上 下
6 / 8

主人公、ようやくチートを貰う

しおりを挟む
  サンタクロースをいつまで信じていたかなんて事はたわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、それでも俺がいつ……

「おい!いきなり某有名小説の冒頭をパクってんじゃねぇよ!
  だいたいジャンルが違うだろ。
  お前は俺に何を求めてんだよ、異世界でS〇S団でもつくれってのか?」

  ん?
  じゃあ、宇宙人と未来人と超能力者を登場させようか?

「余計な事しなくていい」
  
  つれないな。
  折角街に到着したと言うのに……

「当たり前だろ。
  街までの3日、俺の尻を狙う飢えた獣を常に警戒していたんだぞ。
  何もなかったから良いものを……」

  大丈夫、痔は教会で治して貰えるぞ。

「何も無かったよ!」

  俺が地の文とやり取りをしていても誰も気付く事はないようだ。
  ここ3日で得た情報の1つだ。
  俺の隣ではここまで送ってくれたドモルガンがこの街について説明してくれている。
  どうでも良いがドモルガンの声はどうにかならないのだろうか?
  見た目はごつい髭面のおっさん。
  中身は肉食系おネェ。
  そして声は清純派ヒロインだ。
  違和感しかない。

「このカレリアの街はこの辺りでは1番大きな街よ。
  治安も良いし、種族差別もあまり無いわ。
  …………あと、マイノリティな性的嗜好にも寛容よ」

「尻に手を伸ばすな!
  ここまで世話になったな、ドモルガン。
  ありがとう」

  一応、礼は言っておく。
  一応、無事に連れてきてくれたからな。

「じゃあ、俺はここで……」

「あら、もう行くの?
  なんならあてしが案内するわよ?
  手取り足取り腰取り……」

「いや、結構だ!」

  良かった!
  『NO!』と言える日本人で本当に良かった!

「そう……貴方に会えて良かったわ。
  助けてくれてありがとう。
  また会いましょう」

  ドモルガンは居住まいを正すと改まってそう言った。

「気にするなよ、お互い様だ。
  あと、もう会う事はない事を祈っている」

「もう!いけず」

  そう言ってプリプリと怒るドモルガンと別れた俺は、1人になった寂しさも有り、あの夜のドモルガンの熱く情熱的な……

「止めろ!
  まったく、油断の隙もないとはこの事だな!」
  
  俺は、勝手な事をつくりだそうとするモノローグを強引に止めると今後についての建設的な話を始めた。

「なぁ、いい加減初期装備くらいはなんとかしてくれよ。
  街に入る為の税金はドモルガンが礼だと払ってくれたが、今現在の俺は正真正銘の無一文だぞ?」

  分かった、分かった。
  流石に無一文スタートは不味いってくらいはわかっているよ。
  君には勇者に与えられる優所正しい初期装備をやろう。
  そこの裏路地に入ってみな。

  俺は言われた通りの路地に入る。
  そこには宝箱が置かれていた。

「……雑」

  宝箱を開けると中には銅色の硬貨と銀色の硬貨が一枚ずつ、そして木の棒が入っていた。

「…………なんだ、コレ?」

  何って110ゴルドとひのきの枝だよ。
  伝説の勇者でさえ、これから始めて最後には竜王を倒したんだ。  
  
「阿呆か、お前は」

  ははは、冗談だよ。
  一緒に本が入っているだろ?

  宝箱のそこを探すと何やら分厚い書物が入っていた。

「コレはどんなギャグなんだ?」

  コレはマジだよ、開いてみ。

  身体強化   10分  100ゴルド
  火魔法        10分 200ゴルド
  水魔法        10分  200ゴルドetc


  なんだコレ?

  君はこの中から必要な能力を選んで使えるんだよ。
  やったね!
  超絶チート!
  何でもありで、俺Tueeee!し放題。
  そしてネットで叩かれまくれ!
  やったね!

「この後ろの『ゴルド』ってのはなんだ?」

【ゴルド】  分類『単位』

  アーサー大陸全土で使用されている通貨単位。
  かつて大陸統一を成し遂げた英雄アーサーの仲間、澪理のゴルドこと、ゴルド・ガラッハットの名前に由来する。
賤貨  1ゴルド
鉄貨  5ゴルド
銅貨  10ゴルド
銀貨  100ゴルド
金貨  1000ゴルド
白金貨  10000ゴルド
聖金貨  100000ゴルド


「何だ今の?」

  スキルだよ。
  スキル【鑑定】。
  
「おお!
  アレが有名な鑑定か!
  成る程、鑑定とかの基本スキルとこの本を使って冒険すれば良いんだな?」

  ん?

「ん?」

  何故か『何言ってんの?』って雰囲気を出す作者に疑問を持った俺は今の状況を今一度見直した。
  左手にはさっきの小銭と棒。
  右手には適当にページを開いた本。
  
「あ!」

  俺は本のページに注目した。
  それはもう注目したさ。
  名探偵か!ってくらいに。
  命賭かってるからね。
  それはそうと、俺が開いていたページ。

  鑑定  1回  10ゴルド

  俺は左手のブツを確認した。
  銀貨が1枚と棒だった。

「金とんのかよ!!」

  俺のチートは有料だった。



しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

World of Fantasia

神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。 世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。 圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。 そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。 現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。 2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。 世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

私のスローライフはどこに消えた??  神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!

魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。 なんか旅のお供が増え・・・。 一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。 どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。 R県R市のR大学病院の個室 ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。 ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声 私:[苦しい・・・息が出来ない・・・] 息子A「おふくろ頑張れ・・・」 息子B「おばあちゃん・・・」 息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」 孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」 ピーーーーー 医師「午後14時23分ご臨終です。」 私:[これでやっと楽になれる・・・。] 私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!! なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、 なぜか攫われて・・・ 色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり 事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!! R15は保険です。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

別に要りませんけど?

ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」 そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。 「……別に要りませんけど?」 ※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。 ※なろうでも掲載中

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...