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天才少女に出会ってしまった。

5話 リオ・モドリッチ

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「その声……もしかしてそこにまどかも居るのか?」
 
 拾い上げたスマホからリアの声が響く。
 
 しまった、折角青蜜に連絡してもらったのに声を出してしまった。
 
「おい、まどか! そこに居るなら返事をせい!」
 
 ……出来れば話したくないなぁ。 かと言って青蜜も今は放心状態だし……まぁ覚悟を決めるか、今日は悪い事して無いし。 いや、前回も別にしてないんだけど。
 
「お、おう。 その、久しぶりだな」
 
「き、急に話をするでない! びっくりするじゃろ!」
 
 画面に映るリアは頬を赤く染めていた。
 
「どうした? 体調悪いのか?」
 
「なんでもないわ! ちょっとこの部屋が暑いだけじゃ!」
 
 何で怒ってんだよ、魔女の気持ちは分からん。
 
「リア、とりあえず俺達はこれからどうしたら良いと思う??」
 
「はぁ? そんな事我に分かるわけないではないか! あのポンコツの考えなど全盛期の我にも分からんじゃろうしな」
 
 うん、まぁそうだよね。 凄い説得力あるわ。
 
「じゃが、お主らも何かの目的があって過去に来たのじゃろう? だとしたらまずはそれを達成すれば良いのではないか?」
 
 あの事で俺に対して怒ってるの筈なのに話を聞いてくれる辺り本当優しいよなリア。
 
「それはそうなんだろうけどさ……そもそも此処が何処かもわからないんだ」
 
 リアの言葉に俺は周りをもう一度見回す。 
 低くなった目線も相まって俺達を囲う木々が一層高く見える。 
 
「多分何処かの森だとは思うんだけど」
 
「ふむ、森か……まどかよ、スマホをカメラモードにして貰えるか? 我ならそこが何処か分かるかもしれないからのぅ」
 
 カメラモードとか言われてもなぁー、俺普通のリンゴ製のスマホしか使った事ないから……あっ使い方一緒なんだ。 流石リアさん、細かい所まで配慮してるわ。
 
 俺はそのまま手に持っていたスマホをカメラモードにして辺り一面をゆっくりと撮影した。
 
 ただの木にしか見えないけどこんなんでこの場所がわかるものなのか? いくらリアでも不可能だと思うんだが。
 
「なるほど。 ……つ、次はまどかも一緒に写ってもらえるか? あ、青っ子と一緒でも良いから」
 
 それで何かわかるのか? いや、現状を打破できるのはリアしかいないんだ。 此処はこの魔女を信じよう。
 
「こ、これで良いか?」
 
 俺はカメラモードをインカメラに変え自分と青蜜をその画面に映した。
 
「これが幼き日のまどかかぁ。 まぁ悪くはないのぅ」
 
「ん? 何か言ったか??」
 
「あっ、いや何でも無いぞ! 本当に過去に来た事を確認したかっただけじゃ、他意はないぞ!!」
 
 手を大袈裟に振ってリアは言い訳する様に答えた。 
 
「それで、何かわかったのか?」
 
「あぁ、勿論じゃ。 そこはルカの森じゃな。 その木はルカと言う特殊な木じゃから間違えないじゃろう」
 
 ルカ? 確か俺達が会いに来たのもルカって名前の少女だったな。 この森と繋がりが有れば良いんだけど。
 
「大体分かってきたぞ、お主らルカの一族に会いにきたのじゃな? お主らの身体を見るにそこは160年前くらいか? だとすればルカ・リエか、それともルカ・リッチ……いや違うな、ルカ・ルーレットか??」
 
 マジかよ、優秀すぎるだろこの魔女。 木を見ただけで俺達の現状を当てやがった。 
 
「す、凄いな。 その通りだよ、俺達はルカ・ルーレットって名前の少女に会いに来たんだ。 リアが味方で良かったよ、本当」
 
「よ、よせ。 我にかかればこれくらい容易い事じゃ」

 リアってあんまり褒められるの慣れてないんだろうな、照れてるのが丸わかりだ。
 
「ま、まぁルカの森に居るなら少し歩けばルカ家の屋敷に辿り着くじゃろう。 そう大きな森でもないし、どの方角に進もうがこの森自体壁に囲まれておるからのぅ、その壁を伝って歩けば問題は無いじゃろう」
 
「なるほど、つまりこの森は既にルカ家の敷地内って事か?」
 
 なんだかんだ言って結構順調なんだな。 この分なら会うだけなら直ぐにでも叶いそうだ。
 
「そうなるのぅ、一つ不安があるとすればルカの森は少し凶暴な魔物が多くてな? まどかと青っ子には少し荷が重いかも知れんな。 ま、まぁじゃがあの貧乳っ子も声は聞こえぬが近くに居るのじゃろう? 彼奴ならルカの森の魔物にやられる事はないじゃろうから、なるべく離れない様にする事じゃな」
 
 ……あれ? そう言えば結衣ちゃんは??
 
 俺は血眼になって周辺を見回す。
  
 やばい、結衣ちゃん居ないわ。 
 
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