・・その狂気は伝染する・・

最終章 世界の終焉

松本義徳首相の国家非常事態宣言62

　京都と他都道府県へ入るポイントの国道は完全に封鎖され京都側の車は延々と長い列を作っていた。そこへついに津波のような勢いで感染者達が雪崩れ込んでくる。

　「窓を閉めろ！車外へ出ないで下さい！！！」

 家族連れの避難車や、観光バスの乗客いずれもパニック状態に陥る中、感染者はまるで獲物を狩るように車列を次々と襲っていく。素手でフロントガラスを割ると中に強引に入りこみ噛みつく感染者や、車外へと引きずり出して殴る蹴るの暴行を加えながら殺していく感染者など、感染者の性格なのか思考なのか、それぞれの感染する前の人間の性質が感染後に現れてるような異常な光景だった。


　「封鎖場所から外に出すなよ。感染者を封じ込めろ！！！」

 そう部下に指示を出す現場の自衛隊の指揮官に部下は尋ねた。

　「襲われてる市民らはどうしますか？」

 救い出せとの命令を期待していた若手の自衛隊員に指揮官は言い放った。

　「武器の使用を許可する。我々以外の全ての人間を射殺せよ！！」

 その言葉にそこにいる若手の自衛隊員達は凍りついた。

　「し、しゃさつ！？そんな事できるわけないじゃないか・・」

 心の中でそう思う自衛隊員にさらなる決断が迫られる。目の前には殺戮の光景しか入らないからだ。そして、爆発的な感染力。絶望感を感じた。