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三部
004_遊星マリアージュ
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「……懐かしい夢だったな」
目が覚めた俺は、さっきまで見ていた夢。
いや、実際にあったことだから夢といっていいのか? いいんだよな。
つまり俺にも甘酸っぱい青春というものがあったのだ。
学生時代に二年年下のマリアとほぼ一年間付き合い、そして別れた。よくある話だ。
それでも俺とマリアはケンカをして別れたわけではなく、その後も友人としてテーブルトークのセッションは続けていた。
年頃の男女がひとつのテーブルを囲んで、キャラクターが生きる死ぬのゲームをやっているんだ。恋愛感情のひとつ起こらないほうがどうかしている。
実際にテーブルトークRPGのコンベンションで知り合って、結婚したという者は多い。もちろん何倍もの破局もある。多くのTRPGサークルの崩壊は、おおむね男女関係がこじれからくることを俺は知っている。
その点、俺とマリアはうまくきれいに青春の1ページとして終わらせることができたといえる。
……たとえ、マリアが一方的に俺を好きになってくれて、別れるときも一方的にフラれられたとしてもだ。
「若かったんだ。俺だってあのときはまだ十代の若造だったんだ!!」
若かりし日の記憶に思わずベッドを転がり回ってしまう。
「……あの。メテオ様」
「はぁぁぁぁあぃ!!」
熱々のフライパンの上を爆ぜて転がるウインナーみたいな俺に、戸惑いの声がかけられた。
「フィ、フィリア!! どうかされましたか!?」
「ノックはしたのですけれど、お返事どころか妙な声が聞こえてきましたので」
うっ、恥ずい。
どうして俺の盗賊スキルは、敵意がない相手の接近に気づけないんだ……
何度、親しい奴らに無様な姿を見られたことか。
「お気になさらないで下さいまし。わたくしは何も見ていませんから」
「いや、そこまで気を使ってくれなくても。そ、それで何かあったのか?」
「メテオ様にお客様です。“遊星”マリアージュ様と申しておられます」
えっ?
「ほ、本当にマリアなのか!?」
「《嘘感知/センスライ》の魔法で本人確認もしております。メテオ様たち“流れ星”のお仲間である、マリアージュ・ロスタン様に間違いありません」
「ま、マジで!?」
ちょ、ちょっと待って。あんな夢を見たあとで、心の準備がまだできてない。
「メテオ様の執務室にお通ししてありますが……お帰りになってもらいましょうか?」
「ああいや、いいんだ。うん、今行くからって伝えておいてくれ。茶とかは俺がやるからフィリアは仕事に戻って大丈夫」
「承知いたしました。それではマリアージュ様にはそのようにお伝えいたしますわ。それでは失礼いたします」
俺の様子を見て気を利かそうとしてくれたフィリアだが、会いたくないわけじゃないんだ。ただ、マリアのキャラクターといざ会うってなるとなんか緊張して。
「大丈夫だよな、俺。格好とかヘンじゃないよな」
壁にかかった鏡で身だしなみを整えると、ひとつ深呼吸して心を落ち着かせる。
「……よし。会いにいくか!!」
考えてみれば緊張することなんてなかった。マリアとマリアージュはそもそも別人だし、若い頃俺といろいろあったことは関係ないんだし。いやもしかすると俺に会いに来るって名指しで来たんだろ? パーティではなくって俺単体だ。何かこう、マリアージュの身に困ったことがあって俺を頼りにきて、そのままいい関係とかになっちゃったりして。
自室を出て、通路のはさんですぐ向こうは俺の執務室。とは名ばかりの応接室だ。
扉を前に、エヘンと咳払い。あーあーあー。よし、行くか。
扉を開く音に気づいて、応接セットのソファに座った女性が席を立って、こちらを向いた。
すらりと高い身長に冒険者らしい革鎧。いつもは剣を吊るしているであろう腰の金具には、今は何も身につけていない。鎧の隙間から見える素肌はそれまで見たどの人間よりも白い。
振り向いたときに目が合った。
輝くような金髪に青い目。日本人よりもわずかに堀り深い顔。
俺が。杉村が初めて見たときの、マリアそのものの似姿がそこにいた。
「――ま、マリア……だよ、な?」
「もちろんよ。メテオ」
マリアージュが発した声もまた、俺がよく知った若かりし頃のマリアの声だ。
いくぶん低めの、聞くものを落ち着かせる声。
あっ、やばい。
今俺、泣きそう。
なんだよこれ。マリアそのものがコスプレしているみたいじゃないかよ。
懐かしいなあ。みんな元気かなあ。
「――マリア。会いたかった」
声に出してびっくりした。
考えるよりも先に声が出ていた。まるで自分の中にいる自分が声を出したみたいだ。
思うより先に声が出るってやつか。
「わたしもよ」
マリアが。マリアージュが。微笑みを浮かべ、両のてのひらを差し出すように近づいてくる。
「本当に――本当に会いたかった」
「俺も……俺だって会いたかった」
今の俺は杉村ではなくメテオ。
そう気が付かされたのは身長だった。
いざ抱擁を交わそうというとき、マリアは何も変わってはいないが俺の身長が杉村よりも20cmほど低い。
そのため、俺はマリアの腰に抱きつくような形になり、自然と俺の顔はマリアの胸あたりに――いや、もちろんそこは革鎧でガードされているため、心地よい感触は期待できないし、もとよりするつもりもない。
「約束を果たしに来たわ」
だが、マリアは俺の頭を強く抱き寄せ、むしろ積極的に自分の胸に引き寄せてきた。
あっ、これは嬉しいんだけど力がちょっと強い。
なんだよマリア。そんなに俺のことが――ん、約束?
