36 / 42
第五章 悪霊退散
35 作戦開始
しおりを挟む
クリスティーナはルーカスから聞かされた通りの時間と場所でソワソワとサイモンを待ちながらマリアと恒例となったお茶を嗜んでいた。相変わらず賢者の石について聞いてくる時のマリアはとても怖いがそれ以外の時は極々普通の少女だった。
「クリスティーナ様?どうかなさったんですか?」
あまりに落ち着きがないクリスティーナにマリアが声をかける。クリスティーナの横で、ルーカスはあちゃーという顔をしたがマリアには気づかれなかったようだ。
「なんでもごさいませんの。えっと、、ハ、ハロルド様がいらっしゃらないかしらと思いまして、、。」
自分の演技力の無さに落ち込みながらなんとか言い訳をして座り直した。
「まぁ仲がいいんですね。いいことです!」
「ありがとうございますわ。」
その時茂みの奥からサイモンがやってきた。マリアは顔色を変えてサイモンに注意しようと立ち上がろうとしたが、その前にとルーカスが立ち上がって声をかける。
「やぁサイモン。久しぶりだね。」
「お久しぶりでございます。ルーカス様。クリスティーナ様。」
そう言ってサイモンは臣下の礼をクリスティーナにとった。
それを見届けてルーカスはマリアにサイモンを紹介した。
「マリア嬢、こちらは私達の従兄弟のサイモン・ブルーストーンです。」
「あっはい、知ってます。」
その答えを受けて作戦開始とサイモンに決められたセリフを言った。
「サイモン。一体どうしたんだい?珍しいじゃないか?」
「あ、ああ、ジツハ、、ク、クリスティーナ様に、、、お、お、お話がありまして、、。」
ルーカスはあまりの棒読みに眩暈を覚えたが今中止することも出来ずハラハラしながらクリスティーナの続きを待った。
「マ、マア、ナンデスノ、、。」
クリスティーナも緊張の面持ちでぎこちなく答える。
ルーカスは、あぁ、ダメだ、、、。と頭を抱えたくなったがグッと堪えてクリスティーナに手を差し出した。
クリスティーナは差し出された手を不思議そうに見つめてから手を取り立ち上がった。
そのままルーカスはクリスティーナをサイモンの所まで連れて行って二人を向き合わせたのだった。
「、、、二人共、、、頑張ってくれ、、。」
そのまま席に戻ると不思議そうなマリアに二人はあまり話したことがないのでいつも緊張気味に話すんですとフォローを入れた。
残された二人はなんとか決められたセリフを言っていた。
「ク、クリスティーナ様、、貴女と、、ハロルド殿下が賢者の石を、お探しと、、お聞きしました。私の家に、、、伝わる、、伝承について、聞いて頂きたいのです。」
「マ、マア、アリガトウゴサイマス、、。えっと、、、それは、、どのような物ですの?、」
「真偽はわ、、カリマ、、せんが、賢者の石を、取り出すには鍵が必要で、その鍵が我が家管理の辺境の協会にあるらしいのです。」
「まあ、凄いですわ。ワタクシも、ハロルド様ももう賢者の石は諦めようと思っていたんですの。な、な、無くてもこの百年は問題ないんですもの、、。」
「で、デハ、是非この教会にお越しいただけますか?
な、なんでもその鍵は女性のみに反応するらしく私では取り出せないのです。だからと言ってペラペラ話せる内容でもありませんし。」
「そ、そうですわね。なんでも願いが叶うなんて人には言えませんワ。」
その時ルーカスはマリアの気配が急に変わったのを感じた。それも悪い方に。
「そ、そうなのです!!しかもその伝承によると鍵さえあれば王族の愛も国の危機も関係なく取り出せるらしいのです!!」
サイモンの臭い演義に拍車がかかる。
「まあ、それは秘密にしなければ行けないわ!」
「わたくし、、その教会に、参ります。でも、、一人だと心細いわ。」
チラリとクリスティーナはルーカスを見て、そして隣のマリアを見て顔色をかえた。それを見てルーカスはセリフを返した。
「もちろん僕も行くよ。」
ルーカスがやっと芝居が終わるとホッとして声をかける。
「でも、お兄様がご一緒でも、、婚約者以外の殿方がいては外聞が、、、。」
その時ルーカスは隣の気配が怪しく動くのを感じ鳥肌がたった。
「はい!では私も一緒に行きます!私がサイモン様といればクリスティーナ様も、大丈夫でしょ。」
立ち上がったマリアを見たクリスティーナの顔色が更に悪く白くなっていくのを見たルーカスは慌てて立ち上がり、なんとかクリスティーナが倒れる前支える事が出来た。クリスティーナは真っ青な顔で最後のセリフを何とか言い切った。
「まあ、それは嬉しいですわ。」
ルーカスはマリアとサイモンに詳細は後日と話してそのまま倒れそうなクリスティーナを支えてその場を去った。
「クリスティーナ!大丈夫かい?」
「お兄様、、、。マリア様をご覧になりましたか?
