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17 領地復興とこれからの日々
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私は領民から集まった投書内容をまとめ、優先順位をつけて対応に追われていた。
多く巻き上げていた資金は調整し、力仕事はポールや近衛騎士隊の協力により領地全域をくまなく回り対応していった。
「……ひとまずは、大きな項目としてはこんなものかしら」
一仕事終えた私は、公爵家の書斎でふと呟く。
すると――
――コンコンッ
扉の音が鳴り私はすぐに返事を返す。
「……開いているわー」
――ガチャっ
返事と共に扉は開くとトレイを持ったレイモンドと多くの投書を持ったポールが立っていた。
「……お疲れ様です。飲み物をお持ち致しました。アリエルお嬢様」
最初に部屋に入ってきたレイモンドは暖かい紅茶をテーブルに置く。
「あら、ありがとう」
ティーカップに手を添えると、レイモンドと同時に数多くの投書を持ったポールも声を上げる。
「アリエルお嬢様、お疲れ様です! 見てください、領地の住民からはアリエルお嬢様を称える投書が数多く届いていますよ!」
「そう、よかったわ」
初めのうちは当初は問題提起の内容ばかりだったけど、徐々に私に対しての感謝の言葉に変わっていった。
まぁ……一部は善意を利用する悪い人もいるけど、それはどうしようもない事だと割り切っている。
「でも、こう何日も連続で動き回るのも体に負担が溜まるものね。……少しは休暇を作った方がいいかしら」
そんな事を呟いていると、ポールは多くの投書をテーブルに置いた後、1つの厚手の紙を取り出す。
「あ、休暇といえば……アリエルお嬢様。スフィン国王陛下からパーティ開催の招待状が届いておりましたよ?」
「スフィンおじ……国王陛下から?」
……危ない危ない、つい失礼な敬称を言いそうになってしまった。
なぜならスフィンおじさんはとても気さくな人で、なおかつとても国民の事を考えている方だからだ。
スフィンおじさんがこの国を背負っていると考えると、この国も捨てたもんじゃないと思えてくる。
だからこそ、義父が行ってきた悪政が目に見えて悪く見えてしまったのだろう。
「えぇ、スフィン国王陛下のいる宮殿で開かれるみたいですよ。ほら、ご覧ください」
私はポールから招待状を受け取り、視線を招待状に落とす。
「……息抜きにアリエルお嬢様も如何でしょうか?」
「パーティ……ね」
以前に社交界には参加した記憶はあり、とても楽しかった事を覚えている。
「いいわね。参加してみようかしら。……あ、でも一人で行くのは気が引けるわね。ポール……それにレイモンド、貴方達も私に付いてきなさいよ」
「……ふふ、仕方ないですね」
「わかりました。アリエルお嬢様!」
私の提案に2人は二つ返事で快諾し、私はスフィンおじさんが開催するパーティに参加する事となった。
◇◇◇
近衛騎士隊の見回り時にリオラルド様もパーティに参加する旨を聞き、更にパーティの開催が楽しみな日々をすごし、私はとうとうその当日を迎えた。
「アリエルお嬢様、まもなくクトルフ宮殿に着きますよ。……いいですか、しっかり礼儀作法には注意してくださいね」
窓越しに宮殿を確認したレイモンドはそう呟く。
「分かっているわよ、レイモンド。任せておきなさい」
私は教育係兼執事長であるレイモンドに答えながら、窓の外に視線を移す。
窓越しには、着飾ったリオラルド様と見覚えのあるギルバート様と一緒に手を振ってくれていた。
今の私はパーティ衣装に着替え、いつも以上に着飾って化粧などもしているので、実はリオラルド様になんて言われるかが楽しみで胸が高鳴っていた。
「リオラルド様! お待たせ致しました」
「私も先ほど到着したばかりさ。……まだパーティの開催には時間はあるからね」
そうリオラルド様が呟くと、私の容姿を見渡す。
「うん、普段のアリエル様も魅力的だけど……今日は一段と魅力的なアリエル様ですね!」
「……あ、ありがとうございます」
思っていた事をすぐに言われて、少し照れて顔を伏せてしまう。
すると、一緒にいたギルバード様も一歩前に出て挨拶をしてくる。
「初めまして、私はギルバード・クトルフと申します。本日は父上の主催するパーティにお越し頂きありがとうございます」
「こちらこそ、初めまして、公爵家当主のアリエル・ミダデスと申します。本日はご招待頂きありがとうございます」
「……アリエルさんですね。とても優秀な公爵家当主だと父上から話を聞いております」
「そんな……恐縮です」
ギルバード様はあのスフィンおじさんの子で私の従妹に当たる人だ。
スフィンおじさんのような優しさを持ち、金髪碧眼の美顔をまた見れるとは思わなかった。
「さ、アリエル様。会場はこちらです」
リオラルド様は手を差し伸べてくる。
「えぇ」
私はその手をそっと掴み、パーティ会場へと案内してもらう。
