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二部
135 銀輪副団長シェイラ
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ユルセールの城からエデンへと向かう石畳の街道が、草原を割るように敷かれている。
建国以来この街道は整備され続け、初代ユルセール王が調達したとされている石材は二百年近い人々の往来を助けてきた。いくらか磨り減り、割れたものがあるとはいえ、まだこの街道は整備され、大動脈となって国の繁栄を支えてきた。
その石畳をかつてない規模でユルセールの騎士達が進む。
しかし、先陣を進んでいた騎馬と戦車の一団が、統率された動きで街道を離れ、草原の海原へと吸い込まれていった。
騎士達の向かう先には奇怪な生き物がうねりつつ、こちらに向かっていた。外見は鱗をつけた蚯蚓そのものであったが、大きさは切り倒した巨樹であるかのような幅と長さがあった。
――ワーム。
竜の幼体であるという者がいれば、地中に住むうちに手足と目が退化した竜であるという者もいる。全身が鱗によってきしきしと軋みながら進む様子は、確かに竜の雰囲気を纏っているといえなくもない。
いずれにしてもわかっていることは、長大な身体を持ち、それを自由に動かす力を秘めた、きわめて強力な魔物であるということだ。
「総員! 固まらずに適度な間隔を空けて散れ!!」
長い黒髪をなびかせ、ひときわ目立つ白馬に跨った女性が鋭く指示を出す。
「長い身体は巨大な鞭だと思え!! ひと薙ぎで全滅せぬよう間隔を保ちつつ、ワームの周囲を周回せよ!!」
ユルセール銀輪騎士団、副団長シェイラ・アト・レヨンイエッタ。女性ながら卓越した乗馬の腕と武技を誇り、こと馬の扱いについては団長であり許嫁でもあるペリアス・シヴィトールをも凌駕するといわれている。
自ら先頭で馬を駆り、シェイラは矛槍を構えるとよく通る凛とした声で命令を下す。
「この長虫を王の元に近づけるな! 突撃!!」
動きの鈍い、胴体の中ほどに白馬を近寄らせると、シェイラは矛槍を逆手に、その切っ先を深々とワームの体内に沈めた。
他の騎士たちもそれぞれ同時に攻撃を仕掛けているが、シェイラの一撃がもっとも深く、もっとも鋭いダメージを与えていた。
いちどきに身体のいたるところから激痛を与えられて、ワームは鱗でささくれ立った頭を振り回し、全身を身悶えさせて襲撃者たちを蹴散らそうとした。
「先発は間合いを取って撤退!! 戦車隊は前進! 8の字の陣で応戦せよ!」
猛然と身をよじり暴れるワームから先発の騎士達を下がらせ、シェイラは矛槍に固執することなくワームの体内に埋めたまま距離を取る。すでにその手には長剣が握られている。
先発騎士達の一斉攻撃はそれなりに深手を負わせていたが、ワームはめちゃくちゃに暴れ狂い、これでは近づけないという様子であった。
が、それもまたシェイラの意図した流れだ。
まずはこの場で足止めをして、王の元に向かわぬようあえて接近戦を仕掛けてワームの注意を釘付けにした。
そうして出てきたのはユルセールの誇る銀輪騎士団の戦車部隊だった。
操馬に長けた軽装の騎士が屈強な馬を三頭操り、ごく小さな荷台を曳かせている。その荷台にはふたりの騎士が乗っており、一人が槍を。ひとりが弓を携えている。いずれも防具などは革製の、軽装なもので統一されている。
三人と馬三体が、合わせて十組の編隊を組んで、ワームに向かい、ワームの射程直前で左右に別れる。
ワームを中心として、左右に別れた戦車が円を描く軌道でワームを挟撃する。その様子が数字の8の字に似ていることから“8の字の陣”と呼ばれている。
ユルセールの銀輪騎士団に伝わる、大型の魔物に相対したときの陣形だ。
シェイラはこのとき前線を離れ、戦況を一望できるところから細かな指揮を飛ばしている。
戦車は騎馬のように直線的な軌道でワームに向かっていかず、その巨体のどこかを横切るように突撃を繰り返す。すれ違いざまに槍を投げつけるようにワームに突き立て、弓兵は気を散らすように矢を雨のように浴びせかける。
ワームが痛みに反撃をしようとするときには、すでに騎士たちは射程範囲外に逃げている。戦車を操る騎兵はひたすら馬の操作と、敵との距離感を掴むことに終始しているため、この一撃離脱戦法が可能となっている。
