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第74話 情報
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夜の見張りをしていた学生たちを除いた米村さんのグループのみんなと一緒に、俺とメタムンは朝食をとっていた。
テーブルを挟んで俺の目の前には米村さんがいて、俺の両隣りにはメタムンと北原が腰かけている。
初めこそメタムンを見てぎょっとする学生もいたが、時間が経つと次第に打ち解けていった。
そして食事を始めてから二十分、メタムンは今では俺なんかよりよっぽど米村さんのグループに馴染んでいて、みんなと楽しげに会話などしている。
そんなメタムンの社交性をうらやましく思っていると、目の前に座る米村さんが俺に話しかけてきた。
「善くん、さっきのモンスターを倒してレベルが上がったんだろう。いくつになったんだい?」
「あ、えっと……」
俺はスマホの画面をスクロールしてレベルを確認する。
「レベル4019です」
周りの学生たちには聞こえないようになるべく小声で答えた。
だが俺のそんな思いを知ってか知らずか、
「えーっ、レベル4019っ!? なにそれ、ヤバくないっ?」
北原がわざとなんじゃないかというくらいに騒ぐ。
それを受けて周りの学生たちが俺の周りに集まってきてしまった。
みんなに囲まれて、
「レベル4019って本当っ?」
「マジで4019っ!? すげっ」
「スマホの画面見せて見せてっ」
「あ、わたしにもっ」
俺はただ顔を赤くし「あ、ああ、うん……うん……」と首振り人形と化してしまう。
それを見て、
『あー、善、顔が真っ赤だっ!』
とメタムンが声を上げた。
メタムン、余計なことを。
そんな俺をフォローしてくれたのはやはり米村さんだった。
「ほらほら、善くんが困っているじゃないか、みんな席に戻って」
その一言で「「「はーい」」」と素直に自分たちの席に戻っていく学生たち。
ほんと、米村さんには助けられてばかりだな。
ん? そういえば――
「米村さん、訊いてもいいですか?」
「なんだい?」
「なんでさっきのドラゴンの弱点を知っていたんですか? 前に倒したことがあるとか、ですか……?」
気になっていたことを訊ねてみる。
「いや、そうじゃないよ。僕にはあんなモンスターは倒せないからね」
「だったらどうして……?」
「なあに、簡単だよ。僕がこれまでに獲得していた経験値の一部を消費してさっきのドラゴン、名前はグレイトフルドラゴンっていうんだけどね、それの弱点をスマホに教えてもらったのさ」
「は、はぁ……」
いまいちわからずあいまいな相槌を返す俺。
「ほら、善くんがレベル2000に到達した時にチャットルームの解放と同時に獲得経験値と【魔物島】に関する情報を交換できるってなっただろう。だから僕はそれを使っただけだよ」
「そ、そうだったんですか……」
そういえばそんなことになっていたっけか。
「あ、でもそうなると、米村さん……その分レベルが下がっちゃったんじゃ……?」
「ちょっとだけね。なあに、みんなが無事だったんだからそれでいいんだよ。気にしない気にしない」
米村さんは爽やかに笑ってみせた。
ああ……なんていい人なんだろう、米村さんは。
超絶イケメンなのにそれを鼻にかけないし、人望もあるし、機転もきくし、どこか余裕を感じられる大人な雰囲気があるし。
こういう人にいつか、自分もなれたらいいのにな……なんて、まあ土台無理な話だろうけどさ。
……人間、努力だけじゃどうにもならないことだってあるのだからな。
テーブルを挟んで俺の目の前には米村さんがいて、俺の両隣りにはメタムンと北原が腰かけている。
初めこそメタムンを見てぎょっとする学生もいたが、時間が経つと次第に打ち解けていった。
そして食事を始めてから二十分、メタムンは今では俺なんかよりよっぽど米村さんのグループに馴染んでいて、みんなと楽しげに会話などしている。
そんなメタムンの社交性をうらやましく思っていると、目の前に座る米村さんが俺に話しかけてきた。
「善くん、さっきのモンスターを倒してレベルが上がったんだろう。いくつになったんだい?」
「あ、えっと……」
俺はスマホの画面をスクロールしてレベルを確認する。
「レベル4019です」
周りの学生たちには聞こえないようになるべく小声で答えた。
だが俺のそんな思いを知ってか知らずか、
「えーっ、レベル4019っ!? なにそれ、ヤバくないっ?」
北原がわざとなんじゃないかというくらいに騒ぐ。
それを受けて周りの学生たちが俺の周りに集まってきてしまった。
みんなに囲まれて、
「レベル4019って本当っ?」
「マジで4019っ!? すげっ」
「スマホの画面見せて見せてっ」
「あ、わたしにもっ」
俺はただ顔を赤くし「あ、ああ、うん……うん……」と首振り人形と化してしまう。
それを見て、
『あー、善、顔が真っ赤だっ!』
とメタムンが声を上げた。
メタムン、余計なことを。
そんな俺をフォローしてくれたのはやはり米村さんだった。
「ほらほら、善くんが困っているじゃないか、みんな席に戻って」
その一言で「「「はーい」」」と素直に自分たちの席に戻っていく学生たち。
ほんと、米村さんには助けられてばかりだな。
ん? そういえば――
「米村さん、訊いてもいいですか?」
「なんだい?」
「なんでさっきのドラゴンの弱点を知っていたんですか? 前に倒したことがあるとか、ですか……?」
気になっていたことを訊ねてみる。
「いや、そうじゃないよ。僕にはあんなモンスターは倒せないからね」
「だったらどうして……?」
「なあに、簡単だよ。僕がこれまでに獲得していた経験値の一部を消費してさっきのドラゴン、名前はグレイトフルドラゴンっていうんだけどね、それの弱点をスマホに教えてもらったのさ」
「は、はぁ……」
いまいちわからずあいまいな相槌を返す俺。
「ほら、善くんがレベル2000に到達した時にチャットルームの解放と同時に獲得経験値と【魔物島】に関する情報を交換できるってなっただろう。だから僕はそれを使っただけだよ」
「そ、そうだったんですか……」
そういえばそんなことになっていたっけか。
「あ、でもそうなると、米村さん……その分レベルが下がっちゃったんじゃ……?」
「ちょっとだけね。なあに、みんなが無事だったんだからそれでいいんだよ。気にしない気にしない」
米村さんは爽やかに笑ってみせた。
ああ……なんていい人なんだろう、米村さんは。
超絶イケメンなのにそれを鼻にかけないし、人望もあるし、機転もきくし、どこか余裕を感じられる大人な雰囲気があるし。
こういう人にいつか、自分もなれたらいいのにな……なんて、まあ土台無理な話だろうけどさ。
……人間、努力だけじゃどうにもならないことだってあるのだからな。
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