手を引かれながら、私の手を握るリオラルド様に抱く恋心を成就させたいと密かに思い描くのだった。
―完―
多く巻き上げていた資金は調整し、力仕事はポールや近衛騎士隊の協力により領地全域をくまなく回り対応していった。
「……ひとまずは、大きな項目としてはこんなものかしら」
一仕事終えた私は、公爵家の書斎でふと呟く。
すると――
――コンコンッ
扉の音が鳴り私はすぐに返事を返す。
「……開いているわー」
――ガチャっ
返事と共に扉は開くとトレイを持ったレイモンドと多くの投書を持ったポールが立っていた。
「……お疲れ様です。飲み物をお持ち致しました。アリエルお嬢様」
最初に部屋に入ってきたレイモンドは暖かい紅茶をテーブルに置く。
「あら、ありがとう」
ティーカップに手を添えると、レイモンドと同時に数多くの投書を持ったポールも声を上げる。
「アリエルお嬢様、お疲れ様です! 見てください、領地の住民からはアリエルお嬢様を称える投書が数多く届いていますよ!」
「そう、よかったわ」
初めのうちは当初は問題提起の内容ばかりだったけど、徐々に私に対しての感謝の言葉に変わっていった。
まぁ……一部は善意を利用する悪い人もいるけど、それはどうしようもない事だと割り切っている。
「でも、こう何日も連続で動き回るのも体に負担が溜まるものね。……少しは休暇を作った方がいいかしら」
そんな事を呟いていると、ポールは多くの投書をテーブルに置いた後、1つの厚手の紙を取り出す。
「あ、休暇といえば……アリエルお嬢様。スフィン国王陛下からパーティ開催の招待状が届いておりましたよ?」
「スフィンおじ……国王陛下から?」
……危ない危ない、つい失礼な敬称を言いそうになってしまった。
なぜならスフィンおじさんはとても気さくな人で、なおかつとても国民の事を考えている方だからだ。
スフィンおじさんがこの国を背負っていると考えると、この国も捨てたもんじゃないと思えてくる。
だからこそ、義父が行ってきた悪政が目に見えて悪く見えてしまったのだろう。
「えぇ、スフィン国王陛下のいる宮殿で開かれるみたいですよ。ほら、ご覧ください」
私はポールから招待状を受け取り、視線を招待状に落とす。
「……息抜きにアリエルお嬢様も如何でしょうか?」
「パーティ……ね」
以前に社交界には参加した記憶はあり、とても楽しかった事を覚えている。
「いいわね。参加してみようかしら。……あ、でも一人で行くのは気が引けるわね。ポール……それにレイモンド、貴方達も私に付いてきなさいよ」
「……ふふ、仕方ないですね」
「わかりました。アリエルお嬢様!」
私の提案に2人は二つ返事で快諾し、私はスフィンおじさんが開催するパーティに参加する事となった。
◇◇◇
近衛騎士隊の見回り時にリオラルド様もパーティに参加する旨を聞き、更にパーティの開催が楽しみな日々をすごし、私はとうとうその当日を迎えた。
「アリエルお嬢様、まもなくクトルフ宮殿に着きますよ。……いいですか、しっかり礼儀作法には注意してくださいね」
窓越しに宮殿を確認したレイモンドはそう呟く。
「分かっているわよ、レイモンド。任せておきなさい」
私は教育係兼執事長であるレイモンドに答えながら、窓の外に視線を移す。
窓越しには、着飾ったリオラルド様と見覚えのあるギルバート様と一緒に手を振ってくれていた。
今の私はパーティ衣装に着替え、いつも以上に着飾って化粧などもしているので、実はリオラルド様になんて言われるかが楽しみで胸が高鳴っていた。
「リオラルド様! お待たせ致しました」
「私も先ほど到着したばかりさ。……まだパーティの開催には時間はあるからね」
そうリオラルド様が呟くと、私の容姿を見渡す。
「うん、普段のアリエル様も魅力的だけど……今日は一段と魅力的なアリエル様ですね!」
「……あ、ありがとうございます」
思っていた事をすぐに言われて、少し照れて顔を伏せてしまう。
すると、一緒にいたギルバード様も一歩前に出て挨拶をしてくる。
「初めまして、私はギルバード・クトルフと申します。本日は父上の主催するパーティにお越し頂きありがとうございます」
「こちらこそ、初めまして、公爵家当主のアリエル・ミダデスと申します。本日はご招待頂きありがとうございます」
「……アリエルさんですね。とても優秀な公爵家当主だと父上から話を聞いております」
「そんな……恐縮です」
ギルバード様はあのスフィンおじさんの子で私の従妹に当たる人だ。
スフィンおじさんのような優しさを持ち、金髪碧眼の美顔をまた見れるとは思わなかった。
「さ、アリエル様。会場はこちらです」
リオラルド様は手を差し伸べてくる。
「えぇ」
私はその手をそっと掴み、パーティ会場へと案内してもらう。
手を引かれながら、私の手を握るリオラルド様に抱く恋心を成就させたいと密かに思い描くのだった。
―完―
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