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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
94話 襲来
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翌日、明け方から見張りをしていた俺とマーリンは、みんなを起こして昨日の残りのスープに焼きしめたパンを浸して腹に詰め込んだ。
「取り敢えずザネリの方はコレで解決だな」
「そうだな、どうする?
街に戻るなら精霊の庭の入り口までなら送るぞ?」
俺がザネリに尋ねるとザネリは首を横に振る。
「幾ら何でもそこまで不義理じゃないわよ。
あなた達は精霊の庭の中心地にあるって言う祠を調べに行くんでしょ?
一緒に行くわ」
「そうか、頼もしいよ」
街に戻るまでザネリはパーティに加わってくれる様だ。
食後に少し身体を動かしてルートを確認してから祠を目指して出発した。
道中、襲い掛かって来るホブゴブリンやリザードマンを打ち倒しながら精霊の庭の中を進んで行った。
戦闘と探索、そして野営を続けること6日、ようやくギルドの情報に有った祠を発見した。
「コレが例の祠ね」
「コレ自体は特に変わった所はないな」
「取り敢えず周囲を調べてみましょう」
俺達は手分けして祠の周囲を調べることにした。
手分けと言ってもここは危険地帯である精霊の庭のど真ん中だ。
お互いの姿が見える範囲で行動する様に気をつける必要がある。
そうして注意を払いながら探索したのだが……
「何もないな」
「こっちもだ」
「こちらも特に変わったものは見つかりません」
「これはハズレかも知れないわね」
「そもそもみんなは何を探していたんだ?」
ザネリが疑問を口にするが明確に答える事は出来ない。
「仕方ない。
今日はここで野営して明日から撤退を開始しよう」
俺の言葉にみんなが頷いた。
そして、野営の準備に取り掛かろうとした時だった。
祠がある開けた場所に1人の男が現れた。
男は俺達の方にゆっくりと歩いてくる。
俺達は男の姿を目にした瞬間武器を抜き戦闘態勢を取っていた。
しかし、俺達が武器を構えても男は構わず近づいて来る。
俺達が男を警戒している大きな理由、それは男の姿だった。
額に小さな2本の角を持ち、褐色の肌の男、その特徴は話に聞いただけだったが見間違える事は無いだろう。
「魔族か……」
「よぉ、人間共ぉ」
魔族の男が右手を振り何かを投げて寄越した。
魔族の男が投げた物は俺達のすぐ前に落ちて砕ける。
目の前で砕けた物が何かを理解した時俺達に衝撃が走った。
「そんな……シオン!」
「な、て、てめぇ!」
マーリンの悲鳴とカートの怒号が飛ぶ。
ソフィアも青い顔をしている。
目の前に転がっていたのはミルミット王国からここまで俺達を運んでくれたエロ馬、シオンの首だった。
シオンは石にされ、首から上だけが転がっている。
「その馬はお前らのだろぅ?」
魔族の男は俺達に舐め回すかの様な視線を向けると俺とマーリンとソフィアを指差す。
「お前らのその腕のアザ、そりゃぁ精霊の紋章だなぁ。
紋章持ちが3人、内2人は女、て事はお前」
魔族の男が俺を指差す。
「お前が勇者エリオだなぁ」
俺達の間に緊張が走る。
ザネリは一瞬困惑の表情を見せたがすぐに警戒する顔に変わる。
「たく面倒クセェなぁ、お前、村で大人しくしとけよ。
そうすりゃぁ簡単にすんだよによぉ」
魔族の男は面倒くさそうに話す。
いや、それは俺達に向かって言ったと言うよりも独り言に近いのかも知れない。
「な、何なのよ……あんた、何者なの!」
マーリンが酷く焦っている。
「なんで、なんで眼にそんな禍々しい魔力を宿して平気なのよ!」
「はぁ~ん?
小娘、そこまで分かってるなら俺様の事も知っているんじゃないかぁ?」
「………………邪眼の魔王、コルダール」
「取り敢えずザネリの方はコレで解決だな」
「そうだな、どうする?
街に戻るなら精霊の庭の入り口までなら送るぞ?」
俺がザネリに尋ねるとザネリは首を横に振る。
「幾ら何でもそこまで不義理じゃないわよ。
あなた達は精霊の庭の中心地にあるって言う祠を調べに行くんでしょ?
一緒に行くわ」
「そうか、頼もしいよ」
街に戻るまでザネリはパーティに加わってくれる様だ。
食後に少し身体を動かしてルートを確認してから祠を目指して出発した。
道中、襲い掛かって来るホブゴブリンやリザードマンを打ち倒しながら精霊の庭の中を進んで行った。
戦闘と探索、そして野営を続けること6日、ようやくギルドの情報に有った祠を発見した。
「コレが例の祠ね」
「コレ自体は特に変わった所はないな」
「取り敢えず周囲を調べてみましょう」
俺達は手分けして祠の周囲を調べることにした。
手分けと言ってもここは危険地帯である精霊の庭のど真ん中だ。
お互いの姿が見える範囲で行動する様に気をつける必要がある。
そうして注意を払いながら探索したのだが……
「何もないな」
「こっちもだ」
「こちらも特に変わったものは見つかりません」
「これはハズレかも知れないわね」
「そもそもみんなは何を探していたんだ?」
ザネリが疑問を口にするが明確に答える事は出来ない。
「仕方ない。
今日はここで野営して明日から撤退を開始しよう」
俺の言葉にみんなが頷いた。
そして、野営の準備に取り掛かろうとした時だった。
祠がある開けた場所に1人の男が現れた。
男は俺達の方にゆっくりと歩いてくる。
俺達は男の姿を目にした瞬間武器を抜き戦闘態勢を取っていた。
しかし、俺達が武器を構えても男は構わず近づいて来る。
俺達が男を警戒している大きな理由、それは男の姿だった。
額に小さな2本の角を持ち、褐色の肌の男、その特徴は話に聞いただけだったが見間違える事は無いだろう。
「魔族か……」
「よぉ、人間共ぉ」
魔族の男が右手を振り何かを投げて寄越した。
魔族の男が投げた物は俺達のすぐ前に落ちて砕ける。
目の前で砕けた物が何かを理解した時俺達に衝撃が走った。
「そんな……シオン!」
「な、て、てめぇ!」
マーリンの悲鳴とカートの怒号が飛ぶ。
ソフィアも青い顔をしている。
目の前に転がっていたのはミルミット王国からここまで俺達を運んでくれたエロ馬、シオンの首だった。
シオンは石にされ、首から上だけが転がっている。
「その馬はお前らのだろぅ?」
魔族の男は俺達に舐め回すかの様な視線を向けると俺とマーリンとソフィアを指差す。
「お前らのその腕のアザ、そりゃぁ精霊の紋章だなぁ。
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「な、何なのよ……あんた、何者なの!」
マーリンが酷く焦っている。
「なんで、なんで眼にそんな禍々しい魔力を宿して平気なのよ!」
「はぁ~ん?
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