望む世界

終わらない始まり

興味ない

「い、いやいやいやっ！？　まだ何か方法があるかもしれないだろ！」
「何かって何？　そんなもの考えてる間に【ゾンビ】ＥＮＤだけど。……お前には今、どうにか出来る方法が思い付いてるの？」

　言い返そうとする坊主頭だが。
　先ほどのセリフは生きていたいがためにでた勢いだけであり、方法なんてあるはずがない。

　あったのなら、ここにいた人はもっと多かったと思うし。
　出入り口の処理してる時にほとんど傷のないのもいたため、方法とやらがあったら生きてたはずだ。

　傷つけた手から流れ落ちる血が止まらないのか、手首を抑えてるが……どうせ死ぬのに意味のない事だ。

「おっ、お前が！　切らなければこんな事には！！」
「人殺そうとしといて、どの口が言う？」

　酷い責任転嫁だ。
　これは脳が壊れ始めてきたからか、もとの性格なのか。

　行動を見る限り、もともとの性格だと思うが。

　それより、【ゾンビ】になるのが遅い気がする。
　家の前で食われた人が【ゾンビ】になったときの時間を過ぎている。

「東郷。この坊主頭をどうするかは任せる。【ゾンビ】になってから倒すのか、人のまま殺すのか」
「……ああ」
「俺は疲れたから建物の中にいる。何かあったら呼んでくれ」

　ここを出て行くための準備も進めなければ。
　【変異種】との戦闘で、武器の見直しも必要だな。

　もし１人で探索してる時にあいつと出会っていたら……。

　地理次第では何とかなるかもしれないが、そんな都合のいいことが何度も続くわけがない。

「話し合い次第だとあいつ殺せるけど？」
「もう、興味ないからなー」

　そう口にする通り、薫は坊主頭のことをそこらに転がる石として認識してるように感じる。

　またきちんと認識してもらうには【変異種】になるしかない。

　まだ昼過ぎだが、疲れから眠気が襲ってくる。
　堪えきれず欠伸をしながら戻っていったが、坊主頭は俺のことをずっと睨んでいた。