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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
119話 神酒を求める2人
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ダンジョンで落とし穴のトラップにかかってしまった俺達は真っ逆さまに落ちていた。
「か、か、風よ!」
マーリンが風属性魔法を発動させる。
かなり詠唱を省略した呪文だったが、無事魔法は発動し俺達の落下速度が遅くなる。
しかし、流石に上まで身体を押し上げる事は出来ない。
「勇気と肉体を司る者よ 我らに力を 防御力強化」
マーリンは更に強化魔法を重ねる。
ありがたいがコレは地面に激突する事は確定という事か……
俺は覚悟を決めてその時を待つ。
そして…………
ドゴッ!!!
ん?
思ったより痛く無い。
マーリンが補助魔法を掛けてくれていたとは言えあの高さから落ちて大してダメージを受けないはずがない。
「な、何じゃお主ら!」
「何処から落ちて来やがった!」
俺達の前には弓を構えたエルフと戦鎚を構えたドワーフが居た。
彼らは俺達を警戒して武器を手にしていたのではない。
彼らは戦闘中だったのだ。
そして、彼らが戦っていたのは俺達の下にいる大きな熊、エビルグリズリーだった。
エビルグリズリーは不意に頭上から落ちて来た物体(俺達)によって意識を失っていた。
取り敢えず目を覚まさないうちにトドメをと言われたので俺達は素直に場所を譲り、彼らがエビルグリズリーを仕留めるのを待つ。
エビルグリズリーにトドメを刺した2人がこちらへとやって来る。
「それで、見たところお主達は冒険者の様じゃが、何故上から落ちてきたのじゃ?」
「まっ大方ドジって落とし穴にでも落ちたんだろ?」
ドワーフの疑問にエルフが呆れた様に答えるが、まさにその通りなので反論する事も出来ない。
それよりもドワーフとエルフの2人組の冒険者だ。
彼らは俺達の探していた冒険者の可能性が高い。
2人は落とし穴などと言う古典的なトラップにかかってしまった俺達に呆れた様な視線を向けて来る。
俺はその辺を誤魔化す様に2人に尋ねた。
「ところでもしかして貴方達はCランクパーティの《溢れる盃》のジンとバッカスか?」
「ん?何じゃワシらを知っておるのか?」
「てめぇら何者だ?」
俺達は周囲に魔物の気配がない事を確認すると、マーリンに結界を張って貰い、2人に勇者や精霊に関する事柄を話した。
「なんと、あの薬屋の光る斧には精霊の力が宿っておったと言うのか⁉︎」
「つー事はバッカスの腕の痣はその精霊の紋章だって事か」
バッカスの腕に有ったのは正しく地の紋章だった。
俺は彼らに邪神を倒す為、共に戦って欲しいと告げる。
しかし……
「断る」
「な、何故だ?」
「ワシらにはワシらの目的がある」
「目的?」
「ああ、俺達はある品物を探している」
「それは?」
「神酒だ」
「ネクタル?」
聞き覚えのない言葉に首をかしげると、物知りなマーリンが教えてくれる。
「神が醸造したと言われるお酒よ。
ダンジョンからごく稀に発見される希少品で、現存する物は全て国宝として保管されているわ」
「つまり凄い酒って事か」
「まぁ、簡単に言うとそうよ」
そう言うとマーリンは不機嫌そうに2人に詰め寄る。
「あんた達は、邪神を倒す事より酒を探す事を優先するというの?
そんな事より使命を全うするベきじゃないの?」
「そんな事は俺達の勝手だろ」
「お主らからすればくだらぬ目的かも知れぬが、ワシらはコレに命を懸けておる。
現存する物は国宝であり手にする事は叶わん。
ならばダンジョンで発見するしかあるまい。
例えそれが砂漠で塩を拾う様な物であってもな」
「でも!」
「よせ、マーリン」
「そうですよ、マーリン。
冒険者である私達が、他の冒険者に何かを強要する事は出来ません」
「ああ、冒険者は自己責任、自分の行動は自分で決める。
誰かに強制されて良いものではない」
「そうだけど……」
マーリンは渋々引き下がる。
「悪かったな、2人とも」
俺が2人に謝罪すると彼らも気にするなと言ってくれる。
「なに、普通は邪神と戦う英雄になる方を選ぶのだろう。
おかしいのは俺達の方さ」
「うむ、共に旅をする事は叶わぬが、何かあれば出来る範囲で手を貸そう」
俺達はジンとバッカスと握手を交わすと彼らから聞いた帰り道に向かって歩き出す。
「マーリン?」
しかし、マーリンは腕を組んでその場から動かなかった。
「ねぇ、貴方達は神酒を手に入れる為に僅かな可能性に懸けてダンジョンに潜っているのよね?」
「ん?そうだと言っておろう」
「私達と一緒に邪神と戦ってくれれば神酒を手に入れる事ができるわよ?」
「「な、なんだと⁉︎」」
「お、おいマーリン、本当か?」
「マーリン、嘘は良くないですよ」
「嘘じゃ無いわよ。
邪神を倒せば英雄よ。
それ程の功績を上げれば褒賞として国宝の神酒を下賜して貰う事くらい問題無いと思うわよ」
「…………確かに」
「…………そうですね」
「それでどう、私達の仲間にならない?