それと同様のことが、反対側でも行われている。ワームは攻撃をどこに定めていいのかもわからず、ただただ暴れ狂うのみだ。ぐるぐると回転しながら常に新しい戦車がワームの胴体に槍を突き立て、矢を浴びせかける。
槍は突き立てたらそのままワームの身体に残し、次の順番が来るまでには戦車に備え付けられた槍を準備する時間がたっぷりあるという寸法だ。
予測不可能なワームののたうちであったが、そこは戦況を一望するシェイラの指揮がものをいった。
「エセルバート隊!! 一旦距離を空けなさい! 輪が縮まっている!!」
「ネヴィル隊は深追いをせず、ペースを落として周回を!! エセルバート隊と足並みを揃える!」
白馬にまたがり、混戦のさなかでもよく聞き取れる声で指示を飛ばす。
長身ですらりとした身体に申し訳程度の甲冑を纏い、長い黒髪をなびかせて剣を構え、燃えるような赤い目をしたシェイラ。その姿を見ただけでも、部隊は戦いの女神に指揮されているかのような心持ちとなった。
ワームは強大な魔物だ。
しかし、統率の取れた銀輪騎士団の執拗な攻撃に、やがてその長い身体を痙攣させると動かなくなった。その姿はまるでぼろぼろになるまで使い込まれた荒縄のようであった。ただし、その色はまぎれもなく血に染まった赤であったが。
「――いや、見事なものだ。俺でもここまでうまく指揮をできるかどうか怪しいものだ」
俺とレオン。そしてアーティアとハムとで『遠見の水晶球』に映るシェイラ率いる銀輪騎士団の戦いぶりを眺めていたのだが、決着と同時にハムが手放しで褒めはじめた。
「あれがユルセールの銀輪戦車部隊か。なんとしてでもウォルスタの自警団にも同じものを作らせたい。大きな魔物相手にあの機動力と迅速な攻撃。よく考えられている。それに、シェイラ――。あの馬の巧みさと指揮は只者ではないな」
ハムがここまで銀輪騎士団の戦車と、シェイラ個人を評価するとは意外だった。確かに俺の目から見てもなかなかの手綱さばきだった気はするが、指揮についてはそこまでという感じだ。
「ふーん。シェイラってビショップのときにはずいぶん取り乱していたから、指揮官とかどうなんだと思っていたけど……ハムがそこまで褒めるのなら一流ね」
アーティアも俺と同じような感想だったらしく、いくらかの意外さを隠そうともしない。
「俺とウォルスタ自警団の連中なら、あのワームをもっと早く一気に倒せただろうが、いくらか怪我人を出すことになるだろう。しかし、シェイラの指揮する部隊の騎士達は、俺の部下たちよりも数段落ちる腕前で、時間はかかったもののほぼ無傷でワームを倒しきった」
嬉しそうにハムは頷き、惜しみない賞賛を続ける。
「弱兵――とまではいわないが、あれだけのワームをあの練度と装備と人数で倒せたのだ。個人の強さを頼むのではなく、全体が集まって強さを増す。いやさすがは王国の軍隊は違う」
「余の騎士達が『流れ星』の鉄壁の目に適うものであったか。嬉しいぞ」
ハムの賞賛にはレオンも嬉しさを隠さなかった。
レオンもまた、こうした実戦は初めてだというし、自分のところの騎士達の強さをハムに認められて安心したんだろう。
「この騎士団はまだまだ強くなります。メテオや俺たちの力を借りずとも、ユルセールの強兵はほどなく伝わることでしょう……」
俺の持つ『遠見の水晶球』の端を見て、いつになく饒舌なハムの舌が止まった。
「……しかし、もうしばらく俺たちの力は必要でしょう」
ハムが腰に吊るした魔法の剣『炎の舌』の位置を直すと、近くに控えさせていた自分の馬に跨った。
「次のはシェイラ隊だけでは少し手こずりそうだ。メテオ、アーティア。レオン陛下を頼む」
ハムは言葉短くそれだけいうと、単騎、シェイラの部隊のいる方向へ馬を走らせた。
俺は『遠見の水晶球』を見る。
まだシェイラたちは気がついていないようだが、空から見下ろすような俯瞰で見ている俺たちにはわかった。
不自然な大地の盛り上がりが、シェイラたちに近づいているのを。
===おまけ===
対大型魔物陣形『8の字の陣』
************************************************
次回公開は2/1(日)00:00です。
