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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

146話 新たなる指針

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「ええ、師匠が!」

  マーリンが驚きの声を上げた。
  当然だろう。
  彼女が世界中を探し回っていた大賢者様が、ミルミット王国にいた上、時期的に考えて大賢者様とランスロットが出会ったのは、マーリンと俺が出会ったのと同時期だ。
  つまり、あの時大賢者様は、かなり近くに居たという事だ。
  まぁ、それよりも1つ俺にも関係する事柄がある。

「…………ランスロット、その……すまなかった」

  俺はランスロットに頭を下げる。
  彼の村が襲われた件は、コルダールが俺を殺すために襲撃しに来た事に巻き込まれたのだ。
  コレはランスロットの村だけでは無い。
  他にもいくつかの村がある襲われ、その村の住人は皆殺しにされているのだ。

「お前が謝る事じゃない。
  全ての罪はコルダールに有る。
  だから俺はコルダールを殺したい。
  それには俺だけの力では不可能だ。
  お前達の力を貸して欲しい」

「ああ、勿論だ。
  一緒に戦おう、ランスロット」

「ランスでいい、よろしく頼む」

  俺とランスは改めて握手を交わした。

「それで、これからどうするんじゃ?」

「そうだよな、炎の紋章を探してエイバ森林国の霧の大樹海を目指していたが、ここでランスに出会えた訳だからな」

  バッカスとジンが今後の行動について尋ねて来た。

「そうだな、精霊の紋章の持ち主は揃ったが、今のままでは邪神どころが魔王にすら勝つ事は出来ない。
  コルダールは勿論、少し前に会ったグレースと言う魔王も強大な力を持っていた。
  俺達も更に力を入れ付ける必要が有ると思う」

「それは分かりますが、具体的には如何するのですか?」

  おれは一拍間を置いて最近考えていた事を口にする。

「魔境へ行こうと思う」

「魔境に!」

「幾ら何でも危険すぎない?」

「じゃが危険を避けていては魔王と戦える程の力など得られんぞ」

「だがよぉ、それで死んじまったら意味がねぇぞ。
  魔境で修行するにしてもそれなりに力を付けてからじゃねぇか?」

「だが、俺達にはあまり時間は無い」

  始め、俺達の意見を黙って聞いていたランスだったが議論が平行線になった頃に口を開いた。

「1つ考えがある」

「なによ?」

「エイバ森林国の霧の大樹海を目指すべきだと思う」

「何故じゃ?
  確かに霧の大樹海には大精霊が住まうと言う噂じゃが、すでに紋章は揃っておるぞ?」

「俺の修行が終わり、勇者と合流する為旅立つ時に大賢者様から霧の大樹海を目指す様に言われたんだ」

「それは私達と合流出来る様にでしょ?
  現にこうして合流出来たんだから」

「それならば『エイバ森林国を目指せ』と言えばいいじゃないか。
  それならばギリドも有るから情報収集や伝言などで合流し易い。
  霧の大樹海は広く行き違いになる可能性も高いからな」

「確かにそうね。
  あのバカ師匠は丁寧に説明したりはしないけど、意味の無い事を言う人では無いはずよ」

「では、マーリンとランスは霧の大樹海に何かが有ると?」

「多分ね」

「それに霧の大樹海は危険地帯、魔境ほどでは無いが、強力な魔物が現れる。
  霧の大樹海で力を付けてから魔境に入ってもいいと思う」

  マーリンとランスが霧の大樹海へ向かへと言うのには大賢者様のなんらかの意図があるのでは無いかと言う。

「…………わかった。
  霧の大樹海へ向かおう!」
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