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第三章 狂気と共に明ける明治維新

15代将軍徳川慶喜の決断116

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 男が土方らの前までやってきた。

 「おい、てめーいい度胸してんじゃねーか。一人でこっちに来るとはよ。それに、俺の部下をを斬り殺したてのは本当か?」

 土方が尋ねると男は目を輝かせながら言った。


 「いかにも。お主の仲間を斬り殺したのは拙者だ。拙者は明治政府の役人のため、逆賊であるそなた達を事によっては殺害、捕縛せねばなりますまい。しかしながら、拙者はお主と真剣勝負をしてみたいと思い一人で歩いてきた。お主が拙者に勝てば捕縛はせず見逃す。」


 それを聞いた土方と仲間達は大笑いをした。

 「うひゃっひゃっは。これはたまんねーな。腹がいてー。おめーが俺に勝負をして、勝ったら俺らを見逃すだぁ?悪いがなそんな勝負うける気はねーんだよ。ここで死ね。」

 そう言うと土方らは隊士らに斬りかかるように指示を出した。

 その瞬間一人の男が大声をあげた。

 「やめーーーー!」

 吉村貫一郎であった。

 「吉村、てめーどういうつもりだぁ?」

土方の命令を受けた部下達を止める吉村貫一郎に土方は声を荒げた。


 「先生、申し訳ながんす。しかしながらこの者は命をかけてここまで一人でやってきたのはこの者の心意気が本気だと感じるからでやんす。この者はおそらく武士でございましょう。近藤勇先生が生きておられたらきっと真剣勝負に挑み、卑怯な真似はしなかったはずでござんす。」

 それを聞いていた桃井は腰にある刀を抜いた。

 その刀を見た土方は思わず声を出した。

 「それは、おい?その刀は長曽根虎徹・・」
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