上 下
311 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

116話 ダンジョン潜入

しおりを挟む
  ダンジョンに潜る為、装備を点検しているとソフィアがやって来た。
  しかし、彼女はいつも付けていた要所を鉄で補強した皮鎧ではなく、兜こそ被ってはいないが全身鎧フルプレートアーマーを身に付けている。

「ソフィア、その鎧は?」

  マーリンも疑問に思ったのだろう。
  ソフィアに問い掛ける。

「ダンジョンで使っていた鎧です。
  私はソロの時期が長かったので不意打ちなどを警戒して全身鎧を使っていたんですよ」

「そう言う物なのか?」

「私は罠などを防御力で無理やり突破していましたからね。
  もちろん、スカウト系かレンジャー系のスキルを持っていれば罠を避けたり解除できますけど」

「俺達には無いからな」

「私は一応、知識としては知っているわ」

「じゃあ、マーリンが斥候でソフィアが中心でフォロー、俺が殿で良いかな?」

「ダメよ」

「ダメです」

「だが、パーティのバランスを考えればこれが1番いい編成だと思うぞ」

  マーリンとソフィアに隊列の案を即、却下されてしまった。
  しかし、この案に自信があった俺は、2人に食い下がった。

「エリオ、あんたは今魔力を使えないのよ。
  正面から戦うだけなら剣術でどうにかなるけど、殿は背後を警戒する必要があるわ」

「そうですよ。
  身体強化が使えない状態で不意打ちを受ければ命の危険があります。
  エリオは真ん中で援護に徹するべきです」

  …………反論のしようがなかった。
  ダンジョン内での隊列が決まり、保存食やロープなどの道具の確認を終えた俺達はダンジョンへと向かった。
  ダンジョンの入り口の周りには臨時のパーティメンバーを募集する者達や仲間と待ち合わせている奴など、朝から多くの冒険者がたむろしていた。
  そして、冒険者が集まれば、それを狙った屋台などが集まって来る。
  
「なんか思ったより賑やかね」

「ダンジョンの周りは自然と人が集まり、人が集まると活気が生まれますからね」

  俺達は人波を抜けてダンジョンの入り口へ向かう。
  
「このダンジョンにはまだ名前がないみたいですね」

「名前?」

「はい、調査が進んだダンジョンには名前が与えられ、ランクが設定されます」

「ダンジョンにもランクがあるのか?」

「そうです。
  ダンジョンランクは、同ランクの冒険者パーティが最深部に到達して無事生還できるくらいの難易度とされています。
  その為、最深部が確認されていないダンジョンはAランクダンジョンとなります」

「じゃあ、ここのダンジョンもAランクダンジョンなの?」

「一応、そうですね。
  最深部はまだ確認されていませんから」

「もしかしたら奥にお宝が眠っているかもな」

「あんたね、私達の目的はあくまでも《溢れる盃》の2人を探すことなのよ」

「わ、わかってるって。
  もしもだよ、もしも」

「もしもダンジョンを攻略出来たらダンジョンに名前をつける事が出来るかも知れませんよ」

「名前を?」

「はい、管理しているのが領主様などだと無理ですが、ここは冒険者ギルドが管理していますからね。
  冒険者ギルドが管理する名無しのダンジョンは基本的に攻略した冒険者に名付けの権利が与えられます。
  もっとも、何年も攻略されなければギルドが名前をつけてしまいますけど」

  ソフィアからダンジョンの話を聞きながら入り口へ向かう。
  入り口の前には警備の冒険者が立っていて、ダンジョンから魔物があふれ出さないように見張っている。
  その冒険者と一言二言言葉を交わし、俺達はダンジョンへと足を踏み入れるのだった。

しおりを挟む
感想 890

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

処理中です...