個人戦より軍隊指揮の得意なシェイラさん。
※ただし実戦は魔物との戦闘しか経験ナシ
建国以来この街道は整備され続け、初代ユルセール王が調達したとされている石材は二百年近い人々の往来を助けてきた。いくらか磨り減り、割れたものがあるとはいえ、まだこの街道は整備され、大動脈となって国の繁栄を支えてきた。
その石畳をかつてない規模でユルセールの騎士達が進む。
しかし、先陣を進んでいた騎馬と戦車の一団が、統率された動きで街道を離れ、草原の海原へと吸い込まれていった。
騎士達の向かう先には奇怪な生き物がうねりつつ、こちらに向かっていた。外見は鱗をつけた蚯蚓そのものであったが、大きさは切り倒した巨樹であるかのような幅と長さがあった。
――ワーム。
竜の幼体であるという者がいれば、地中に住むうちに手足と目が退化した竜であるという者もいる。全身が鱗によってきしきしと軋みながら進む様子は、確かに竜の雰囲気を纏っているといえなくもない。
いずれにしてもわかっていることは、長大な身体を持ち、それを自由に動かす力を秘めた、きわめて強力な魔物であるということだ。
「総員! 固まらずに適度な間隔を空けて散れ!!」
長い黒髪をなびかせ、ひときわ目立つ白馬に跨った女性が鋭く指示を出す。
「長い身体は巨大な鞭だと思え!! ひと薙ぎで全滅せぬよう間隔を保ちつつ、ワームの周囲を周回せよ!!」
ユルセール銀輪騎士団、副団長シェイラ・アト・レヨンイエッタ。女性ながら卓越した乗馬の腕と武技を誇り、こと馬の扱いについては団長であり許嫁でもあるペリアス・シヴィトールをも凌駕するといわれている。
自ら先頭で馬を駆り、シェイラは矛槍を構えるとよく通る凛とした声で命令を下す。
「この長虫を王の元に近づけるな! 突撃!!」
動きの鈍い、胴体の中ほどに白馬を近寄らせると、シェイラは矛槍を逆手に、その切っ先を深々とワームの体内に沈めた。
他の騎士たちもそれぞれ同時に攻撃を仕掛けているが、シェイラの一撃がもっとも深く、もっとも鋭いダメージを与えていた。
いちどきに身体のいたるところから激痛を与えられて、ワームは鱗でささくれ立った頭を振り回し、全身を身悶えさせて襲撃者たちを蹴散らそうとした。
「先発は間合いを取って撤退!! 戦車隊は前進! 8の字の陣で応戦せよ!」
猛然と身をよじり暴れるワームから先発の騎士達を下がらせ、シェイラは矛槍に固執することなくワームの体内に埋めたまま距離を取る。すでにその手には長剣が握られている。
先発騎士達の一斉攻撃はそれなりに深手を負わせていたが、ワームはめちゃくちゃに暴れ狂い、これでは近づけないという様子であった。
が、それもまたシェイラの意図した流れだ。
まずはこの場で足止めをして、王の元に向かわぬようあえて接近戦を仕掛けてワームの注意を釘付けにした。
そうして出てきたのはユルセールの誇る銀輪騎士団の戦車部隊だった。
操馬に長けた軽装の騎士が屈強な馬を三頭操り、ごく小さな荷台を曳かせている。その荷台にはふたりの騎士が乗っており、一人が槍を。ひとりが弓を携えている。いずれも防具などは革製の、軽装なもので統一されている。
三人と馬三体が、合わせて十組の編隊を組んで、ワームに向かい、ワームの射程直前で左右に別れる。
ワームを中心として、左右に別れた戦車が円を描く軌道でワームを挟撃する。その様子が数字の8の字に似ていることから“8の字の陣”と呼ばれている。
ユルセールの銀輪騎士団に伝わる、大型の魔物に相対したときの陣形だ。
シェイラはこのとき前線を離れ、戦況を一望できるところから細かな指揮を飛ばしている。
戦車は騎馬のように直線的な軌道でワームに向かっていかず、その巨体のどこかを横切るように突撃を繰り返す。すれ違いざまに槍を投げつけるようにワームに突き立て、弓兵は気を散らすように矢を雨のように浴びせかける。
ワームが痛みに反撃をしようとするときには、すでに騎士たちは射程範囲外に逃げている。戦車を操る騎兵はひたすら馬の操作と、敵との距離感を掴むことに終始しているため、この一撃離脱戦法が可能となっている。
それと同様のことが、反対側でも行われている。ワームは攻撃をどこに定めていいのかもわからず、ただただ暴れ狂うのみだ。ぐるぐると回転しながら常に新しい戦車がワームの胴体に槍を突き立て、矢を浴びせかける。
