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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》

35話 わたしとおまけ

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「それで、なんで傷1つ無くなったんだ?
  アレは完全に致命傷だったはずだろ?」

  わたしを背中に乗せたケダモノザジさんが聞いて来ました。
  ちなみにザジさんの頬には紅葉型に赤く腫れ、右目には青タンを作っています。
  現在、わたしは超身体強化の反動で身体に力が入らないのでザジさんに背負って貰っています。
  そして、邪神の神殿から脱出する為に入り口を目指しているのです。
  途中、生き残っていた援軍達と合流したり、死体を見つけて回収したりしながら進んでいます。
  わたしは懐から取り出した小瓶を走るザジさんに見える様に差し出します。

「コレですよ」

「なんだコレ」

「いざと言う時の為に自重せずに作成した最上級ポーションです。
  希少な素材を大量に使って、長い時間を掛けて調合する必要があるのでこれだけしか有りませんが、少し垂らせばどんな傷でも一瞬で元どおり、手足もにょきにょき生えて来ますし、どこからともなく血液も補充されるし、心臓だって再生する不思議なお薬です」

「ちょ、おま、それってエリクサーじゃねぇのか⁉︎」

「おや、ご存知でしたか?」

「いやいやいや、有りえねぇだろ⁉︎
  エリクサーと言ったらお伽話や神話の中に出てくるヤツだぞ!」

  そうなんですよね。
  実はコレ、鑑定したら伝説級レジェンドだったんです。

「皆さんには秘密ですよ?」

「…………まじ、何者なんだよお前?」

  こうしてわたし達はスレイプニールの近くで陣地を敷いていたサポート班に合流したのでした。







  邪神の神殿から脱出した日の夜の野営地。
  生き残った皆さんで焚き火を囲んでいます。
  わたしも成長しているのか、全力で超身体強化を使ったものの、意識を失う事はなく、少しなら動けました。

ドゴォォオン!!!

  遠くの方から大きな破壊音が聞こえて来ました。

「なんの音ですかね?」

  わたしはローザさんからスープが入ったカップを受け取りながら訪ねました。

「さぁ、何度も聞こえてくるのですが……原因は分かりません」

  首を傾げるローザさんの横からイナミさんが予想を述べます。

「多分、リセルシアがこの世界から消えて支配から解かれた魔物が縄張り争いでもしているのだろう」

「なるほど」

  わたしは納得し、スープを口にします。
  周囲では多くの人々がそれぞれのグループで焚き火を囲んでいます。
  その顔は様々です。
  笑顔で勝利を祝っている人も居れば、失った仲間を悼んでいる人も居ます。
  この戦いでは多くの人々が犠牲になりました。
  わたしの知っている人だと、ヤナギさんが戦死しました。
  硬いマンティコアの尾を断ち切り立派な最後だったと聞きました。
  そして、クルスさんです。
  彼は邪神によって傷を負わされて地下を流れる濁流に飲まれてしまったらしいのです。
  ザジさんは戻ったら直ぐにシルバリエさんに頼み、下流に捜索、救助隊を出して貰うと言っていました。

ドゴォォオン!!!

  そうして、時折聞こえる破壊音を聞き流しながらわたし達は休息を取るのでした。


翌朝。

「艦長、出航準備完了しました」

「はい、では帰りましょう。
  出航!」

  わたしの号令でスレイプニールはグリント帝国を目指して飛び立つのでした。



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おまけ


ドゴォォオン!!!

  振り下ろされた剣から放たれた衝撃波を躱し、お返しに同じ様な衝撃波を放つ。

「やるわね、まさか私と此処まで互角にやり合える奴が居るとは思わなかったわ」

「ふははは、それは此方の台詞だ。
  お前とはいい酒が飲めそうだ!」

「あら、良いわね。
  私はお酒も強いわよ?」

「ならば、決着をつけたら次は飲み比べと行こう」

「ふふふ!」

「はっはっは!」

  リゼッタとグレースはお互いに妙なテンションで笑い合う。
  
「ところで至高の冒険者よ……」
  
「リゼで良いわよ、どうかしたの?」

  グレースはリゼッタの背後を指で指し示す。

「あれはお前が乗って来た飛空船じゃないのか?」

「え⁉︎」

  リゼッタが振り向くと大きな飛空船が雲の中へと消えた行くところだった。

「ああぁぁあ!!!」

  後日、ユウの頭に拳骨が落ちる事が決まった瞬間である。
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