タクシー運転手の夜話

case9

　「きっとお客さんは疲れてるんですよ！！実家に帰ったらゆっくりとお母さんの手料理食べて、そしてぐっすりと眠ればたちまち元気になります！！」

 私は思わず頭に思いついた事を自分なりの励ましと思いそう言いました。しかし、所詮は思いつきの言葉。あとから自分はなんて適当な奴なんだと思いましたね。その言葉を話した途端にその女の子が下を向きだしたんです。何か余計な事言っちゃったかな・・なんて思いながら、ミラー越しに彼女に言いました。


　「ごめんなさい、何か気に障る事言ってしまったかな？ごめんね。」

 そう言ったらその女の子は顔を上げて私の方を見てにっこりと優しそうな笑顔を見せたんです。もう、本当に優しい心が顔に出てるような感じの純粋そうな子でしたね。