・・その狂気は伝染する・・

第三章 狂気と共に明ける明治維新

15代将軍徳川慶喜の決断62

　「報告します！」

 慌ただしく新政府軍の司令所に兵が集まる。門番の兵士が何事かと尋ねると。

　「大量の正気を失いし人の群れが大阪と京への関所を突破して、京に入り込みました。その数数千は軽く超え、こちら側の制止命令すら耳をかさず、襲いかかってくる始末でござる。」

 その異様な報告を聞いた門番はただちに上の人間へと報告をしに行った。

　「なんだと？しかし、今は新政府の首脳らが極秘の会談をしてる最中ゆえ・・」

 困り果てた兵士隊長らの前をたまたま通り過ぎた土佐藩の谷干城は声をかけた。

　「どうしたき？何をそんな青白き顔をしてるがや？」

 兵士らは谷に今大阪で起きてる出来事を話した。

　「なんじゃと！？京にもその者達が既に入り込み騒ぎを起こしてるゆうがやか？なんちゅう事じゃき！おまんらの代わりに西郷さんらに知らせてくるき。」

 そう言うと谷千城は首脳達の部屋へと向かった。

　「うん？谷様ではないですか。ここへは入れませんぞ。誰も会談中は通すなという命令ですので。」

 警備の兵士らを押し除けて部屋へと入る谷千城。

　「どけ！緊急じゃき！！」