賢者の石の話をする時いつもマリア様から黒い影が現れますの、、。わたくしあれが怖くて、、、。」
そういうとガタガタと震え始めた。
「クリスティーナのように影は見えないが、マリア嬢の雰囲気が突然変わったのは感じたよ。あれは危険な気配だった。クリスティーナの言っていることは本当なんだね。」
震えるクリスティーナを抱きしめて今まで何も気がつかなかった自分を恥じるルーカスだった。
「クリスティーナ様、どうしたのかしら?」
具合の悪そうなクリスティーナに付き添うようなルーカスの二人が去った方を見てマリアは心配顔で呟いた。
見た目は今まで通りの可愛らしいマリアなのだが、その気配は禍々しいものを感じさせていた。
そんなマリアを見てサイモンは今までのような恋慕の気持ちは湧かず、その代わりに思わず剣を抜きたくなるような危険なもの察知した。それでもサイモンはグッと奥歯を噛み締めて逃げ出したくなるのを何とか踏み留まり、剣を抜きそうになる右手を左手で抑え笑顔を作った。
「マ、マリア、、君と一緒に行けるなんて嬉しいよ。」
そうしてサイモンもなんとかマリアに最後のセリフを言ってその場を後にしたのだった。
「クリスティーナ様?どうかなさったんですか?」
あまりに落ち着きがないクリスティーナにマリアが声をかける。クリスティーナの横で、ルーカスはあちゃーという顔をしたがマリアには気づかれなかったようだ。
「なんでもごさいませんの。えっと、、ハ、ハロルド様がいらっしゃらないかしらと思いまして、、。」
自分の演技力の無さに落ち込みながらなんとか言い訳をして座り直した。
「まぁ仲がいいんですね。いいことです!」
「ありがとうございますわ。」
その時茂みの奥からサイモンがやってきた。マリアは顔色を変えてサイモンに注意しようと立ち上がろうとしたが、その前にとルーカスが立ち上がって声をかける。
「やぁサイモン。久しぶりだね。」
「お久しぶりでございます。ルーカス様。クリスティーナ様。」
そう言ってサイモンは臣下の礼をクリスティーナにとった。
それを見届けてルーカスはマリアにサイモンを紹介した。
「マリア嬢、こちらは私達の従兄弟のサイモン・ブルーストーンです。」
「あっはい、知ってます。」
その答えを受けて作戦開始とサイモンに決められたセリフを言った。
「サイモン。一体どうしたんだい?珍しいじゃないか?」
「あ、ああ、ジツハ、、ク、クリスティーナ様に、、、お、お、お話がありまして、、。」
ルーカスはあまりの棒読みに眩暈を覚えたが今中止することも出来ずハラハラしながらクリスティーナの続きを待った。
「マ、マア、ナンデスノ、、。」
クリスティーナも緊張の面持ちでぎこちなく答える。
ルーカスは、あぁ、ダメだ、、、。と頭を抱えたくなったがグッと堪えてクリスティーナに手を差し出した。
クリスティーナは差し出された手を不思議そうに見つめてから手を取り立ち上がった。
そのままルーカスはクリスティーナをサイモンの所まで連れて行って二人を向き合わせたのだった。
「、、、二人共、、、頑張ってくれ、、。」
そのまま席に戻ると不思議そうなマリアに二人はあまり話したことがないのでいつも緊張気味に話すんですとフォローを入れた。
残された二人はなんとか決められたセリフを言っていた。
「ク、クリスティーナ様、、貴女と、、ハロルド殿下が賢者の石を、お探しと、、お聞きしました。私の家に、、、伝わる、、伝承について、聞いて頂きたいのです。」
「マ、マア、アリガトウゴサイマス、、。えっと、、、それは、、どのような物ですの?、」
「真偽はわ、、カリマ、、せんが、賢者の石を、取り出すには鍵が必要で、その鍵が我が家管理の辺境の協会にあるらしいのです。」
「まあ、凄いですわ。ワタクシも、ハロルド様ももう賢者の石は諦めようと思っていたんですの。な、な、無くてもこの百年は問題ないんですもの、、。」
「で、デハ、是非この教会にお越しいただけますか?