槍は突き立てたらそのままワームの身体に残し、次の順番が来るまでには戦車に備え付けられた槍を準備する時間がたっぷりあるという寸法だ。
予測不可能なワームののたうちであったが、そこは戦況を一望するシェイラの指揮がものをいった。
「エセルバート隊!! 一旦距離を空けなさい! 輪が縮まっている!!」
「ネヴィル隊は深追いをせず、ペースを落として周回を!! エセルバート隊と足並みを揃える!」
白馬にまたがり、混戦のさなかでもよく聞き取れる声で指示を飛ばす。
長身ですらりとした身体に申し訳程度の甲冑を纏い、長い黒髪をなびかせて剣を構え、燃えるような赤い目をしたシェイラ。その姿を見ただけでも、部隊は戦いの女神に指揮されているかのような心持ちとなった。
ワームは強大な魔物だ。
しかし、統率の取れた銀輪騎士団の執拗な攻撃に、やがてその長い身体を痙攣させると動かなくなった。その姿はまるでぼろぼろになるまで使い込まれた荒縄のようであった。ただし、その色はまぎれもなく血に染まった赤であったが。
「――いや、見事なものだ。俺でもここまでうまく指揮をできるかどうか怪しいものだ」
俺とレオン。そしてアーティアとハムとで『遠見の水晶球』に映るシェイラ率いる銀輪騎士団の戦いぶりを眺めていたのだが、決着と同時にハムが手放しで褒めはじめた。
「あれがユルセールの銀輪戦車部隊か。なんとしてでもウォルスタの自警団にも同じものを作らせたい。大きな魔物相手にあの機動力と迅速な攻撃。よく考えられている。それに、シェイラ――。あの馬の巧みさと指揮は只者ではないな」
ハムがここまで銀輪騎士団の戦車と、シェイラ個人を評価するとは意外だった。確かに俺の目から見てもなかなかの手綱さばきだった気はするが、指揮についてはそこまでという感じだ。
「ふーん。シェイラってビショップのときにはずいぶん取り乱していたから、指揮官とかどうなんだと思っていたけど……ハムがそこまで褒めるのなら一流ね」
アーティアも俺と同じような感想だったらしく、いくらかの意外さを隠そうともしない。
「俺とウォルスタ自警団の連中なら、あのワームをもっと早く一気に倒せただろうが、いくらか怪我人を出すことになるだろう。しかし、シェイラの指揮する部隊の騎士達は、俺の部下たちよりも数段落ちる腕前で、時間はかかったもののほぼ無傷でワームを倒しきった」
嬉しそうにハムは頷き、惜しみない賞賛を続ける。
「弱兵――とまではいわないが、あれだけのワームをあの練度と装備と人数で倒せたのだ。個人の強さを頼むのではなく、全体が集まって強さを増す。いやさすがは王国の軍隊は違う」
「余の騎士達が『流れ星』の鉄壁の目に適うものであったか。嬉しいぞ」
ハムの賞賛にはレオンも嬉しさを隠さなかった。
レオンもまた、こうした実戦は初めてだというし、自分のところの騎士達の強さをハムに認められて安心したんだろう。
「この騎士団はまだまだ強くなります。メテオや俺たちの力を借りずとも、ユルセールの強兵はほどなく伝わることでしょう……」
俺の持つ『遠見の水晶球』の端を見て、いつになく饒舌なハムの舌が止まった。
「……しかし、もうしばらく俺たちの力は必要でしょう」
ハムが腰に吊るした魔法の剣『炎の舌』の位置を直すと、近くに控えさせていた自分の馬に跨った。
「次のはシェイラ隊だけでは少し手こずりそうだ。メテオ、アーティア。レオン陛下を頼む」
ハムは言葉短くそれだけいうと、単騎、シェイラの部隊のいる方向へ馬を走らせた。
俺は『遠見の水晶球』を見る。
まだシェイラたちは気がついていないようだが、空から見下ろすような俯瞰で見ている俺たちにはわかった。
不自然な大地の盛り上がりが、シェイラたちに近づいているのを。
===おまけ===
対大型魔物陣形『8の字の陣』
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次回公開は2/1(日)00:00です。
個人戦より軍隊指揮の得意なシェイラさん。
※ただし実戦は魔物との戦闘しか経験ナシ
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