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ポンコツなおっさんに召喚されてしまった。
15話 星の日記
しおりを挟む「な、何よこれ? どっちかと言うと予言書ってより日記じゃない?」
「私もそう見えますね。 でもなんだか少し古すぎる気もしませんか?? それに誰の目線で書かれているものかわかりませんし……」
え? 二人ともこれ読めるの? 嘘だろ、俺にはただの記号ってか落書きにしか見えないぞ??
「おー! 流石に鋭いのぅ!
その通りじゃ! これはな、この星の日記なのじゃよ」
「星の日記? なんだか随分可愛い話になってきたわね。 で、これのどこが予言なのかしら??」
「この日記の文字はな、今からちょうど4ヶ月前に急に浮かびだしたのじゃよ!
毎日見ていたわしが言うんじゃ、これは間違いないぞ!!
わしも最初は誰かの悪戯かと思って、隠してみたり一日中自分で持ち歩いて見たりしたんじゃが、勝手に更新されていくのじゃよ。 不思議な話じゃろ??」
まぁそれは確かに不思議だな、勝手に文字が生まれる本なんて聞いた事ないし。
……それより予言の話は何処に言ったんだ? 最後まで聞いたらわかるんだろうか??
「それでわしはそこからの1ヶ月程この本について調べてる事にしたのじゃ。
大変じゃったが、その努力の甲斐あってわしはとんでもない事に気付いてしまったのじゃ!!
この日記が更新されるのは昼の12時ぴったりであると言う事! そしてもう一つはこの日記の内容がこの世界の歴史通りに進んでいると言う事じゃ!!」
おっさんは大声を上げて誇らしげに語る。
確かに本当ならその本は凄いものだが、おっさんは別に凄くないだろ……なんでそんな誇ってるんだか。
まぁ二つ目の事に関しては、おっさんにしては良く気付いたなとは思うけど。
「歴史通りと言うのはどういう意味なんですか??」
「ふむ。 そうじゃなー。
例えば結衣殿の元の世界、その星は一体何歳くらいなのかのぅ??」
「え、えーと……まどかさん地球って何歳ですか?」
頭を僅かに傾けて結衣ちゃんは恥かしそうに尋ねてきた。
な、悩んでいる姿も可愛いな……。
「そうだな、詳しい事はわからないけど、大体45億年くらいになるんじゃないか??」
「よっよん!! ……ほ、ほぅー。な、中々長生きさんなのじゃのぅ。 まぁそんな事はあまり関係ないがの!!」
何で怒ってるんだよ……思ってた反応と違ったのか??
大方格好付けて、説明しようしたけど優位になれそうに無かったから諦めたって所だろうけど。
「こ、この星はな、まぁ生まれてから大体8千年くらいになると言われておる、誤差はあれど、お主らの星と大体同じぐらいじゃな」
全然違うだろ、こんな誤差があってたまるか。
「でな、この日記は丁度8千年前の事から書き始まっておるのじゃよ! 最初の一文がこれじゃ。
『本日私は生まれました。 私の他にはまだ誰もいない、少し寂しい……誰かに早く名前を呼ばれたい』 とな!」
おっさんは何時もとは全く違う声色でその一文を読む。
なんで女声?? しかも無駄に上手いし!!
それに、なんか可愛いな、この星。
仲良くなりたい。
「そして今日更新されたのがこれじゃ!!
『あの国の王子様本当に格好良い! 頑張り屋さんだし真面目だし優しいし!
国も栄えて幸せになって欲しいなぁー!!
あっ、私の大嫌いな女と結婚するんだ、そう……貴方も私を裏切るのね。
ふふ、貴方の国これから面白い事になるかも知れないわね』 じゃ!!
そしてこの事は今から4千年前に栄華を極めた大国、アバンがわずか1日で跡形もなく滅んぶ事になった歴史的大事件の時期に重なるのじゃ!!」
前言撤回します。 4千年でやばい奴、いや星か?? どっちでも良いけど近付きたくないレベルになってたわ。
ってかそもそも星って女なの? 嫉妬するとかあるの?
もしこれが本当だったらアバンの王子可哀想過ぎるんだけど。
……ち、地球に生まれて良かったぁ。
「つまりじゃな、このままこの日記が進み、わしらの時代まで追い付いてしまったら!!
この世界は終わりなのじゃよ!!」
おっさんは頭を抱えて叫ぶ。
予言の話に無理やり持っていったな。
「どうしてだ? その本が怖っ、じゃなくて、凄いのは伝わったが、だけどそれは予言書ではないだろ?
書いてあるのも過去に起きた事なんだし、このままその日記が続いても問題ないと思うけど??」
俺は思った事をそのまま声に出した。
日記が現実に追いつくなんてむしろ普通だしな。
「それがそんな訳にも行かぬのじゃよ。
最後のページを読んでみるのじゃ」
いや、だから読めないんだって!!
し、仕方ない。 なんか悔しいけど青蜜に読んでもらおう……結衣ちゃんに聞くのは恥ずかしいしな。
「なぁ青蜜、これなんて書いているんだ?」
「どれ? ってまどかちゃんこの漢字読めないの?? 頭良いと思ってたのにそうでもないのね」
漢字? これが??
あぁそうか、そういう事か。 また俺だけ読めないってやつね。
はいはい、チート能力以前に文字も読めなくされてるって事ね。
俺だけ弱体化してるじゃねぇーか……くそぅ。
「聞いてるの?」
「あぁ! ごめん、もう一回良いか??」
「えー、仕方ないわね。 えっと
『拝啓、本を拾った方へ。 私はこの本の作成者です。 もしこの本に文字が浮かび上がってきた時はきっとその世界は滅亡する事になるでしょう。
これはとても残念ですが事実です。
ですが、直ぐにと言う訳ではありませんので慌てないで。
私にはどうする事も出来ませんが、貴方が足掻けばもしかしたら未来は変わるかも知れませんしね。
頑張って! 古の魔女より』
だって。 何これ? 只のオカルト本じゃないの?
まどかちゃんはどう思う??」
「……も、もしかしたらその本もおっさんの話も本当かも知れない」
「え?」
青蜜のおかげでおっさんがこの本を信じる理由が漸くわかった。
古の魔女。
それが俺達を異世界からこの世界に召喚させるあの機械を作った魔女と同一人物たどすれば、その力を身を持って経験した以上、この本の力を疑う事は出来そうに無かった。
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