神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

35話 報告会

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「なるほど」

  わたしの話を聞き終えたフレイド様は、『ふぅー』と息を吐き紅茶を口にします。

「しかし、信じられませんね。
  ユウ先生が一方的に負けるなんて……」

「アルさん、世の中にはわたしより強い人なんて沢山居ますよ」

  アルさんに一言釘を刺しておきます。

「冒険者ギルドとしてはどう見る?」

  フレイド様がギルドマスターのフューイさんに見解を求めます。
  フューイさん、ギルドマスターになりました。
  昇進した、と言うか押し付けられたと言うのが正しいです。
  リゼさんはフラリと旅に出てしまったのです。
  フューイさんが言うにはリゼさんは元々、いつでも自由に辞めらると言う条件でギルドマスターをやっていたそうですから仕方ないですね。

「そうですね。
  魔族の目的はリュウガ王国に対する破壊工作ではなく『水のオーブ』でした。
  ならば、似た様なマジックアイテムが狙われる可能性も十分にあります。
  そして、膨大な魔力を秘めたオーブを狙ったと言うことは、その魔力を何かに使うつもりなのでしょう」

「何か、とは?」

  わたしの質問にフューイさんは軽く首を振りながら「分かりません」と答え、少しの沈黙の後、最悪の予想を口に出しました。

「……………邪神の復活…………とか……」

「「……………………」」

「それだけは絶対防がねばならん。
  各国に連絡を入れ、オーブやそれに準じるアイテムを探し、守らなければならないな」

  フレイド様が強く宣言しました。

「ユウ殿、この件は王都には?」

「シアさん……シンシア・フォン・レブリック様が伝えているはずです」

「そうか……わたしも近いうちに王都に赴くとしよう」

  フレイド様の話が途切れた所でフューイさんが独り言の様に口を開く。

「しかし、魔王リセルシアですか。
  聞かない名前ですね」

「まだ少女でしたから最近魔王になったのではないのですか?」

  わたしの意見はフレイド様によって否定されます。

「いや、邪眼使いのコルダールや魔導師シルバリエ、それに武闘王グレーズと言った有名所程ではないが、リセルシアという名も聞いた事がある」

「20年前から少女のままなんですか?」

「いや、私も自身が見たわけではないが、魔王リセルシアは二本の剣を手にした20歳くらいの女剣士だと聞いた。
  もしかしたら魔王リセルシアは世襲制なのかも知らないな」

「二代目……と言うことですか」

「何代目かは、分からんがな」

「兎に角、この街は魔境に面していますからね。
  特に警戒を、強くする必要があるでしょう」

  こうして、数時間続いた話し合いは、フューイさんがそう締めくくりました。




「はぁん、そんで手も足もですボコボコにされたって事か?」

「まぁ、そう言えなくもないですね」

  わたしは雑談まじりにリュミナスさんに頼まれていたポーションを手渡します。

「ユウも人間だったって事だな」

「なんですかそれは、わたしは人間ですよ」

  ポーションの代金を受け取り、リュミナスさんを見送ります。
  さて、午後からはギルドで何か依頼でも受けましょうかね?
  わたしは、リリに留守を頼み、雷鳥の止まり木を出るのでした。
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