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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》

12話 わたしと中ボス

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  う~む、まさかスタロンさんの正体が怪人108面相だとは思いませんでした。
  ん?
  ではリルマさんは一体……?
  わたしが視線を移すとリルマさん(首なし)も霧に包まれています。
  そして、その霧から出て来たのは何とメイドさんです。
  怪人108面相と同じ様に目元を隠した謎のメイドさんが現れました。

「ふっふっふ、紹介しよう彼女は我輩の相棒バディ、『キャッツ・愛』である!」

「キャッツ・愛と申します」

  メイドさんは綺麗に頭を下げます。
  わたしは非難する視線を108面相に送りますが、奴は視線を逸らして気付かない振りをしていました。
  しかし、あのキャッツ・愛と名乗るメイドさん……何処かで会った事がある様な……
  メイド服はよく見かけるスタンダードな物です。
  知り合いだとマリルさんが着ているのと同じです。 
  身長もマリルさんと同じくらいで、髪もマリルさんと同じ色をしています。
  そうこうする内にキャッツ・愛も剣を取り出しました。
  細身のショートソードですが明らかに業物、多分マジックアイテムですね。
  マリルさんの剣とよく似ています。
  一体彼女は何者なのでしょうか?
  謎が謎を呼びますね。

「あっはっはっは~」

「くっ!」

「そこです!」

「ちっ!」

  高笑いを上げながらも108面相はレイピアを巧みに操り鋭い連撃を放ち、パウロが足を止めた所にキャッツ・愛が強力な一撃を放つ。
  かなり完成度の高いコンビネーションによってパウロは向こう側の通路の前から引き剥がされて行きました。

「さぁ、同胞よ!
  今の内に行くが良い!
  我輩は後から必ず追い掛けるのである!」

  くっ、まさかあの名台詞を盗られるとは、流石怪盗です。
  奴はとんでもない物を盗んで行きました。
  わたしのロマンです。

「追いかけなくて良いですよ。
  出来れば相打ちになって下さい!」

  文句を言って行くる108面相を無視して、わたし達はこの隙に先には進みます。
  ザジさんの案内に従ってオーブがある部屋へ一直線です。
  そう思ったのですが、またまた大きな部屋に出ました。
  そして、また魔族が1人。
  何で彼らは1人、1人現れるのでしょうか?
  中ボスだからですかね?
  ザジさんに聞くと一定以上の力を持つ者は、余計な味方がいない方が全力を発揮できるのだ、と言う答えが返って来ました。
  なるほど、納得です。
  正直、わたしも1人の方が戦いやすいと思う時があります。

「それで、あのお婆さんは誰ですか?」

「ああ、あいつは……」

「魔王リセルシアだ」

  ザシさんが答えようとすると、イナミさんが割り込んで来ました。

「え⁉︎ でも前にわたしが会った魔王リセルシアは12歳くらいの少女でしたよ?」

「その少女とあの婆さんは同一人物さ」

  イナミさんが前に進み出ます。

「久し振りだなリセルシア、300年振りか」

「そうだねイナミ・ヤマウチ、あの時の決着をつけるとしよう」

  そう言うとリセルシアは一歩踏み出し……消えました。

「え?」

「ユウ!」

「 ⁉︎ 」

  何と、わたしのすぐ側に20代くらいの女剣士が現れたのです。
  既に剣はわたしに当たる直前、仲間は間に合いませんし、避ける事も出来ないタイミングです。
  なぜ、こんなに接近されたのか分かりません。

ギンッ!
 
 わたしと女剣士の間に入り剣を止めてくれたのはイナミさんでした。
  イナミさんはわたしから2メートルは離れていた筈です。
  何故間に合ったのでしょうか?

「な、何者ですか⁉︎」

「こいつも魔王リセルシアさ」

  イナミさんは何かを知っている様ですね。

「300年前、邪神の魂を勇者の身体に閉じ込めた時、俺はその身体ごと玉座に封印した。
  その時、俺の封印を妨害しようとしたのがリセルシアだ。
  俺達は同時に禁術である時間魔法を使った。
  その結果、俺は時が流れる事がない身体に、リセルシアは時が安定しない身体になってしまったんだ」
  
「じゃ、じゃあ!」

「ああ、子供も、成年も、老人も全て魔王リセルシアだ」

  じ、時間魔法ですか。
  と言うことはさっきのは瞬間移動では無く時間停止ですか⁉︎
  不味いですね。
  スタープ○チナが無いわたしでは時間停止中に行動する事は出来ません。
  と言うかズルく無いですか?
  時間系の能力はボスと相場が決まっているでしょう!
  中ボスが時間系の能力とは卑怯です。
  ここは対抗出来そうなイナミさんに任せるのが最適ですね。
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