な、なんでもその鍵は女性のみに反応するらしく私では取り出せないのです。だからと言ってペラペラ話せる内容でもありませんし。」
「そ、そうですわね。なんでも願いが叶うなんて人には言えませんワ。」
その時ルーカスはマリアの気配が急に変わったのを感じた。それも悪い方に。
「そ、そうなのです!!しかもその伝承によると鍵さえあれば王族の愛も国の危機も関係なく取り出せるらしいのです!!」
サイモンの臭い演義に拍車がかかる。
「まあ、それは秘密にしなければ行けないわ!」
「わたくし、、その教会に、参ります。でも、、一人だと心細いわ。」
チラリとクリスティーナはルーカスを見て、そして隣のマリアを見て顔色をかえた。それを見てルーカスはセリフを返した。
「もちろん僕も行くよ。」
ルーカスがやっと芝居が終わるとホッとして声をかける。
「でも、お兄様がご一緒でも、、婚約者以外の殿方がいては外聞が、、、。」
その時ルーカスは隣の気配が怪しく動くのを感じ鳥肌がたった。
「はい!では私も一緒に行きます!私がサイモン様といればクリスティーナ様も、大丈夫でしょ。」
立ち上がったマリアを見たクリスティーナの顔色が更に悪く白くなっていくのを見たルーカスは慌てて立ち上がり、なんとかクリスティーナが倒れる前支える事が出来た。クリスティーナは真っ青な顔で最後のセリフを何とか言い切った。
「まあ、それは嬉しいですわ。」
ルーカスはマリアとサイモンに詳細は後日と話してそのまま倒れそうなクリスティーナを支えてその場を去った。
「クリスティーナ!大丈夫かい?」
「お兄様、、、。マリア様をご覧になりましたか?
賢者の石の話をする時いつもマリア様から黒い影が現れますの、、。わたくしあれが怖くて、、、。」
そういうとガタガタと震え始めた。
「クリスティーナのように影は見えないが、マリア嬢の雰囲気が突然変わったのは感じたよ。あれは危険な気配だった。クリスティーナの言っていることは本当なんだね。」
震えるクリスティーナを抱きしめて今まで何も気がつかなかった自分を恥じるルーカスだった。
「クリスティーナ様、どうしたのかしら?」
具合の悪そうなクリスティーナに付き添うようなルーカスの二人が去った方を見てマリアは心配顔で呟いた。
見た目は今まで通りの可愛らしいマリアなのだが、その気配は禍々しいものを感じさせていた。
そんなマリアを見てサイモンは今までのような恋慕の気持ちは湧かず、その代わりに思わず剣を抜きたくなるような危険なもの察知した。それでもサイモンはグッと奥歯を噛み締めて逃げ出したくなるのを何とか踏み留まり、剣を抜きそうになる右手を左手で抑え笑顔を作った。
「マ、マリア、、君と一緒に行けるなんて嬉しいよ。」
そうしてサイモンもなんとかマリアに最後のセリフを言ってその場を後にしたのだった。
0
お気に入りに追加
305
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
【完結済】悪役になりきれなかったので、そろそろ引退したいと思います。
木嶋うめ香
恋愛
私、突然思い出しました。
前世は日本という国に住む高校生だったのです。
現在の私、乙女ゲームの世界に転生し、お先真っ暗な人生しかないなんて。
いっそ、悪役として散ってみましょうか?
悲劇のヒロイン気分な主人公を目指して書いております。
以前他サイトに掲載していたものに加筆しました。
サクッと読んでいただける内容です。
マリア→マリアーナに変更しました。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる