・・その狂気は伝染する・・

第二章 狂気に憑かれし者達との戦いが始まる

8代将軍吉宗の戦い11

　川上芳平は駿府城代松平に懐から取り出した書状を出して、指を指した。

　「公儀御命令の大切な調べ書に黒く塗りぬぶして不明とは、幕府に対して非礼極まりないゆえ！その理由を説明致せ！理由によっては、処分せねばなりますまい！」

 川上芳平のやや行き過ぎた態度に押され松平はその理由を説明する。

　「まずはこの度は無礼な事を働きまことに申し訳なき候・・実は駿府領内とその周辺にてまこと不可思議なことがおこりましてゆえ・・」

 そう言うと松平は口を閉ざす。

　「どうした？何が不可思議なことなのじゃ？申し付けて見ろ！」

　しびれをきらした川上はまくし立てながら松平に言った。

　「はっ・・実は、人が発狂して、通りを歩く人を襲い、さらには、その襲われた人間も発狂しては他の人を襲うという出来事が最近頻発してるのでござる・・」