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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》

39話 わたしとブーム

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  日が落ちかけたくらいの時間、わたしは森での採取を終えてガストに戻って来ました。
  街の門の前に並んでいる人達の中に見知った顔を見つけました。

「ザジさん達も今お帰りですか?」

「おう、討伐依頼を終えたところだ」

「こんにちは、ユウさん」

「ユウも依頼の帰りか?」

  ザジさんとカナさん、アンナさんの3人です。
  終戦から色々な変化が有りましたが、これが大きな変化の1つです。
  和解した魔族と人間は、交流を深めるべく、いくつかの街を交流都市に指定してお互いに移住したのです。 
  更にイザール神聖国跡は整理され、今後は人間と魔族が共同で管理する交易の拠点として発展して行く予定らしいです。
  ザジさん達兄妹もガストに移住して来ました。
  そして、ハンター協会は、冒険者ギルドに吸収され、所属していた魔族は対応するランクの冒険者となったのです。
  元神銀オリハルコンクラスだったザジさんはAランク冒険者として復帰しました。
  ザシさん達とガストに入り大通りから1つ奥に入ります。

「あ!
  お兄ちゃん、お姉ちゃん、お帰り~」

「おう!」

  ミーナさんのお店で売り子をしていた魔族の少女が声を掛けて来ました。
  ザジさんの妹で、モーガン病に罹っていたリリアナちゃんです。

「ユウさんも一緒だったんですね」

「ええ、そこの門で一緒になったんですよ」

  リリアナちゃんはこの街に来てすぐ、ミーナさんのお菓子を食べて感動し、押し掛け弟子になったのです。
  始めは戸惑っていたミーナさんでしたが、慕われて悪い気はしないのか、最近ではリリアナちゃんを可愛がって色々と教えているようです。
  ミーナさんのお店でお菓子を買ったわたしはザジさん達と別れて孤児院へ向かいます。
  そこで、お土産のオークとキノコを院長さんへ渡して子供達にお菓子を配りました。
  お礼を言う院長さんと子供達に見送られながら店に帰ろうかとしたわたしでしたが、ふと思い立ち教会に寄ることにしました。
  後になって思うと、多分神的にチカラが働いたのでは無いかと思います。
  
  ギィ

  扉を開き礼拝堂に入るとシスターのミリアさんが1人掃除をしていました。

「あ、こんにちはユウさん」

「こんにちはミリアさん、お邪魔しますね」

  わたしは椅子に座ると目を閉じました。

プルプル

  ………………

プルプル

  ………………

ガチャ

  貴様、見ているな!

『見ているよ』

お久しぶりです、神様

『久しぶりだね。
  君の活躍は楽しく見せて貰ったよ。
  まさか、邪神の力を奪う奴がいるとはね』

  まったく、他人事だと思って……
  ところで、邪神は結局どうなったのですか?  
  マーリンさん達が言うには消滅したって言ってましたが?

『ん?
  邪神なら今は充電ちゅ…………邪神は滅びたよ、君達人間の勝利さ……』

  むむむ、今何かいい掛けていたような。
  まさか…………神様が黒幕なんて事は…………

『はっはっは、気の所為だよ。
  それより君に伝えたい事があるんだ』

  …………まぁ、誤魔化されてあげますけど…………伝えたい事ってなんですか?

『そろそろ、新しい日本人を転移させようと思ってね』

え⁉︎

『って言うもう送っちゃった』

ええ⁉︎

『近い内に君か君に縁のある人の周囲に転移するから、よろしく』

  よろしくってわたし、まだ108面相へんたい以外のもう1人の日本人にも会っていないのに!
  それに近い内にっていつですか⁉︎

『だいたい50年以内には現れると思うよ?』

  広い!
  近い内の範囲が広いですよ

「はっはっは」

プツ

「広いですよ!」

「ひゃっ!」

  わたしは驚かしてしまったミリアさんに謝って帰路につきました。
  新しい転移者がいつ来るのかは分かりませんが、取り敢えず今日は帰ってリリと夕食の準備をすることにしましょう。

「ふぅ」

  わたしは一息吐くと歩き始めます。

「仕方ありませんね」

  神々の間ではまだまだ異世界転移がブームらしいですしね。
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