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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
115話 冒険者リスト
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冒険者ギルドの出張所には、おなじみのカウンターなどは無く、長机が並べられ、クエストボードの代わりなのか壁に立て掛けられた板に依頼書が貼り付けられている。
ダンジョンで採取できる鉱石や魔物の素材、薬草などの納品依頼やダンジョンの調査、ダンジョン周辺の警備など、内容の多くがダンジョンに関係する物だ。
俺達は長机に向かい、手の空いているギルド職員に話しかける。
「すみません」
「どうした?」
対応してくれたのは40代くらいの男性だ。
その身体を包む筋肉は冒険者と比べても見劣りする事はない。
おそらく最近まで冒険者として活動していたのだろう。
引退した冒険者がギルド職員にスカウトされる事はよくある事だ。
冒険者が持ち込む魔物の解体や荒くれ者への対処など、冒険者ギルドでの仕事には事欠かない。
ここの様に街中ではない場所に冒険者ギルドの出張所を開くときにも頼られるだろう。
「情報を買いたいのですが?」
「何が知りたいんだ?」
「ここ20日間でダンジョンに入った冒険者パーティのリストをお願いします」
「銀貨1枚だな」
俺は懐から銀貨を1枚取り出すときギルド職員に手渡した。
「ちょっと待ってな」
ギルド職員は背後の棚からファイルを取り出すとページをめくり始めた。
そして、目的のページを見つけて手を止めたギルド職員はそのページを開いてファイルを机の上に広げた。
「このページと次のページが20日以内にダンジョンに入った冒険者だ。
チェックが付いている者は帰還が確認されている冒険者だ。
だが、ギルドへ報告を後回しにして休んでいる奴も居るかも知れん。
それにギルドに連絡せずにダンジョンへ潜って居る奴もいる。
だからそのリストが絶対に正しい訳じゃないぞ」
「はい」
ギルド職員に出して貰ったリストを確認して行くと、その中にジンとバッカスの名前を見つけた。
パーティ名を確認すると《溢れる盃》とあるので間違いないだろう。
2人の名前の横にはチェックが入っていない。
つまり、ジンとバッカスはまだダンジョンの中に居ると言う事だ。
「どうする?
俺達も追うべきかな?」
「そうですね。
記録によると2人がダンジョンに入ったのは昨日の朝です。
ダンジョンの探索では数日で戻る場合もありますが30日以上潜る場合もあります。
なるべく早く王都に戻る為、ここは私達も追い掛けてダンジョンに入るべきだと思います」
「マーリンはどう思う」
「そうね。
数日間は、ダンジョン内を探して、見つからなければ外で待ちましょう」
「入れ違いにならないか?」
「そんなのギルドに伝言を残しておけばいいでしょ。
わざわざギルドで記録を残して居るんだから戻ってきたらここにやって来るわよ」
「なるほど」
俺はギルド職員に、もしジンとバッカスと言う冒険者が戻って来たら数日待って欲しいと伝えて貰える様に頼む。
「伝えるのは良いが強制は出来ないぞ?」
「なら《溢れる盃》の2人に指名依頼を出して下さい。
依頼内容は『5日間ここに留まる事』でお願いします」
「まぁ、それなら構わねぇ。
だが、相手はCランクパーティだ。
依頼料は金貨1枚と銀貨2枚、もしお前さん達がダンジョン内で2人を見つけて依頼をキャンセルすれば返金するが、キャンセル料として銀貨2枚を払って貰うことになるなぞ?」
「良いのか?」っと尋ねるギルド職員に頷き金貨と銀貨を手渡した。
そして、ダンジョン内の情報を売ってもらう。
「ダンジョンに入るなら気を付けろよ。
この情報はあくまでも『今の所』だからな。
ダンジョン内では、どんな事が起こるか分からない」
「はい、ありがとうございます」
ギルドの出張所を後にした俺達は、ギルドの近くで野営して明日の朝からダンジョンに入る事になった。
ダンジョンで採取できる鉱石や魔物の素材、薬草などの納品依頼やダンジョンの調査、ダンジョン周辺の警備など、内容の多くがダンジョンに関係する物だ。
俺達は長机に向かい、手の空いているギルド職員に話しかける。
「すみません」
「どうした?」
対応してくれたのは40代くらいの男性だ。
その身体を包む筋肉は冒険者と比べても見劣りする事はない。
おそらく最近まで冒険者として活動していたのだろう。
引退した冒険者がギルド職員にスカウトされる事はよくある事だ。
冒険者が持ち込む魔物の解体や荒くれ者への対処など、冒険者ギルドでの仕事には事欠かない。
ここの様に街中ではない場所に冒険者ギルドの出張所を開くときにも頼られるだろう。
「情報を買いたいのですが?」
「何が知りたいんだ?」
「ここ20日間でダンジョンに入った冒険者パーティのリストをお願いします」
「銀貨1枚だな」
俺は懐から銀貨を1枚取り出すときギルド職員に手渡した。
「ちょっと待ってな」
ギルド職員は背後の棚からファイルを取り出すとページをめくり始めた。
そして、目的のページを見つけて手を止めたギルド職員はそのページを開いてファイルを机の上に広げた。
「このページと次のページが20日以内にダンジョンに入った冒険者だ。
チェックが付いている者は帰還が確認されている冒険者だ。
だが、ギルドへ報告を後回しにして休んでいる奴も居るかも知れん。
それにギルドに連絡せずにダンジョンへ潜って居る奴もいる。
だからそのリストが絶対に正しい訳じゃないぞ」
「はい」
ギルド職員に出して貰ったリストを確認して行くと、その中にジンとバッカスの名前を見つけた。
パーティ名を確認すると《溢れる盃》とあるので間違いないだろう。
2人の名前の横にはチェックが入っていない。
つまり、ジンとバッカスはまだダンジョンの中に居ると言う事だ。
「どうする?
俺達も追うべきかな?」
「そうですね。
記録によると2人がダンジョンに入ったのは昨日の朝です。
ダンジョンの探索では数日で戻る場合もありますが30日以上潜る場合もあります。
なるべく早く王都に戻る為、ここは私達も追い掛けてダンジョンに入るべきだと思います」
「マーリンはどう思う」
「そうね。
数日間は、ダンジョン内を探して、見つからなければ外で待ちましょう」
「入れ違いにならないか?」
「そんなのギルドに伝言を残しておけばいいでしょ。
わざわざギルドで記録を残して居るんだから戻ってきたらここにやって来るわよ」
「なるほど」
俺はギルド職員に、もしジンとバッカスと言う冒険者が戻って来たら数日待って欲しいと伝えて貰える様に頼む。
「伝えるのは良いが強制は出来ないぞ?」
「なら《溢れる盃》の2人に指名依頼を出して下さい。
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「まぁ、それなら構わねぇ。
だが、相手はCランクパーティだ。
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「良いのか?」っと尋ねるギルド職員に頷き金貨と銀貨を手渡した。
そして、ダンジョン内の情報を売ってもらう。
「ダンジョンに入るなら気を付けろよ。
この情報はあくまでも『今の所』だからな。
ダンジョン内では、どんな事が起こるか分からない」
「はい、ありがとうございます」
ギルドの出張所を後にした俺達は、ギルドの近くで野営して明日の朝からダンジョンに入る事になった。
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