「痛い痛い痛い痛いーーーーッ!!」
マリアは俺の首を両腕で締め付け胸元に引き寄せると、腰を入れて俺の身体をすぱんと跳ね上げた。俗にいう首投げ――
「ちょ、マリ――オァーーーーッ!!」
投げられて強烈に床へと叩きつけられたかと思った刹那、俺の右腕の手首、肘、肩関節までを抵抗使用もないくらいきれいに極められた。
ミリメリ。
そんな音が自分の身体の内側から聞こえたと思った時。
ブツリ。メキッ。ボグッという音が手首と肘と肩関節方面からやってきた。
「オ゛ァ゛ァ゛ーーーーッ!!」
この世界に来てからもっとも激しい激痛に、俺は思うよりも早く絶叫していた。
「何を――ア゛ア゛ァ゛ーーーーッッッ!!」
反射的に空いている左手を反らしてマリアを掴もうとするが、何がなんだかわからないうちにマリアは俺から離れていた。その際、しっかりと俺の右手をねじり上げつつ。
「約束通り、メテオ。あなたを殺してあげる」
「な、なんで!?」
俺なんも悪いことしてないよ!? 約束だって何も、いや俺じゃないころのメテオが何か――あ゛っ。
激痛の中、倒れている俺が起きる間もなく、マリアの腕が首に回されていた。
メキ……メキメキメキ。
そんな音が首の中から鼓膜に直接響くような気がした。
「これいけない音! やめてやめて!!」
「利き腕を壊してこう組まれたら、もう魔術師に勝ち目はないわ。たとえあなたがアンデッドといえども――」
「死んでないし! 俺は生身だ!! ほんとダメな音してるから!?」
でかい万力に頭を挟まれているみたいだ。
俺は力の限り身体を動かし、頭をはずそうとするもののビクともしない。
おいおい! 俺のレベルとステータスの高さを上回っているってことか!?
「あなたを念入りに壊したら、アーティアとわたしで念入りに浄化してあげるから安心して。不死の王といえどもメテオの心がまだ残っているうちに――」
よりによって俺をペスブリと同じ骸骨キングと同じ扱いとは!!
「いい加減に――」
「きゃっ!」
まだ無事な左腕でなんとかマリアの足首を掴む。
そして力任せに握って動かすと、さっきはビクともしなかったマリアが途端にバランスを崩して飛び退いた。
その隙をのがさず俺は転がりまわりながら立ち上がり、マリアを睨みつけた。
「いい加減にしろ! 死ぬだろマリア!!」
俺が握った足首を気にしながら、マリアはちっとも視線を揺るがせない。
最悪、俺を狙う何かに操られたか。いや、フィリアが《嘘感知/センスライ》で質問の上通したはずだ。
まさか、人格を残しながら人間を完全に操れるたぐいの魔法か?
テーブルトークRPG。『アャータレウ』の魔法にそんな万能魔法はない。もし、あったとすれば、それは高レベルの禁呪。プレイヤーには認められないたぐいの魔法。俺だってそんな魔法は持ってない。
「さすがね不死の王。でも、メテオの魂は返してもらうわ。アーティア、ハム! 手伝って!!」
……なんだって?
「……一体どういう流れなの?」
「まさかメテオの腕を折るとは」
呆れた感じで入ってくるアーティアにハム。
ここに至ってもう俺の思考能力はゼロに等しい。
いったい何が起こってるんですか?
