんとも言えない変な感じになったのは、完全に黒歴史の一部だろうし。 
 
 まぁ俺もかなりきつかったけどな……なにかに目覚めそうになったし。
 
 で、でも正直に言えば2人に殴り殺される事が無かったのは良かったかな。 この数十分は生きた心地がしなかったけど。 

 まさか俺がこの部屋に入ってきた時より空気が重くなるとはな……ルカまで落ち込んでんのは全く心当たりないけど。
 
「な、何もないて言ってるでしょ!!」
 
「いやいや、顔が真っ赤じゃぞ青っ子よ。 さ、さっきまでの怒りはどこにいったのじゃ??」
 
「っ!! うるさい!! もう終わった事だから良いのよ!! だけど……ごめんなさいリア、少しやりすぎたわ」
 
「なっ!!」
 
「私からも謝りますリアさん!! ごめんなさい!!」
 
「えぇっ……」
 
 青蜜と結衣ちゃんの謝罪にますます混乱したのか、リアは助けを求める様に視線を俺に向ける。
 
 そ、そんな目で見られても。 流石に説明できる内容じゃないからな……うん、俺も早く忘れたいし、なんとか話題を変えよう。
 
「ま、まぁさ、一先ずはこれで良いんじゃないか?? 2人も謝ってるし、別にこれ以上追求する事もないだろ?? 
 って事でこの話はもう終わり!! そうそう、俺はリアにあの恐竜の事を聞きに来たんだったよな、そろそろ教えて貰えないか??」
 
「ふ、ふむ。 まぁ我としては許してもらえるなら何でも良いのじゃが……うむ、確かにまどかに言う通りじゃな、時間が無くなる前に説明せねばならぬしな」
 
 よし!! 多少強引だったけど上手くいったみたいだな!! こう言うのだけは、俺が異世界で唯一成長したスキルかもな……まぁ全然嬉しくないけど。
 
「で、一体あれは何なんだ?? 青蜜は映像って言ってたけど、本当なのか??」
 
「確かにあれは映像に近いものなのじゃが少し違うのぅ。 どちらかと言うとあれは記憶じゃな」
 
「記憶?? どう言う意味かしら?? あれが誰かの記憶って事??」
  
「その通りじゃ青っ子よ。 じゃがこれまた少しだけ違うのぅ、あれは誰かではなく、この星の記憶なのじゃよ」
 
「この星の記憶……ですか?? すいませんリアさん、全然意味がわからないのですが??」
 
「まぁお主ら2人には理解しずらいかも知れんな。 じゃが、まどかよお主ならわかるのではないか?? 似た様な経験を何度もしていそうじゃしな」 
 
「俺が??」
 
 んー……困った、全然わからん。 
 この星の記憶って言われてもそれがどう言う意味なのかなんてさっぱりだし、俺が何度も経験してるかもって言われてもな。 
 ここ最近経験した事なんて、死ぬ思いを何度かしたくらいでっ………いや、嘘だろ?? そんな事有り得るのか??
 
「も、もしかして……走馬灯か??」
 
 過去の記憶を振り返る出来事。 俺にはそれ以外に思いつかなかった。
 
「正解じゃ!! 流石何度も死にかけているだけの事はあるのぅ。 
 まどかの言う通り、あれは走馬灯なのじゃよ。 この星……地球のな」
 
 俺の答えにリアは満足そうに首を縦に振っていた。
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