何なら王族に友人が居るから邪神を倒したら神酒 を貰える様に交渉してあげるわ」
マーリンの言葉に目を見開いたジンとバッカスは2人でヒソヒソと相談し始めた。
そして…………
「冒険者として世界の危機を放っておく訳にはいかん!」
「世界の平和の為に協力してやるぜ!」
「「「…………………………」」」
こうして俺達は新たな仲間、ジンとバッカスに出会ったのだった。
「か、か、風よ!」
マーリンが風属性魔法を発動させる。
かなり詠唱を省略した呪文だったが、無事魔法は発動し俺達の落下速度が遅くなる。
しかし、流石に上まで身体を押し上げる事は出来ない。
「勇気と肉体を司る者よ 我らに力を 防御力強化」
マーリンは更に強化魔法を重ねる。
ありがたいがコレは地面に激突する事は確定という事か……
俺は覚悟を決めてその時を待つ。
そして…………
ドゴッ!!!
ん?
思ったより痛く無い。
マーリンが補助魔法を掛けてくれていたとは言えあの高さから落ちて大してダメージを受けないはずがない。
「な、何じゃお主ら!」
「何処から落ちて来やがった!」
俺達の前には弓を構えたエルフと戦鎚を構えたドワーフが居た。
彼らは俺達を警戒して武器を手にしていたのではない。
彼らは戦闘中だったのだ。
そして、彼らが戦っていたのは俺達の下にいる大きな熊、エビルグリズリーだった。
エビルグリズリーは不意に頭上から落ちて来た物体(俺達)によって意識を失っていた。
取り敢えず目を覚まさないうちにトドメをと言われたので俺達は素直に場所を譲り、彼らがエビルグリズリーを仕留めるのを待つ。
エビルグリズリーにトドメを刺した2人がこちらへとやって来る。
「それで、見たところお主達は冒険者の様じゃが、何故上から落ちてきたのじゃ?」
「まっ大方ドジって落とし穴にでも落ちたんだろ?」
ドワーフの疑問にエルフが呆れた様に答えるが、まさにその通りなので反論する事も出来ない。
それよりもドワーフとエルフの2人組の冒険者だ。
彼らは俺達の探していた冒険者の可能性が高い。
2人は落とし穴などと言う古典的なトラップにかかってしまった俺達に呆れた様な視線を向けて来る。
俺はその辺を誤魔化す様に2人に尋ねた。
「ところでもしかして貴方達はCランクパーティの《溢れる盃》のジンとバッカスか?」
「ん?何じゃワシらを知っておるのか?」
「てめぇら何者だ?」
俺達は周囲に魔物の気配がない事を確認すると、マーリンに結界を張って貰い、2人に勇者や精霊に関する事柄を話した。
「なんと、あの薬屋の光る斧には精霊の力が宿っておったと言うのか⁉︎」
「つー事はバッカスの腕の痣はその精霊の紋章だって事か」
バッカスの腕に有ったのは正しく地の紋章だった。
俺は彼らに邪神を倒す為、共に戦って欲しいと告げる。
しかし……
「断る」
「な、何故だ?」
「ワシらにはワシらの目的がある」
「目的?」
「ああ、俺達はある品物を探している」
「それは?」
「神酒だ」
「ネクタル?」
聞き覚えのない言葉に首をかしげると、物知りなマーリンが教えてくれる。
「神が醸造したと言われるお酒よ。
ダンジョンからごく稀に発見される希少品で、現存する物は全て国宝として保管されているわ」
「つまり凄い酒って事か」
「まぁ、簡単に言うとそうよ」
そう言うとマーリンは不機嫌そうに2人に詰め寄る。
「あんた達は、邪神を倒す事より酒を探す事を優先するというの?
そんな事より使命を全うするベきじゃないの?」
「そんな事は俺達の勝手だろ」
「お主らからすればくだらぬ目的かも知れぬが、ワシらはコレに命を懸けておる。
現存する物は国宝であり手にする事は叶わん。
ならばダンジョンで発見するしかあるまい。
例えそれが砂漠で塩を拾う様な物であってもな」
「でも!」
「よせ、マーリン」
「そうですよ、マーリン。
冒険者である私達が、他の冒険者に何かを強要する事は出来ません」
「ああ、冒険者は自己責任、自分の行動は自分で決める。
誰かに強制されて良いものではない」
「そうだけど……」
マーリンは渋々引き下がる。
「悪かったな、2人とも」
俺が2人に謝罪すると彼らも気にするなと言ってくれる。
「なに、普通は邪神と戦う英雄になる方を選ぶのだろう。
おかしいのは俺達の方さ」
「うむ、共に旅をする事は叶わぬが、何かあれば出来る範囲で手を貸そう」
俺達はジンとバッカスと握手を交わすと彼らから聞いた帰り道に向かって歩き出す。
「マーリン?」
しかし、マーリンは腕を組んでその場から動かなかった。
「ねぇ、貴方達は神酒を手に入れる為に僅かな可能性に懸けてダンジョンに潜っているのよね?」
「ん?そうだと言っておろう」
「私達と一緒に邪神と戦ってくれれば神酒を手に入れる事ができるわよ?」
「「な、なんだと⁉︎」」
「お、おいマーリン、本当か?」
「マーリン、嘘は良くないですよ」
「嘘じゃ無いわよ。
邪神を倒せば英雄よ。
それ程の功績を上げれば褒賞として国宝の神酒を下賜して貰う事くらい問題無いと思うわよ」
「…………確かに」
「…………そうですね」
「それでどう、私達の仲間にならない?
何なら王族に友人が居るから邪神を倒したら神酒 を貰える様に交渉してあげるわ」
マーリンの言葉に目を見開いたジンとバッカスは2人でヒソヒソと相談し始めた。
そして…………
「冒険者として世界の危機を放っておく訳にはいかん!」
「世界の平和の為に協力してやるぜ!」
「「「…………………………」」」
こうして俺達は新たな仲間、ジンとバッカスに出会ったのだった。
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