70 / 156
天才少女に出会ってしまった。
28話 心臓を燃やせ
しおりを挟むリアの固まった表情に俺は自分の体温が一気に上がっていくのを感じる。
あ、あの時の魔女裁判の倍は恥ずかしい。 顔が熱いし、今にも心臓が溶けてなくなりそうな気さえする。
だけど一度この言葉を口にした以上、ここはもう勢いで押し切るしかないだろ!!
「こ、子供だよ! 悪いかよ!! ハーレムと言えばつまりは子沢山だろうが!! 滅ぶ事がほぼ決まってたら自分の子供を作ろうなんて思えないだろ?
ここからは本当に気持ち悪い俺の勝手な妄想だけど、青蜜や結衣ちゃんルカの子供達なんて絶対にみんな可愛い筈なんだよ!!
その子供達の未来を作ってやれないなんて俺にとっては世界の滅亡なんかよりよっぽど大きな損失なんだ! 俺はその子供達の為にこの世界を救う!!
確かに未来の事はその時生きてる人達に任せるべきかも知れない。
だけど俺は自分の世代で出来る事があるならそれを未来に丸投げにしたくないだ!!」
……ちょっと格好つけて言ったけど、要は子供を作りたいってだけなんだよな。
まぁ凄い早口でそれっぽく言えたから流石のリアにもバレてなっ。
「なるほどのぅ。 つまりまどかは子供が欲しいのじゃな? いや、待てよ?
お主が子供好きなどと言う話は聞いた事が無いぞ? つまり本心はちょっと違うのか??
……ふむ。 どちらかと言うと目的は子供では無く子作りの方か?」
………ねぇ、俺の深層心理を勝手に掘り起こすのやめてくれない??
そ、その通りかもって納得してしまったじゃねぇーか。
黙る俺にリアが納得した様に呟く。
「つまりまどかはハーレムを築いた上で、何の心配事なく、心置きなく女子達とHをしたいと言う訳じゃな??」
おい、ストレートに言葉を投げんな。 そう言う所はフワッとさせてんだよ。
心置きなくHしたいからなんて理由で世界を救うなんて酷すぎるだろ。
……まぁ大きく見れば間違ってはないけど。
「くくくっ、あっはははは」
堰き止められていたダムが決壊するかのごとく、リアは今までで一番の大きな笑い声をスマホから響かせた。
「あ、アホじゃ! 本物の阿呆がここにおる! くくっ、まさかここまでの奴じゃったとはな。 面白過ぎるぞ、まどかよ」
「そ、そんなに笑わなくても良いだろ」
「いやはや、これは傑作じゃぞ? 我が今まで生きてきた中でもトップスリーには入る程にな。
何が面白いってこの馬鹿みたいな台詞をお主が言ってる所じゃな。 そもそもお主はまだ性行為の経験が無いのではなかったのか??
それなのに、くくっ、まさか妄想の中では既に子供を孕ませる事を前提に考えているとはな。 童貞とやらの思考力には恐れ入ったぞ」
……もうやめてくれ、今更だけどマジで恥ずかしくて死にたくなってきった。
「しかも格好つけて子供達の未来を作ってやりたいなどと言いおって。 あー、駄目じゃ、面白すぎる。 お腹が痛いわい」
「も、もう十分だろ!! 俺の本音は言ったぞ! で、結局どうなんだ? 協力してくれるのか??」
放っておいたら一生笑ってそうなリアに俺は少し語気を強めて尋ねた。
「くくくっ。 あー、そうじゃったな。
ふむ、気兼ねなくHがしたいなんて願いは紛れもなくまどか自身の願いじゃものな。
ふー、仕方ないのぅ。 協力してやるとするかのぅ」
いや、気兼ねなくHしたいなんて一言も言ってないからね? 誤解を招くような言葉は使わないでくれ。
「それで我は具体的に何を手伝えば良いのじゃ? ルカの子に我から別れを告げてやれば良いのか??」
「出来ればそうして欲しい所だけど、それは俺の役目だよ。
リアにはルカに研究を再開させるのを手伝って欲しいんだ。 リアならルカの研究について詳しい話が出来るだろ?
上手く話を持っていって、ルカにもう一度火をつけてくれないか?」
「ふむ。 まぁ我も研究や実験は好きじゃから、ルカとやらが我と似たタイプであるならもう一度その意識を研究に向ける事はそう難しい事ではないかも知れんな。
じゃがまどかよ、本当に大丈夫なのか? お主に女を振るなんて事が出来るとは我には到底思えないのじゃが?」
「……覚悟は決まってるさ」
「そうか……ではルカの家へと向かおうぞ。 先に歩いて行った青っ子や貧乳っ子と逸れる訳にはいかぬからのぅ」
「あぁ、そうだな」
リアと話を一旦やめ、俺は先を歩く青蜜と結衣ちゃんの背中を追った。
「……全くお主は本当に優しいのじゃな」
スマホから漏れたリアの声は、俺にはなんて言ったのかはわからなかったけど、その声色はさっきより少しだけ嬉しそうに聞こえた気がした。
◆リアの考察◆
全く人間とはどうしてあんなにわかりやすく本心を隠すのじゃろうな。
いくら画面越しとは言え、まどかの本心がもっと別の所にあるのは簡単にわかったぞ。
彼奴はどうやら本当の阿呆みたいじゃな。 あんなに言ってやったのに、結局自分の事より他人の将来を気にしておるのじゃからな。
青っ子や貧乳っ子そしてルカの子の未来をな。
まぁ当の本人は無意識かも知れんがな。
くくっ、あんな阿保な転生者も居るのじゃな。
さて、あの馬鹿はどんな結末を我に見せてくれるのじゃろな。
……出来れば彼奴が少しでも報われる結末になれば良いのぅ。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる