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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
80話 森の中
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わたしが振り下ろしたピリオドは正面の巨大な狼……Bランクの魔物グレーターウルフを抵抗無く斬り伏せました。
「…………多いですね」
グレーターウルフは単体ならBランクですが群れだと規模によってランクが上がります。
わたしを取り囲んでいるのは18体、先程1体倒したので残りは17体です。
ここはガストの近くにある世界樹の若木の根を降りた危険地帯、ナーガを討伐した湖の近くの森です。
最近は魔境に近い危険地帯での採取依頼や討伐依頼を中心に受けています。
今日も依頼品のマンドラゴラを(ついでに自分の分も)採取した帰りだったのですが、面倒なのに絡まれてしまいました。
「鱗鎧」
「グゥルル!!!」
「ガウッ!」
「フー!」
「ぐっ!」
正面の攻撃を受け止めたのですが、背後からの攻撃をいくつか受けてしまいました。
鱗鎧と夜天のローブによって出血は有りませんが衝撃によるダメージは通ります。
「深淵より生まれし闇よ 貫き 殲滅せよ
アビスランス」
深淵属性の槍を創りグレーターウルフが固まっていた場所に飛ばしますが、俊敏なグレーターウルフは即座に跳びのき、1番位置が悪かった1匹でも軽くかすっただけでした。
攻撃力の高い深淵属性魔法はかすっただけでも肉を抉り、傷口をズタズタにしていますが、わたしの深淵属性魔法はまだ練度も低く命中率は低いです。
ならば魔法のもう1つの使い道……わたしの手の平の中に光の鱗が1枚現れました。
そしてその鱗は次第に黒く染まって行きます。
さらに枚数を増やし周囲に浮かべた光の鱗も黒く染めて行きます。
リゼさんの『エア』や、わたしの『スケイルアックス白(仮)』の様に凝縮した魔力を属性変化させる事で近接戦闘で深淵属性の攻撃力を活かす事が出来ると考えたのですが、いかんせんコントロールが難しく今はまだ12~3枚程の黒い鱗を創るのが限度です。
コレはコツなどではなく反復練習を重ねていくしか有りません。
「ふっ!」
2体のグレーターウルフを纏めて斬り裂き素早く飛び退きました。
わたしを叩き潰そうとしたグレーターウルフの腕を斬り飛ばしバランスを崩した所で首を斬ります。
「はぁ、はぁ、やっかいですね……」
わたしは数を減らしたグレーターウルフの群れを睨み付けるのでした。
===========================
「コノ先ダ、己レハ、コレ以上近付ク事ガ出来ナイ」
Sランクの魔物、サイクロプスのスルトに案内され森の奥へ奥へと進む。
スルトの身体には傷などは無く、リゼッタとの戦闘で受けた無数の傷は既に治癒している。
サイクロプスの持つ驚異的な回復力に依るものだろう。
スルトは自分を打ち負かしたリゼッタを止める事なく案内する。
「そう、ありがと」
リゼッタはそんなスルトを特に気にかける事なく指し示された方角に足を進める。
しばらく歩くと血の匂いが濃くなって来る。
森の中、少し開けた広場に強力な魔物の死体が積み重なっている。
「久しぶりね、フィル」
「リゼッタか……何の用だ?」
フィルと呼ばれたのは小柄な男だった。
リゼッタよりも身長は低く、男と言うより少年と言う方がしっくりと来るだろう。
だが、フィルは少年ではなくホビット族だった。
低い身長もホビット族としては平均的な物だ。
「情報を持ってきてあげたのよ。
今度からもっと連絡のつきやすい場所に篭りなさい」
「情報……興味がないな」
「あら、でもこの話を聞いたらあなたはわたしに感謝するわよ?」
リゼッタは目の前に立つ少年の様な男に挑発的な笑みを浮かべるのだった。
「…………多いですね」
グレーターウルフは単体ならBランクですが群れだと規模によってランクが上がります。
わたしを取り囲んでいるのは18体、先程1体倒したので残りは17体です。
ここはガストの近くにある世界樹の若木の根を降りた危険地帯、ナーガを討伐した湖の近くの森です。
最近は魔境に近い危険地帯での採取依頼や討伐依頼を中心に受けています。
今日も依頼品のマンドラゴラを(ついでに自分の分も)採取した帰りだったのですが、面倒なのに絡まれてしまいました。
「鱗鎧」
「グゥルル!!!」
「ガウッ!」
「フー!」
「ぐっ!」
正面の攻撃を受け止めたのですが、背後からの攻撃をいくつか受けてしまいました。
鱗鎧と夜天のローブによって出血は有りませんが衝撃によるダメージは通ります。
「深淵より生まれし闇よ 貫き 殲滅せよ
アビスランス」
深淵属性の槍を創りグレーターウルフが固まっていた場所に飛ばしますが、俊敏なグレーターウルフは即座に跳びのき、1番位置が悪かった1匹でも軽くかすっただけでした。
攻撃力の高い深淵属性魔法はかすっただけでも肉を抉り、傷口をズタズタにしていますが、わたしの深淵属性魔法はまだ練度も低く命中率は低いです。
ならば魔法のもう1つの使い道……わたしの手の平の中に光の鱗が1枚現れました。
そしてその鱗は次第に黒く染まって行きます。
さらに枚数を増やし周囲に浮かべた光の鱗も黒く染めて行きます。
リゼさんの『エア』や、わたしの『スケイルアックス白(仮)』の様に凝縮した魔力を属性変化させる事で近接戦闘で深淵属性の攻撃力を活かす事が出来ると考えたのですが、いかんせんコントロールが難しく今はまだ12~3枚程の黒い鱗を創るのが限度です。
コレはコツなどではなく反復練習を重ねていくしか有りません。
「ふっ!」
2体のグレーターウルフを纏めて斬り裂き素早く飛び退きました。
わたしを叩き潰そうとしたグレーターウルフの腕を斬り飛ばしバランスを崩した所で首を斬ります。
「はぁ、はぁ、やっかいですね……」
わたしは数を減らしたグレーターウルフの群れを睨み付けるのでした。
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「コノ先ダ、己レハ、コレ以上近付ク事ガ出来ナイ」
Sランクの魔物、サイクロプスのスルトに案内され森の奥へ奥へと進む。
スルトの身体には傷などは無く、リゼッタとの戦闘で受けた無数の傷は既に治癒している。
サイクロプスの持つ驚異的な回復力に依るものだろう。
スルトは自分を打ち負かしたリゼッタを止める事なく案内する。
「そう、ありがと」
リゼッタはそんなスルトを特に気にかける事なく指し示された方角に足を進める。
しばらく歩くと血の匂いが濃くなって来る。
森の中、少し開けた広場に強力な魔物の死体が積み重なっている。
「久しぶりね、フィル」
「リゼッタか……何の用だ?」
フィルと呼ばれたのは小柄な男だった。
リゼッタよりも身長は低く、男と言うより少年と言う方がしっくりと来るだろう。
だが、フィルは少年ではなくホビット族だった。
低い身長もホビット族としては平均的な物だ。
「情報を持ってきてあげたのよ。
今度からもっと連絡のつきやすい場所に篭りなさい」
「情報……興味がないな」
「あら、でもこの話を聞いたらあなたはわたしに感謝するわよ?」
リゼッタは目の前に立つ少年の様な男に挑発的な笑みを浮かべるのだった。
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