そこに入ったら二度と出られない

トンネルと地元の人達1

　「どうしたん？お婆さん？？」

 廃トンネルの場所が書かれた健太の手作りの資料地図を見た途端に顔が強張り、無言になる宿のお婆さんに春樹が声をかけ続ける。

　「具合でも悪くなったん？お婆さん。」

 心配する春樹にお婆さんは口を開く。

　「あんたら、ここさ行くんか？」

    「ああ、そうだよ。そのために東京からわざわざ6時間近くかけて車で来たんだぜ。そのトンネル知ってるんか？」

    よく見ると地図を持つお婆さんの手は小刻みに震えていた。

　「悪い事は言わねからここさ行くのだけはやめれ。」

 お婆さんは廃トンネルの場所を明らかに知っていそうだったが、場所を教えるどころか春樹らにトンネルに行く事をやめるよう言ってきた。
　
      「このトンネルはそんなにヤバイの？お婆さん？？」

 春樹は内心で地元の人がそこまで顔を強張らせ、手が震えるほど怖がって行くのを反対してきたという事は余程の怖いトンネルで心霊現象が撮影できると思い、あえてトンネルに行くのを止めると伝え、場所だけは聞き出す事に決めた。