目が覚めた俺は、さっきまで見ていた夢。
いや、実際にあったことだから夢といっていいのか? いいんだよな。
つまり俺にも甘酸っぱい青春というものがあったのだ。
学生時代に二年年下のマリアとほぼ一年間付き合い、そして別れた。よくある話だ。
それでも俺とマリアはケンカをして別れたわけではなく、その後も友人としてテーブルトークのセッションは続けていた。
年頃の男女がひとつのテーブルを囲んで、キャラクターが生きる死ぬのゲームをやっているんだ。恋愛感情のひとつ起こらないほうがどうかしている。
実際にテーブルトークRPGのコンベンションで知り合って、結婚したという者は多い。もちろん何倍もの破局もある。多くのTRPGサークルの崩壊は、おおむね男女関係がこじれからくることを俺は知っている。
その点、俺とマリアはうまくきれいに青春の1ページとして終わらせることができたといえる。
……たとえ、マリアが一方的に俺を好きになってくれて、別れるときも一方的にフラれられたとしてもだ。
「若かったんだ。俺だってあのときはまだ十代の若造だったんだ!!」
若かりし日の記憶に思わずベッドを転がり回ってしまう。
「……あの。メテオ様」
「はぁぁぁぁあぃ!!」
熱々のフライパンの上を爆ぜて転がるウインナーみたいな俺に、戸惑いの声がかけられた。
「フィ、フィリア!! どうかされましたか!?」
「ノックはしたのですけれど、お返事どころか妙な声が聞こえてきましたので」
うっ、恥ずい。
どうして俺の盗賊スキルは、敵意がない相手の接近に気づけないんだ……
何度、親しい奴らに無様な姿を見られたことか。
「お気になさらないで下さいまし。わたくしは何も見ていませんから」
「いや、そこまで気を使ってくれなくても。そ、それで何かあったのか?」
「メテオ様にお客様です。“遊星”マリアージュ様と申しておられます」
えっ?
「ほ、本当にマリアなのか!?」
「《嘘感知/センスライ》の魔法で本人確認もしております。メテオ様たち“流れ星”のお仲間である、マリアージュ・ロスタン様に間違いありません」
「ま、マジで!?」
ちょ、ちょっと待って。あんな夢を見たあとで、心の準備がまだできてない。
「メテオ様の執務室にお通ししてありますが……お帰りになってもらいましょうか?」
「ああいや、いいんだ。うん、今行くからって伝えておいてくれ。茶とかは俺がやるからフィリアは仕事に戻って大丈夫」
「承知いたしました。それではマリアージュ様にはそのようにお伝えいたしますわ。それでは失礼いたします」
俺の様子を見て気を利かそうとしてくれたフィリアだが、会いたくないわけじゃないんだ。ただ、マリアのキャラクターといざ会うってなるとなんか緊張して。
「大丈夫だよな、俺。格好とかヘンじゃないよな」
壁にかかった鏡で身だしなみを整えると、ひとつ深呼吸して心を落ち着かせる。
「……よし。会いにいくか!!」
考えてみれば緊張することなんてなかった。マリアとマリアージュはそもそも別人だし、若い頃俺といろいろあったことは関係ないんだし。いやもしかすると俺に会いに来るって名指しで来たんだろ? パーティではなくって俺単体だ。何かこう、マリアージュの身に困ったことがあって俺を頼りにきて、そのままいい関係とかになっちゃったりして。
自室を出て、通路のはさんですぐ向こうは俺の執務室。とは名ばかりの応接室だ。
扉を前に、エヘンと咳払い。あーあーあー。よし、行くか。
扉を開く音に気づいて、応接セットのソファに座った女性が席を立って、こちらを向いた。
すらりと高い身長に冒険者らしい革鎧。いつもは剣を吊るしているであろう腰の金具には、今は何も身につけていない。鎧の隙間から見える素肌はそれまで見たどの人間よりも白い。
振り向いたときに目が合った。
輝くような金髪に青い目。日本人よりもわずかに堀り深い顔。
俺が。杉村が初めて見たときの、マリアそのものの似姿がそこにいた。
「――ま、マリア……だよ、な?」
「もちろんよ。メテオ」
マリアージュが発した声もまた、俺がよく知った若かりし頃のマリアの声だ。
いくぶん低めの、聞くものを落ち着かせる声。
あっ、やばい。
今俺、泣きそう。
なんだよこれ。マリアそのものがコスプレしているみたいじゃないかよ。
懐かしいなあ。みんな元気かなあ。
「――マリア。会いたかった」
声に出してびっくりした。
考えるよりも先に声が出ていた。まるで自分の中にいる自分が声を出したみたいだ。
思うより先に声が出るってやつか。
「わたしもよ」
マリアが。マリアージュが。微笑みを浮かべ、両のてのひらを差し出すように近づいてくる。
「本当に――本当に会いたかった」
「俺も……俺だって会いたかった」
今の俺は杉村ではなくメテオ。
そう気が付かされたのは身長だった。
いざ抱擁を交わそうというとき、マリアは何も変わってはいないが俺の身長が杉村よりも20cmほど低い。
そのため、俺はマリアの腰に抱きつくような形になり、自然と俺の顔はマリアの胸あたりに――いや、もちろんそこは革鎧でガードされているため、心地よい感触は期待できないし、もとよりするつもりもない。
「約束を果たしに来たわ」
だが、マリアは俺の頭を強く抱き寄せ、むしろ積極的に自分の胸に引き寄せてきた。
あっ、これは嬉しいんだけど力がちょっと強い。
なんだよマリア。そんなに俺のことが――ん、約束?
