45 / 156
天才少女に出会ってしまった。
4話 目が覚めたら身体が縮んでしまっていた
しおりを挟む「うえっ、気持ち悪い」
昔、親父に仕事場を見せてもらった時の事を思い出すな。 あの時は船だったけど、エンジンの音はうるさいし、暑いしそのうえ揺れも凄くて完全に船酔いしたもんな。 こんな所で働く親父は素直に格好良いと思ったもんだ。
まぁ今はその気持ちも大分薄れたけど……それでも久々に会いたいな。
この世界に来てから連絡も取れてないから心配しているかも知れないし。
「ちょっと大丈夫? 気分悪いの? どこかに水とかあれば良いけど……ってまどかちゃん、そ、その姿一体どうなってるの??」
近くから青蜜の震える声が聞こえた。
どうやら青蜜は近くにいるみたいだな、一先ずは離れ離れにならなくて良かったかな。
それにしても青蜜の奴、何をそんなに驚いているんだ?
俺の姿がどうとか言ってたけど。
未だに若干残る気分の悪さを感じながらも俺は青蜜の声が聞こえた方へ目を向けた。
「俺の姿がどうしたって? 別に自分では変わった様には思えな……誰??」
目を向けた先には見知らぬ少女が居た。
いや、正確には青蜜みたいな少女が立っていた。
少女は驚いた様に目を見開きこちらを見ている。 そしてその目線の高さは俺とほぼ同じだった。
「あ、青蜜なのか?」
「ま、まどかちゃんなの?」
「「えっ?」」
お互いの反応に困惑して俺達は同時に自分の身体を確認する。
うわっ、手ちっさ! 足短っ!! ってかこの服懐かしいな、俺のお気に入りだった服だわ、小さい頃の写真殆どこの服着てたもん!!
シャツにプリントされたアニメのキャラクターに俺は懐かしさを覚える。
名前は全然覚えてないけど。
隣に居た青蜜も何処か懐かしそうに笑みを浮かべていた。
ま、間違えない。 俺達が本当にこの世界の過去に来たのかどうかはまだわからないけど、どうやら俺達の身体の方は過去に戻っているみたいだ。
「い、一体どうなっているの? 私達本当に過去に来たのかしら?」
小さな青蜜は目を輝かせて首を傾ける。
昔はこんな綺麗な瞳だったんだな青蜜って……まぁそれは今もか。
「まだ過去に来たのかはわからない。 だけど俺達の身体が小さくなったのは間違いないな」
「これもおっさんの仕業って事?」
「いや、こんな事あのおっさんに出来る訳ないだろ? 多分俺達がこんな姿になってる事だって知らないはずだぞ? おっさんが最後に触ってたあの機械、あれのせいだろうな」
「つまりこれもリアの秘密道具の一つって事ね」
青蜜は呆れた様に溜息を吐く。
まぁ十中八九その通りだろうな、こんな事が出来るのはリアくらいしか想像できないし。
「じゃあ本人に聞いてみましょうよ。 まどかちゃんリアから貰ったスマホ持ってる?」
「あぁ、大事に持ってるよ。 俺達にとっては命綱みたいなもんだしな」
「じゃあ早速電話しましょうよ。 流石にこの状況は使い時と言っても良いでしょ?」
「……まぁ、今なら良いか」
俺はリアから貰ったスマホを手に持つ。
実は一度繋がるか試しにかけた時に酷く気まずい感じになったんだよなぁ。
だから出来るだけ連絡するのは避けたかったんだけど。
「安心して、私がかけるわ」
そんな俺を気遣ってか青蜜は俺の手からスマホを取って直ぐにリアに連絡を入れた。
ち、小さいのに格好良いなこいつ。 まぁ中身は変わってないけど、見た目のギャップも相まっていつより尚更優秀な奴に見えるな。
「我じゃが??」
画面に映ったリアは不愉快に顔をしかめていた。
あっ、やっぱまだ怒ってそうだな。
「リア? 私よ、青蜜よ。 少し問題が発生してね、今大丈夫かしら?」
「なんじゃ青っ子か。 随分と久しいのぅ、何か進展でもあったのか??」
「進展と言う程でもないのだけれど、リアに聞きたい事があって」
「む? なんじゃ?」
「リア、過去に戻れる機械とか作った事ないかしら?」
「過去に戻るじゃと? まぁ確かに昔作った気はするが、結局最後まである不具合を治す事が出来なくてな……言うなれば欠陥品しか作っておらんぞ。 なんじゃ、青っ子よ、過去に戻りたいのか?」
いや、今はどちらかと言うと未来に行きたいかな。
ってか欠陥品って言ったよね今? おっさんそんなの使ったの??
「それがもう来てる可能性があるのよ。 あのおっさんのせいでね。 リア、貴方の作ったその機械の不具合ってなんなの?」
「……ま、真か? うーむ、まぁ人によってはそんな大した不具合ではないのだが、青っ子の場合はどうじゃろうなぁ。
とりあえず一つは心当たりがあるじゃろう?」
「身体が縮んでいるわ」
「あぁ本当にあの機械使ったんじゃな……そう、あれは時を戻す時に自分の身体の成長をも戻すのじゃよ。 例えば時を20年戻したら身体の成長は1年程戻る。 つまり普通の人間ではそこまで昔には行けないのが不具合の一つじゃな。 まぁ我には関係ないが」
得意気にリアは答えた。
こいつ年増だもんな。
それにしても20年で1年って結構凄くないか? 100年前に戻っても5年だろ? 年取った分だけ過去に戻れるって良いな。
まぁそれは置いといて、俺達が来た時代を160年程前だと仮定したら大体8年程俺は幼くなったって訳か。
まぁ体感的にもそんなものかもな。
「他にも不具合はあるのかしら??」
青蜜はリアの言葉に特に反応を示さず、質問を続けていた。
「も、もう一つだけある。 そしてそれが少し青っ子には厄介になりそうじゃな」
「厄介??」
「そうじゃ。 もう一つの不具合とは、あの機械で過去に行った場合、未来に帰ってくる為にはある条件を達成しないといけないのじゃ」
うわぁ、きつそうだな。
「そ、その条件とは??」
「……わ、我にもわからんのじゃ。 その条件は自分で決めるものじゃからな。 つまり青っ子の場合、その条件を決めたのはあのポンコツと言う事になる」
リアの言葉に青蜜は数秒硬直した後、顔を真っ青にして、手に持っていたスマホを落とす。
あーあ、これは青蜜大変だな。
あのおっさんがなにを条件にしたかなんて考えてもわかるもんじゃないしな。
最悪、世界を救う事を条件になんてしてたら青蜜一生帰れないだろしな。
……いや、青蜜だけじゃなくね??
「も、もしかして俺達もう元の時間軸に戻れないんじゃ?」
久々の俺のスキルが全くどうでも良い所で発動する。
あぁ、そうだ。 そもそもここ異世界なんだ。
元の時間軸に戻った後で、更に元の世界に戻らなきゃいけないんだ。
1カ月経ったのにむしろやる事が増えてどうするんだよ……。
青蜜に続く様に俺も一旦思考を止め、薄暗い空を見上げていた。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる