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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

90話 冒険者ザネリ

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  ザネリと言う冒険者はギルド職員に食って掛かっていたがギルド職員は頑として譲らなかった。
  
「ザネリさんの事情は把握しておりますがお一人では死にに行く様なものです。
  せめて数人の仲間を探すか、実力のある冒険者に依頼をして下さい」

「でも、私には時間が……」




「彼女は何か精霊の庭に行かなければならない事情があるのかな?」

「ああ、Cランク冒険者のザネリさんですね。
  あまり個人的な事情をお話しする事は出来ないのですが、確かに彼女は精霊の庭に行く事を求めています。
  しかし、精霊の庭はDランクの危険地帯です。
  最低でもDランクパーティでなくては危険なのです」

  ターナさんから簡単な説明を受けたが詳しい事情は本人に聞いてくれと言われた。
  精霊の庭に関する情報を纏めた冊子を買うと、俺達はギルドに併設された酒場で暗い顔をして果実水を口にしているザネリに話しかけた。

「やあ、君は精霊の庭に行きたと聞いたんだけど?」

「だったら何?
  あんた達も精霊の庭に行くなんて自殺志願者だとか言う口なの?
  だったら放っておいて」

  今までそんな事を散々言われて来たのだろう。
  ザネリはこちらに視線を向けることも無く言い放った。

「いや、そうじゃない。
  俺達も、これから精霊の庭に向かうつもりなんだ」

  俺の言葉にザネリは驚き顔をあげる。

「本当⁉︎」

「ええ、もし貴女が何か精霊の庭の素材を求めているなら依頼をしてくれれば手に入れてくるわよ?」

  マーリンの提案にザネリは右手を口元に当てて考え込んだ。
  そのまま数分考えた後、ザネリはようやく口を開いた。

「依頼料を払うわ。
  でも採取依頼じゃない。
  私を一緒に精霊のに連れて行って欲しいの」

「一緒に?」

「ええ、私は以前アンデットの討伐依頼を受けたのだけどその時アンデットの攻撃で死の呪いを受けてしまったのよ。
  王都の神父様でも解呪出来ない強力な呪いだったわ。
  神父様によると残りの時間はあまりないのよ。
  解呪するには精霊の庭にある生命の樹の樹液を飲む必要があるそうなのよ。
  でも私にはもう時間が無い。
  だから一緒に連れて行って欲しいの」

「死の呪か…………どうする?」

  俺は振り返り仲間達に尋ねる。

「別に良いと思うわ。
  戦力になってくれるならお金も要らないでしょ」

「そうだな、俺も構わないぜ」

  マーリンやカートは問題ないようだ。

「魔物の攻撃による後遺症ですか……私も賛成です」

  ソフィアは何か思うことが有ったのか、少し言葉を区切ったがすぐに賛成した。
  俺は仲間達に頷くとザネリに向き直る。

「俺達は問題ない。
  明日にでも出発するつもりだけど大丈夫か?」

「ええ、問題ないわ」

「俺はエリオ、Dランクパーティ《精霊の紋章》のリーダーだ」

「私はザネリ、Dランク冒険者よ」

 俺達は握手を交わしお互いの情報を交換し、旅の打ち合わせをするのだった。

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