「痛い痛い痛い痛いーーーーッ!!」
マリアは俺の首を両腕で締め付け胸元に引き寄せると、腰を入れて俺の身体をすぱんと跳ね上げた。俗にいう首投げ――
「ちょ、マリ――オァーーーーッ!!」
投げられて強烈に床へと叩きつけられたかと思った刹那、俺の右腕の手首、肘、肩関節までを抵抗使用もないくらいきれいに極められた。
ミリメリ。
そんな音が自分の身体の内側から聞こえたと思った時。
ブツリ。メキッ。ボグッという音が手首と肘と肩関節方面からやってきた。
「オ゛ァ゛ァ゛ーーーーッ!!」
この世界に来てからもっとも激しい激痛に、俺は思うよりも早く絶叫していた。
「何を――ア゛ア゛ァ゛ーーーーッッッ!!」
反射的に空いている左手を反らしてマリアを掴もうとするが、何がなんだかわからないうちにマリアは俺から離れていた。その際、しっかりと俺の右手をねじり上げつつ。
「約束通り、メテオ。あなたを殺してあげる」
「な、なんで!?」
俺なんも悪いことしてないよ!? 約束だって何も、いや俺じゃないころのメテオが何か――あ゛っ。
激痛の中、倒れている俺が起きる間もなく、マリアの腕が首に回されていた。
メキ……メキメキメキ。
そんな音が首の中から鼓膜に直接響くような気がした。
「これいけない音! やめてやめて!!」
「利き腕を壊してこう組まれたら、もう魔術師に勝ち目はないわ。たとえあなたがアンデッドといえども――」
「死んでないし! 俺は生身だ!! ほんとダメな音してるから!?」
でかい万力に頭を挟まれているみたいだ。
俺は力の限り身体を動かし、頭をはずそうとするもののビクともしない。
おいおい! 俺のレベルとステータスの高さを上回っているってことか!?
「あなたを念入りに壊したら、アーティアとわたしで念入りに浄化してあげるから安心して。不死の王といえどもメテオの心がまだ残っているうちに――」
よりによって俺をペスブリと同じ骸骨キングと同じ扱いとは!!
「いい加減に――」
「きゃっ!」
まだ無事な左腕でなんとかマリアの足首を掴む。
そして力任せに握って動かすと、さっきはビクともしなかったマリアが途端にバランスを崩して飛び退いた。
その隙をのがさず俺は転がりまわりながら立ち上がり、マリアを睨みつけた。
「いい加減にしろ! 死ぬだろマリア!!」
俺が握った足首を気にしながら、マリアはちっとも視線を揺るがせない。
最悪、俺を狙う何かに操られたか。いや、フィリアが《嘘感知/センスライ》で質問の上通したはずだ。
まさか、人格を残しながら人間を完全に操れるたぐいの魔法か?
テーブルトークRPG。『アャータレウ』の魔法にそんな万能魔法はない。もし、あったとすれば、それは高レベルの禁呪。プレイヤーには認められないたぐいの魔法。俺だってそんな魔法は持ってない。
「さすがね不死の王。でも、メテオの魂は返してもらうわ。アーティア、ハム! 手伝って!!」
……なんだって?
「……一体どういう流れなの?」
「まさかメテオの腕を折るとは」
呆れた感じで入ってくるアーティアにハム。
ここに至ってもう俺の思考能力はゼロに等しい。
いったい何が起こってるんですか?
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